特集


F1の世界に迫る

F1の世界に迫る

モータースポーツの華といえばF1。最新技術の粋をあつめたマシンをレーサーが疾駆し、頂点を目指して競う。世界の王者ミヒャエル・シューマッハーが引退し、後継候補がしのぎをけずる今シーズンも終盤戦。欧州で生まれ、人々を魅了してやまないF1の世界に迫る。(編集部)

歴史

F1「F1」は正式名称を「Formula One World Championship」と言い、「フォーミュラ・ワン」の名で親しまれる世界最大規模、最高峰の自動車レースだ。主催は国際自動車連盟(FIA)。「フォーミュラ」とは「決まり」を意味し、規定に沿って造られた四輪一人乗りのフォーミュラカーでレースが行われる。現在フォーミュラカーのレースは、「F1」を頂点に、「GP2」「F3」「Fニッポン」などのカテゴリーがある。

最初に開催されたのは1950年、英国のシルバーストー ン・サーキットだった。その後10年ほどは欧州を中心に行われたが、商業化の波に乗り、70年代以降は米国やアジアなどへ開催地域が拡大している。2007年シーズンは11チームが参加。人気ドライバーや人気チームを有し、F1熱の高いドイツなどでは、これまで1シーズンに数カ所で開催されていたが、今シーズンからは原則的に1国1開催となっている。

F1の歴史を飾る名ドライバーには、マクラーレン、ウイリアムズ時代にタイトルを3回獲得するものの1994年のサンマリノ・グランプリのレース中に衝撃の事故死を遂げたアイルトン・セナ(ブラジル)や、グランプリ51勝を誇るアラン・プロスト(フランス)のほか、タイトル7回、グランプリ91賞、ポールポジション68と記録を次々に塗り替え、昨年引退したミヒャエル・シューマッハー(ドイツ)などがいる。日本勢では、ロータス・ホンダなどで日本人初のフルタイム・レーサーとして名を馳せた中嶋悟や、現在参戦する「スーパーアグリ」を率いる鈴木亜久里などがいる。

今シーズンの参戦チームと人気ドライバー

全11チーム ドライバー22人(11×2人)

人気チームとドライバー
トヨタ ラルフ・シューマッハー(独)
ヤルノ・トゥルーリ(伊)
フェラーリ フィリップ・マッサ(ブラジル)
キミ・ライコネン(フィンランド)
マクラーレン フェルナンド・アロンソ(西)
ルイス・ハミルトン(英)
ルノー ジャンカルロ・フィジケラ(伊)
BMW ニック・ハイドフェルト(独)
ホンダ ジェイソン・バトン(英)
ルーベンス・バリチェロ(ブラジル)
スーパーアグリ 佐藤琢磨(日)
レッドブル デビット・クルサード(英)
ウィリアムズ ニコ・ロスベルク(独)
トロ・ロッソ ゼバスティアン・フェッテル(独)
スパイカー 山本左近(日)

レーサーF1はレース後には約2キロ体重が減少するくらいハードなスポーツ。高速車を操るレーサーにはそれ相当の体力が求められる。ジェットコースターに約1時間半も乗り続けるのと同じような状態が続くだけに、特に首周りを中心とした筋力トレーニングは欠かせない。水分補給も不可欠で、走行中もスポーツドリンクで常に水分補給を行っている。

レーサーを支える人々

ドライバーを影で支え、スタートからゴールまでレーサーと共に戦うスタッフたち。レース中の彼らの主な舞台は、「ピットパーチ」と「ピット」だ。前線基地であるピットパーチでは、チーフエンジニアが走行中のあらゆるデータをモニターで確認、チーフエンジニアはドライバーに無線で指示を送る。

一方、マシンを整備する場所であるピットは、メカニックたちの舞台。レース中のタイヤ交換、燃料給油など、まさに時間との勝負が繰り広げられる。わずか数秒の遅れが勝敗を左右する。

ルール&見どころ

今シーズンは全11チームから各2台、計22台で争っている。タイトルは、獲得ポイントの総計によりドライバー個人とコンストラクター(車体製造者)にそれぞれ与えられる。ポイント数は優勝が10ポイント、2位が8ポイント、3位が6ポイント、以下8位の1ポイントまで続く。走行距離は、コースごとに決められた周回数(50~70周、約300キロ)を走る。

各グランプリは通常、金曜日から日曜日までの3日間にわたって行われる。金曜はフリー走行。土曜午後の予選で決勝レースのスタート順位を決め、日曜に決勝レースを行う。

決勝レースの一番の見どころは、何といってもスタートだ。まずは隊列を整えるため、全車が順番を保ったまま1周する。ドライバーはこの間に、車の状態をチェックしたり、車体を左右に振ってタイヤを温める。全車がスターティンググリッドに戻ってくると、スタートの合図である5列の赤いランプが1列ずつ点灯し始める。全てのランプが点灯し、その後これらがすべて消えたらいよいよスタート!けたたましいエンジン音とともに一気にパワー全開した各車が、1台でも多く抜こうと接触ギリギリで競い合う最初の1コーナーまでは目が離せない。

レース中にも見どころは多い。ピットでは給油やタイヤ交換などが行われるが、これにかかる時間やタイミング、給油量などはレースの勝敗を大きく左右する。ドライバーと整備士らの息の合ったチームワークが大 きなカギとなる。

このほか、車が追い越しを試みて衝突したり、故障してコースを塞いでしまった場合などには、セーフティーカーが登場する。その間、追い越しは禁止、全車はセーフティーカーに追随して減速走行し、コースが元通りになるまで待たなくてはいけない。

F1豆知識

● F1といえばシューマッハー兄弟

ミヒャエルとラルフのシューマッハー兄弟が育った町 は、ケルン近郊にあるケルペン(Kerpen)。ミヒャエルの偉業を称え、彼の名を冠した「ミヒャエル・シューマッハー通り」があることでも知られる。またその通りの5番地には、2人の父親ロルフが経営するゴーカート場「ミヒャエル・シューマッハー・カート&イベントセンター」がある。ここであなたもF1レーサー 気分を試してみては?

Michael Schumacher Kart & Event-Center
Michael-Schumacher-Str. 5 50170 Kerpen-Sindorf
Tel: 0 22 73 / 60190
www.michaelschumacher-kartcenter.de

● ドイツ人レーサーが大活躍

ラルフ・シューマッハーはすっかりおなじみだが、他にも4人のドイツ人ドライバーがいることをご存知だろうか。BMWのニック・ハイドフェルト、トロ・ロッソのゼバスティアン・フェッテル、スパイカーのアドリアン・ズティール、元F1チャンピオン、ケケ・ロスベルクの息子であるウィリアムズのニコ・ロスベルグと、期待の若手選手がいっぱい。女性にとってはイケメン揃いなのもうれしい。

● レース中に振られる旗とその色
yellow 黄色:コース上に何らかの危険があることを 示し、その間は追い越し禁止。
yellow 緑色:コース上が安全になったことを示す。
yellow 青色:後方からより速い車が迫ってきている ことを示し、その際は道を譲らなければいけない。
yellow 黒色:ルール違反でペナルティーが課される場合。この旗を振られた車は、ピットに入らなければいけない。
yellow チェッカー:レースの終了。

今季の残りレースはベルギー、日本、中国、ブラジル

ハミルトンとアロンソのマクラーレン勢がトップ争いを繰り広げる今期のレースももう終盤。残りは、3年ぶりに復活したベルギーGP(スパ-9月16日)、富士スピードウェイでの日本GP(9月30日)、中国GP(上海-10月7日)、そしてフィナーレを飾るブラジルGP(サンパウロ-10月21日)で幕を閉じる。果たして2007年の王者は?

個人成績(9月10日現在)
1. L. ハミルトン 92点
2. F. アロンソ 89点
3. K. ライコネン 74点
4. F. マッサ 69点
5. N. ハイドフェルト 52点
6. R. クビサ 33点
7. H. コバライネン 21点
チーム成績(9月10日現在)
1. マクラーレン 166点
2. フェラーリ 143点
3. BMW 86点
4. ルノー 38点
5. ウィリアムズ 25点
6. レッドブル 16点
7. トヨタ 12点
F 1 のトヨタ工場を訪問

とかくF1といえばレーサーに目が奪われがちだが、F1の真髄はクルマにあり。ケルン郊外にあるトヨタモータースポーツGmbHの最前線で指揮をとる新居章年テクニカルコーディネー ション・ディレクターに話をうかがった。

トヨタモータースポーツGmbHでF1の開発、生産にあたっているのは約650人。一般車とF1カーでは当然ながら速さが違い、開発領域が異なってくるが、素材で共通するものもあったり、またレースで結果がすぐに出ることから技術者の育成という点でF1の分野を超えた大きな役割を担っているという。

F1カーの7~8割にあたる部分は自社内で生産しており、開発から完成までの期間は1年弱。すでにシーズンスタート前から来シーズンのF1カーの開発は始まっているという。シーズン前のテスト走行で、加速力、止まる力、カーブ力などを分析し、来シーズンに向けて改良を重ねる。

F1の勝負を左右するのは、車のエンジン、空力、タイヤ、そしてドライバー。この4つの要素がベストな状態で組み合わされ、勝利につながる。また技術力を競うだけでなく、トヨタではトヨタ生産システムを生かして、タイヤが止まる場所でサインを出すなど、ピット内での作業を効率的かつ失敗なくするようにしているのが特徴だ。

● エンジン
エンジン車の心臓部エンジン。エンジンの性能だけでなく、車体とマッチすることが大事。仕様は8気筒、95キロで最高回転 速度は毎分1万9000回転。同じエンジンで2つのレースを戦わねばならないという規定がある。1シーズンに要るエンジンのオーダー数は100~200台にものぼる。

● ボデー
ボデー車体はさぞや頑丈な金属でできているのでは、と思いきや叩いてみると軽いカンカンという響きが...。炭素繊維を樹脂と焼き固めたもので、軽いだけでなく、衝突試験、変形試験を繰り返し4~5トンの衝撃は耐えるというだけあって安全性は折り紙付きだ。(ちなみに安全性といえば、タイヤも外れないように、ひもでボデーに付けられている)

● 風洞
風洞いかに抵抗力を減らし、コースに合わせて効率的にスピードのバランスをとれるかが勝敗を大きく分ける。風洞では大きなファンを回して高速の風を起こすと同時に、高速で回転するベルト上にマシンをおいて、タイヤを回し、抵抗力やタイヤの下方向にかかる力(ダウンフォース) などを分析する。

● ワークショップ
ワークショップレースを終えたF1カーが戻ってくると、バラバラに分解され、磨耗した部品の交換などのメンテナンスが施される。ペイント工場で“お化粧直し”もされ、次のレースに備えて万全の体制が整えられる。

最終更新 Montag, 02 September 2019 17:58
 

第40回世界体操選手権

第40回世界体操選手権

北京五輪まであと1年。晴れ舞台への切符をかけて技を競い合う第40回世界体操競技選手権大会が9月1日から9日までシュトゥットガルトで開かれる。個人、団体、種目別に24カ国から約500人の選手が参加。特に男子は地元開催の五輪を前に力の入る中国と前回のアテネ五輪で団体優勝を飾った日本、若手の台頭が著しいドイツの争いが見ものだ。

出場予定選手(男子)

富田洋之、桑原俊、中瀬卓也、星陽輔、沖口誠、水鳥寿思
Fabian Hambüchen, Thomas Andergassen, Phillipp Boy, Robert Juckel, Marcel Nguyen, Eugen Spiridonor

● 北京への出場権

今大会で優勝した上位12チームが出場権を獲得する。出場権を逃した国の選手は国際体操連盟の規定に従って、個人種目への出場権を得ることができる。

● 新採点方式

2006年1月から導入された新採点方式。高難度の「ウルトラC」が「スーパーE」に進化するなど10点満点の尺度では採点しきれないという現状から発案された。新しい方式では、①選手の演技構成の難度を反映した上限なしの「演技価値点」②実技の正確さを10点満点から減点して出す「演技実施点」の2つを合計する。

● シュトゥットガルトは体操の町

第2次大戦後に、ドイツで初めてとなる体操の国際大会がシュトゥットガルトのキレスベルクで開かれたのは1950年。その後、数年間は、ドイツ、ロシア、日本がしのぎを削る場として注目を集めた。今大会が開かれるハンス・マルティン・シュライヤー・ハレが1983年に落成され、以降は、ドイツ国内選手権が毎年ここで開かれている。ドイツ体操協会の本部もここにある。

● ドイツと日本の体操界を結ぶ縁

鉄棒の離れ技で有名なギンガー宙返りを考案し、1970年代、日本でも多くのファンがいたエーバーハード・ギンガーはドイツ人。シュトゥットガルト近郊に住んでいる。また具志堅幸司全日本男子監督も現役引退後は、ドイツ南西部のチュービンゲンに留学し、指導者としての研鑚をドイツで積んだ。


日独両チームの選手を応援しよう

世界選手権大会を生で見たい方は、
Hans-Martin-Schleyer Halle Mercedesstr.69 70372 Stuttgart
チケットはオンラインでも購入可能
詳細は www.enbw-turn-wm.de

テレビ中継
9月3日(月)4日(火) 22:30~22:45 SWR
9月5日(水) 22:00~22:30 SWR
9月6日(木) 22:00~22:30 SWR
9月7日(金) 16:00~17:30 ZDF
9月8日(土) 14:30~16:00 ARD
9月9日(日) 15:45~17:00 ZDF

エースの横顔

富田洋之冨田洋之
(とみた・ひろゆき)
● 1980年11月21日生まれ
● 大阪府出身、身長166センチ
● 得意種目は鉄棒、つり輪、平行棒

2005年の大会で個人優勝を果たした。06年は中国の楊威選手に敗れて2連覇はならなかったものの、今大会で再び王者の座を目指す。「美しい体操」を信条とする。

ファービアン・ハンビュヒェンFabian Hambüchen
(ファービアン・ハンビュヒェン)
● 1987年10月25日生まれ
● ベルギッシュ・グラードバッハ出身、身長163センチ
● 得意種目は床と平行棒

父親の指導の下、体操競技を始め、若干16歳で出場したアテネ五輪ではフレッシュな演技で観客を魅了した。19歳にしてドイツ体操界を背負う若きエースのモットーは「わが道を行く」。
最終更新 Montag, 02 September 2019 18:04
 

爽やかにドイツの夏を乗り切ろう

爽やかにドイツの夏を乗り切ろう

4、5月の真夏のような暑さから一転して、7月に入っても天気はぐずぐず、一体、今年はドイツに夏はやって来るのだろうか?と思っていたら、夏はちゃーんとやって来ました。それに統計では年々ドイツでも気温は上昇し、日本をほうふつさせるようなムシムシした暑さの日も増えているのです。そこで今回はドイツで夏を爽やかに過ごすための知恵を集めてみました。また、本誌の料理コーナー「ドイツ食の歳時記」でおなじみの舞楽あき子さんにドイツで手に入る食材を使ったさっぱり料理を教えていただきましたので、ぜひお試し下さい。(編集部)

01身の回り編

自然素材と風通しの良い服&サングラス

サングラス自然素材のものを身につければ、汗をかいても熱が衣服の外に出て行きやすいので、夏場は麻や綿といった素材のものを選ぶのが基本。そして紫外線のきつい欧州で忘れてならないのはサングラス。日本ではビジネスマンがサングラスをかけるのはあまり評判が芳しくないが、目の日焼けを予防するため、陽射しの強い日に外出する際にはドイツ人と同じようにサングラスを忘れずに。

シャワーでさっぱり

体のほてりをさまし、汗をとるにはシャワーをさっと浴びるのが一番。風呂よりシャワー文化のドイツだからこそ、シャワー用のジェルの種類も豊富。清涼感のあるもので、ベタつきを押さえれば気持ちよく過ごせる。またシャワーを浴びる時間がないという時でも、ひじから下を水につける、あるいは洗面器に水をはって足を時々つけるだけでもひんやりと心地よさが伝わってくる。

寝苦しい夜には冷水入りの湯たんぽ

熱帯夜というのにはドイツではそうそう遭遇しないが、時に寝苦しいと感じることはあるはず。そんな時は、冬には温水を入れる湯たんぽを活用して、代わりに冷水を入れて足元に置いてみよう。

ミントの香りですっきり

ミントオイルを耳の後ろやうなじにすりこんでみると頭がすっきりしてくる。暑苦しいオフィスにいるときにもすっと爽やかになる。間違っても目の下に塗ったりしないように。


懐かしのかき氷

ドイツに無ければ作っちゃえ。氷をミキサーでクラッシュして、シロップはスーパーで売っている飲料用のものをかければあっという間にかき氷の雰囲気が味わえます。

02住まい編

ブラインドを活用する

「暑い!」とは思っても、エアコンを購入しようとまで考える人は少ないはず。いくら湿度が高くても日本のそれとは比べものにならず、日陰に入ればまだまだ涼しい。そこで家の中を涼しく保つためにブラインドの活用を。朝、太陽光線が差し込まないようにブラインドを下ろし、窓を開けて冷気を入れる。気温が高くなってきたら、窓を閉め、陽が暮れたころにまた換気を すれば、熱気が入らず、快適な温度が保てる。

壁面や屋根の緑化で涼を呼ぶ

つたのからまる家つたやブドウなどを壁面にはわせたり、多肉植物を屋根の上に植栽することによって直射日光が避けられ、屋内の温度も2~3度下げることができるといわれている。自治体によっては助成金を出しているところもあるのでぜひ、問い合せを。一軒家でないという人も、ベランダのプランターに朝顔などを植えて誘引し、天然のすだれを作ってみるのも面白い。

アウトドアライフをエンジョイする

冬の寒さを考えて作られているドイツの家は密閉性が高く、どだい夏の暑さを快適に過ごせるようにはできていない。そこでお勧めしたいのはアウトドアライフ。といっても難しいことではない。涼しい朝の内に朝食を自宅の庭やベランダでとったり、休日もオープンエアの映画を見に行ったり、夕方から開催される野外での観劇や映画、コンサートを楽しんでドイツならでは夏を楽しみたい。また汗をかきながら飲むビールのおいしさは格別だ。

読者に教えていただきました
簡単自家製アイス

小さく切って凍らせておいたバナナに、クリーム大さじ2、3杯程度(バナナ1本につき)を加え、(ハンド)ミキサーにかけて冷やし固めればおいしいアイスのできあがり。*缶詰の黄桃でも同様にできます。

03食べ物編
舞楽あき子さんの手軽にできるさっぱり料理3品

スモークサーモンのたたき風

スモークサーモンのたたき風

暑い日は、喉ごしのよい刺身が食べた~い!!新鮮な魚が手に入らなくても、スモークサーモンをたたき風に仕立ててみたら、お洒落にそれっぽく仕上がりました。スモークサーモンは高価なものでなくても、塩気が少なくて脂がのったスーパーのブランドもので十分。つゆも器も冷蔵庫で、きりっと冷やして召し上がれ。刺身用の鮭やまぐろが手に入るのなら、もちろんそれで作ってみてください。その場合は、醤油をこころもち多めに。

材料(2人分)
スモークサーモン
200g
エシャロット Schalotten
2個
にんにく
1〜2片
いくら(塩漬け瓶詰め)
少々
あさつき Schnittlauch
少々
だし汁
50ml
しょうゆ
30ml
粉わさび
小さじ1
少々
コショウ(できれば挽きたて)
少々
作り方
1. 器を冷蔵庫で冷やしておく。
2. 粉わさびを水で溶き、火にかけただし汁に入れ、溶かす。(*粉わさびでないと溶けにくい)
3. しょうゆとコショウを加え、火から下ろし、荒熱をとって冷蔵庫へ。
4. エシャロット エシャロットとにんにくをみじん切りにする。
日本ではラッキョウのことを指す場合があるが、これが本物のエシャロット
5. スモークサーモン スモークサーモンを小さく切り分け、包丁の背でたたき、 (4)と混ぜ合わせる。
たたく時は包丁の背を使って
6. (5)をプリン型に入れ、冷凍庫で30~45分。表面がうっすら凍ってくるくらいまで冷やす。
7. 器に盛り、つゆをかけ、いくらとあさつきを飾る。

焼きなす

焼きなす

ドイツの大きななすを使った焼きなすです。ガスコンロや焼き網がなくても大丈夫。電子レンジとアルミホイルで簡単にできます。なすの皮のこげる匂いが郷愁を誘い、蝉の声でも聞こえてきそう。冷麦や素麺でつるつるっと済ませたい、という日のおかずや、酒の肴に最適。温かいままでも冷やしてもおいしいです。

材料
なす 1個
しょうゆ、もしくは麺つゆ  
薬味(しょうが、あさつき、かつおぶしなど)  
作り方
1. なすのへたをとり、半分に切ってそれぞれをラップでくるみ、電子レンジ強で3分加熱。
*ドイツのラップは電子レンジにかけると溶けてしまう場合があるので、必要な時はラップの代わりに電子レンジ用の容器を使うと安心
2. なすを焼く 電気コンロを強にし、その上に直接アルミホイルを敷き、なすの皮側をまんべんなく焼く。
アルミホイルを破らないように注意して!
3. 黒い焦げ目がついたら、アルミから外し、冷水で手を冷やしながら、皮をむいていく。
4. 適当な大きさに切り、しょうゆか麺つゆをかけ、薬味を添える。

Kombuchaのシャーベット

Kombuchaのシャーベット
シャーベット
これが
コンブチャ!

オリエンタルなデザインで、清涼飲料水コーナーで異彩を放つKombucha。名前を見て、あれっと思った人も多いのでは。しかし、昆布茶ではありません。日本では紅茶キノコと呼ばれているもので、紅茶に砂糖と菌を入れて発酵させたもの。紀元前中国の発祥ですが、5世紀頃、朝鮮半島のコンブー博士が日本に紹介したことから、この名前がつきました。近年、ハリウッドスターの間で評判になり、一気にメジャーに。そんなうんちくを傾けながら、是非どうぞ。

材料
Kombucha
500ml
砂糖
100g
ウォッカ
80ml
ライム絞り汁
1個分
作り方
1. Kombucha150mlくらいを温め、砂糖を完全に溶かす。
2. 残りのKombuchaとウオッカとライム汁を加え、粗熱がとれるまで置いておく。
3.
シャーベット
空気を入れないと氷の塊に…
ステンレスかアルミのバットに入れ、冷凍庫で2~3時間。かたまりかけてきたら、30分ごとにスプーンでかきまぜ、空気を入れること4、5回。
4. さらに1時間ほど冷やし、季節のフルーツを添える。
読者に教えていただきました
教会でひと時の涼をいただく

日本ならどこか建物に入ればクーラーがひんやりと効いている。片やドイツではクーラーが入っている場所はまれ。なので、どうにもこうにもならなくなった時には教会を訪れて、観光がてら、ひと時の涼をいただく。とはいえ、教会は信者のための神聖な場所という点だけはくれぐれも忘れないように。
お出かけスポット

欧州一大きな鍾乳洞 Atta-Höhle
アッテンドルンにある欧州一大きな鍾乳洞は、1907年に石灰採石場での作業中に発見された。全長6670メートルにも及び、その内1800メートルを見学できる。鍾乳洞の内部温度は常に9度前後。発見から100周年にあたる今年は様々なイベントが企画されているので、ぜひ家族連れで自然の作り出した造形美を楽しみたい。
Atta-Höhle
住所:Finnentroper Strasse 39, 57439 Attendorn
www.atta-hoehle.de

中世のワインセラー

バーデン=ヴュルテンベルク州、ズルツフェルトはドイツでも有数のワインどころ。1497年に作られた地下ワインセラーを見学した後は、選りすぐりのフランケンワイン2種類の試飲とズルツフェルト名産のお菓子が試食できる。
Tel: 09321-922665
www.weinerlebnis-sulzfeld.de
最終更新 Montag, 02 September 2019 18:02
 

5年に1度の現代アートの祭典 ドクメンタ12

Documenta Kassel 16/06-23/09 2007

5年に1度の現代アートの祭典 ドクメンタ12

現代アートって難しい。そう思っている方にも、アート好きの方にもぜひ行ってみてほしいのが、現在カッセルで開催されている「ドクメンタ12」。5年に1度しか開催されない、世界が注目する現代アート最前線のイベントだ。オープニング直後の暴風雨によって中国人アーティストの作品が倒壊するというハプニングに見舞われたドクメンタ12をリポートする。

ドクメンタとは?

「ドクメンタって一体何?」そう思われた方のために、歴史を少し振り返ってみよう。

ドクメンタが生まれたのは1955年、ドイツが第2次大戦後の挫折の只中にあった時代だ。本来ドイツは芸術面で非常に貢献度の高い国だったが、ナチス独裁により国際的なアートの潮流から遠ざかってしまっていた。そんなドイツの人々が再び現代の名作に触れられるよう、近現代の傑作品を 一堂に集めた展覧会が、カッセルの画家で教育者でもあったアーノルド・ボーデによって開催された。展覧会は大成功を収め、その後、テーマを変えて同様の展覧会が約5年周期で開催されるようになる。最初は近現代美術の紹介が中心だったが、やがて世界最新鋭のアートをフォーカスする方針に転換した。5回目以降は、毎回異なるディレクターを任命し、開催ごとに展覧会のテーマや運営をガラリと変えてしまうことで、ドクメンタを常に斬新な前衛的イベントに成長させた。

今日、ドクメンタはイタリアのヴェネチア・ビエンナーレと並び、現代アートの国際展としては不動の地位を占めている。過去に参加したアーティストには、パブロ・ピカソやヨーゼフ・ボイス、日本人では荒川修作や河原温など、現代の巨匠に数えられる作家が勢揃いしている。

作品
左)BÊLA KOLÁROVÁ "Bez názyu z cyklu Nádovil Untitled from Dishes cycle" (1966) ©Bela Kolarova
右)TRISHA BROWN “Floor of the Forest” (1970) © Trisha Brown; photo Egbert Trogemann / documenta GmbH ? VG Bild-Kunst, Bonn 2007

現代アートのテーマパーク

ドクメンタは今年で12回目を数える。過去には最新のアートがクローズアップされ過ぎて難解になってしまったこともあった。しかし今回は、観客が作品にアプローチしやすいよう様々な配慮がなされている。

中でも、アートガイドやレクチャー、映画や青少年向きのイベントなど、アート教育プログラムが豊富で、アートを理屈で捉えるのではなく、自分の心に響く作品に出合った時にどう作品と対話ができるのか、ヒントを与えてくれそうだ。

大人にも子どもにも適したプログラムが充実しているためか、会場には親子連れの姿も目立つ。子どもたちには特に、触れたり、中に入ってみたりできる作品が好評だ。また、映像を扱ったインスタレーションやドラマチックな写真などに見入るカップルの姿、強烈なインパクトを放つ絵画に圧倒されるアートガイドの参加者たち、突如始まるパフォーマンスに驚きつつカメラを構える人々などが見られ、それぞれに作品との出合いを楽しんでいるのがわかる。

ドクメンタ12は、複数の美術館や庭園を会場にしている。美術館で作品を鑑賞するだけではなく、庭園を散策しながらオブジェを眺めたり、会場間の移動中にカフェやショップに立ち寄ってみたりすることもでき、全体が現代アートのテーマパークといった趣もある。

作品
TSENG YU-CHIN “Who's Listening? 5” (2003~2004) © Tseng Yu-Chin

作品
左)AHLAM SHIBLI “Arab-al-sbaih” (2007), © Ahlam Shibli, Courtesy Ahlam Shibli; Max Wigram Gallery
右)Monika Baer “Vampir” (2007), © Monika Baer, photo Jens Ziehe / documenta GmbH, Courtesy Galerie Barbara Weiss

作品から見える私たちの時代

ディレクターにロジャー・M・ビュールゲル氏、キュレーターにルート・ノアク氏を迎え、3年半の準備期間を経て、500点以上の作品を集めた今回の展覧会。特徴は世界中のアーティストの作品を集めただけではなく、古くは16世紀から今日まで、幅広い時代を扱っている点だ。一見すると「最前衛のアートイベントでなぜ?」と問いたくなってしまう構成かもしれない。しかし、あえて国境も時代も超えて作品を集めることで、ドクメンタ12は私たちが生きる時代や世界を浮き彫りにしようとしている。

最新のインスタレーション群の中に数百年前の工芸美術を突如として配したり、近現代の絵画を対比したりすることで、古い時代の作品が新鮮な輝きを放ったりする。また写真や映像の作品からは、文化や政治、宗教など、私たちが生きる世界の多面性が垣間見えるかもしれない。ドクメンタ12は、グローバリゼーション、民族や人間としてのアイデンティティーなど、いまの時代に問われているテーマを凝縮しているとも言えそうだ。

現代アートの表現は無限だ。内容を掘り下げずとも、ただ単純に美しい作品やユニークな作品も多い。リラックスして作品を鑑賞し、何らかのメッセージをキャッチしたら、作品と積極的に対話してみてはいかがだろうか。現代アートの存在が、ぐっと身近に感じられるようになるかもしれない。(Ayako)

会場
左)ドクメンタ・ハレの展示会場 右)アートガイドの風景

会期 2007年6月16日(土)~9月23日(日)
開場時間 午前10時~午後8時
主要会場 フリデリチアヌム美術館(Museum Fridericianum)
ノイエ・ガレリー(Neue Galerie)
ドクメンタ・ハレ(Dokumenta Halle)
アウエ・パビリオン(Aue-Pavillon)
ヴィルヘルムスヘーエ城 (Schloss Wilhelmshöhe)他
入場料 1日券18ユーロ(12ユーロ)
2日券27ユーロ(18ユーロ)
7歳未満無料
インフォ ドクメンタ12お客様サービス(英語・ドイツ語のみ)
Tel: 01805-11 56 11
Fax: 01805-11 56 12
日本語アートガイド予約(日本語可、テキストファイル添付のこと)
このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
Webste http://www.documenta.de
最終更新 Freitag, 30 August 2019 17:37
 

写真家・杉本博司氏インタビュー

写真家・杉本博司氏インタビュー

©Hiroshi Sugimoto
Mathematical form
Privatsammlung
©Hiroshi Sugimoto

杉本博司の写真を前にして抱くのは、「怖い」という感覚だ。写っている対象が恐ろしいという意味ではない。見る者に匕首(あいくち)を突きつけるような迫力があるのである。被写体が意味するものを抽出するため長時間思考し、生まれたコンセプトを純化し、それを一分のスキもない簡潔なモノクロームの表現に託して放つ。哲学的内省と完璧な手仕事が一体となった杉本氏の写真は、作品と鑑賞者を抜き差しならない関係に追い込む力をみなぎらせている。

世界中の海を太古の人間のまなざしに戻って見つめた作品「Seascapes」にせよ、時間帯による影の現れ方の違いを考察した「Colors of Shadow」にせよ、杉本作品に通底するのは時間と人間存在の意味にとことん迫ろうとする作家としての姿勢だ。事実、杉本氏にとって写真を撮ることは、「我々がどこから来たのか、いかに存在するに至ったのかを思い起こすための作業」なのだと言う。

©Hiroshi Sugimoto
The electric Chair, 1994
©Hiroshi Sugimoto

ニューヨークと東京を拠点とした30年以上の活動を経て、現代屈指の写真芸術家として世界的な評価を確立した杉本博司。2005年の東京・森美術館での回顧展に続き、ドイツ語圏で過去最大規模の回顧展をNRW州立美術館K20が企画、7月14日から展覧会「Hiroshi Sugimoto」がスタートした。オープニングに際してデュッセルドルフを訪れた杉本氏に話を聞いた。(田中聖香)


杉本博司杉本博司(すぎもと・ひろし)
1948年東京生まれ。立教大学経済学部卒業。1970年米国に渡り、ロサンゼルスのArt Center College of Designで写真を学ぶ。1974年 ニューヨークに移住。2000年グッゲンハイム美術館(NY)、04年カルティエ現代美術財団(パリ)、05年森美術館(東京)など個展多数。

── 杉本さんの作品は原則的にモノクロームですが、なぜでしょうか。

カラー写真は科学物質の色、モノクローム写真は銀の色です。貴金属とケミカルでは、格からいっても雲泥の差があります。

── 19世紀末に製造された旧式カメラを撮影に使われてきたのはなぜですか。

世の中は便利になる方向で動いていますが、必ずしもより高い質が得られる方向には動いていません。未だに生フィルムを使う大判写真機が作り出すプリントのクオリティーは、決してデジタルでは出せないことは私の作品が証明しています。一般にはデジタル写真が主流になりつつありますが、私の使う機材は今後も変わりません。


Polar Bear, 1976 Privatsammlung
©Hiroshi Sugimoto

── モチーフはどのように決定されますか。また1シリーズの制作にかける時間は。

10年以上考え続けているテーマがたくさんあります。そのうちの1つ、2つと卵がかえるようにコンセプトが実現するのです。そのための秘密裏の実験が今も続けられています。シリーズ制作には必要かつ十分な時間をかけ、一度始めると飽きるまでやります。しかし、実際にはどのシリーズも飽きたためしがありません。

── 杉本さんの作品には、東洋的美学とミニマリズムが混在していると評されます。ご自分ではそれを意識されますか。

批評というものは自由であるべきです。そして批評は作家についてのファンタジーを生みます。私は、せっかくのファンタジーを大切にするようにしています。つまり、作られつつある虚像に自分をなるべく合わせていく。これが世界に対する作家のサービスです。

── 写真から建築、彫刻へと表現の幅を広げるに至った背景を教えてください。

世界の有名建築といわれる建築をほぼ見尽くした後に、建築的に自分で成すべきことが見えて来たという経緯があります。また彫刻に関しては、19世紀の数理模型を撮影中に、これらの数式を現代最高の工作技術を持つ日本で作ったらどうなるか、という実験が形になりました。したがって、これらの作品を彫刻ではなく数理模型と呼んでいます。K20に展示される「Onduloid」も、この形が表す数式の名称です(筆者注:ゼロでない平均曲率の一定な回転面のこと)。

©Hiroshi Sugimoto
左)Emperor Hirohito, 1999 Sammlung Diego Cortez, New York ©Hiroshi Sugimoto 
右)Lightning Fields008, 2006 ©Hiroshi Sugimoto


「Hiroshi Sugimoto」
2008年1月6日(日)まで
10:00-18:00(土日祝11:00-18:00)※月曜休館
6,5ユーロ(割引4,5ユーロ)
K20 Kunstsammlung, Grabbeplatz 5, 40213 Düsseldorf
www.kunstsammlung.de

最終更新 Freitag, 30 August 2019 17:34
 

<< 最初 < 111 112 113 114 115 116 117 > 最後 >>
115 / 117 ページ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


Nippon Express ドイツ・デュッセルドルフのオートジャパン 車のことなら任せて安心 習い事&スクールガイド バナー

デザイン制作
ウェブ制作