新型インフルエンザA(H1N1)とは
H1N1型インフルエンザ(米国)、インフルエンザA(H1N1)(WHO)、Schweinegrippe(ドイツ)などいくつかの呼び名があります。「豚インフルエンザ」の名前は、当初この新型インフルエンザのウィルス遺伝子が豚のインフルエンザに似ていることから付けられました。ブタH1型ウィルスが豚の体内で人や鳥のウィルスと混ざって変異し、人から人にも感染する新しいウィルスになったと推定されています。
写真)図1 新型インフルエンザA/H1N1 米国の疾病対策予防センター(CDC) 発表のウィルス写真
過去にも豚由来のインフルエンザが人に感染したことはありましたか?
1976年に米国で豚インフルエンザによる死亡患者が出ています。その時は、4000万人にワクチンが接種されましたが、そのワクチンにより10万人に1人がギラン・バレー症候群という神経疾患をきたし、問題になりました。しかし、今回のワクチンについてはその心配はないでしょう。
感染者数はどのくらい増えていますか?
この新型インフルエンザ・ウィルスは人から人へ感染します。この3月末にメキシコ、米国での発症が確認されて以来、世界中に拡がり、WHOによると26日の時点ですでに46カ国、1万2954名が感染しています。ドイツでの感染患者は17名、日本では350名です。特にメキシコ、米国での感染例が多く報告されています。
どんな症状がみられますか?
通常の季節性インフルエンザと同様、38℃近くの高熱に加え、鼻水・鼻づまり・のどの痛み・咳などの急性熱性呼吸器疾患のいずれかの症状がみられます。米国での集計では4人に1人が嘔吐、下痢などの消化器症状を伴っています。
男女の比 --- ほぼ同じ
年齢の幅 --- 3ヵ月~81歳
最も患者の多い年齢層 --- 10~18歳(全体の40%)
51歳以上の患者 --- 全体の5%
発熱 --- 94% / せき --- 92% / のどの痛み --- 66% / 下痢 --- 25% / 嘔吐 --- 25%
4月15日~5月5日発症の患者(米国医学誌のNEJM5月7日号の論文より抜粋)
どんな経路で感染しますか?
咳やくしゃみを介して感染が拡がります。ウィルスに感染した器具に触り、その手を口や鼻に持っていった場合も感染の原因になります。体内から排出されて器具の表面に付着したウィルスは、排出後も2~8時間程度は感染力があると推定され、感染力は通常の季節性インフルエンザと同じか、それ以上と考えられています。
表2 新型インフルエンザの診断インフルエンザ症状 | ・発熱、咳 、のどの痛み |
疑われる (右記のいづれか) |
・突然インフルエンザの症状が出現 ・最近発生地域へ旅行した ・新型インフルエンザの可能性のある人に接触 |
可能性が高い | ・人のインフルエンザH1およびH3が陰性 |
確定診断 | ・新型インフルエンザの遺伝子を確認 ・培養にて新型インフルエンザのウィルスを確認 |