4、5月の真夏のような暑さから一転して、7月に入っても天気はぐずぐず、一体、今年はドイツに夏はやって来るのだろうか?と思っていたら、夏はちゃーんとやって来ました。それに統計では年々ドイツでも気温は上昇し、日本をほうふつさせるようなムシムシした暑さの日も増えているのです。そこで今回はドイツで夏を爽やかに過ごすための知恵を集めてみました。また、本誌の料理コーナー「ドイツ食の歳時記」でおなじみの舞楽あき子さんにドイツで手に入る食材を使ったさっぱり料理を教えていただきましたので、ぜひお試し下さい。(編集部)
身の回り編
自然素材と風通しの良い服&サングラス
自然素材のものを身につければ、汗をかいても熱が衣服の外に出て行きやすいので、夏場は麻や綿といった素材のものを選ぶのが基本。そして紫外線のきつい欧州で忘れてならないのはサングラス。日本ではビジネスマンがサングラスをかけるのはあまり評判が芳しくないが、目の日焼けを予防するため、陽射しの強い日に外出する際にはドイツ人と同じようにサングラスを忘れずに。
シャワーでさっぱり
体のほてりをさまし、汗をとるにはシャワーをさっと浴びるのが一番。風呂よりシャワー文化のドイツだからこそ、シャワー用のジェルの種類も豊富。清涼感のあるもので、ベタつきを押さえれば気持ちよく過ごせる。またシャワーを浴びる時間がないという時でも、ひじから下を水につける、あるいは洗面器に水をはって足を時々つけるだけでもひんやりと心地よさが伝わってくる。
寝苦しい夜には冷水入りの湯たんぽ
熱帯夜というのにはドイツではそうそう遭遇しないが、時に寝苦しいと感じることはあるはず。そんな時は、冬には温水を入れる湯たんぽを活用して、代わりに冷水を入れて足元に置いてみよう。
ミントの香りですっきり
ミントオイルを耳の後ろやうなじにすりこんでみると頭がすっきりしてくる。暑苦しいオフィスにいるときにもすっと爽やかになる。間違っても目の下に塗ったりしないように。
懐かしのかき氷
ドイツに無ければ作っちゃえ。氷をミキサーでクラッシュして、シロップはスーパーで売っている飲料用のものをかければあっという間にかき氷の雰囲気が味わえます。
住まい編
ブラインドを活用する
「暑い!」とは思っても、エアコンを購入しようとまで考える人は少ないはず。いくら湿度が高くても日本のそれとは比べものにならず、日陰に入ればまだまだ涼しい。そこで家の中を涼しく保つためにブラインドの活用を。朝、太陽光線が差し込まないようにブラインドを下ろし、窓を開けて冷気を入れる。気温が高くなってきたら、窓を閉め、陽が暮れたころにまた換気を すれば、熱気が入らず、快適な温度が保てる。
壁面や屋根の緑化で涼を呼ぶ
つたやブドウなどを壁面にはわせたり、多肉植物を屋根の上に植栽することによって直射日光が避けられ、屋内の温度も2~3度下げることができるといわれている。自治体によっては助成金を出しているところもあるのでぜひ、問い合せを。一軒家でないという人も、ベランダのプランターに朝顔などを植えて誘引し、天然のすだれを作ってみるのも面白い。
アウトドアライフをエンジョイする
冬の寒さを考えて作られているドイツの家は密閉性が高く、どだい夏の暑さを快適に過ごせるようにはできていない。そこでお勧めしたいのはアウトドアライフ。といっても難しいことではない。涼しい朝の内に朝食を自宅の庭やベランダでとったり、休日もオープンエアの映画を見に行ったり、夕方から開催される野外での観劇や映画、コンサートを楽しんでドイツならでは夏を楽しみたい。また汗をかきながら飲むビールのおいしさは格別だ。
簡単自家製アイス
小さく切って凍らせておいたバナナに、クリーム大さじ2、3杯程度(バナナ1本につき)を加え、(ハンド)ミキサーにかけて冷やし固めればおいしいアイスのできあがり。*缶詰の黄桃でも同様にできます。
食べ物編
舞楽あき子さんの手軽にできるさっぱり料理3品
スモークサーモンのたたき風
暑い日は、喉ごしのよい刺身が食べた~い!!新鮮な魚が手に入らなくても、スモークサーモンをたたき風に仕立ててみたら、お洒落にそれっぽく仕上がりました。スモークサーモンは高価なものでなくても、塩気が少なくて脂がのったスーパーのブランドもので十分。つゆも器も冷蔵庫で、きりっと冷やして召し上がれ。刺身用の鮭やまぐろが手に入るのなら、もちろんそれで作ってみてください。その場合は、醤油をこころもち多めに。
材料(2人分) | |
スモークサーモン | 200g |
エシャロット Schalotten | 2個 |
にんにく | 1〜2片 |
いくら(塩漬け瓶詰め) | 少々 |
あさつき Schnittlauch | 少々 |
だし汁 | 50ml |
しょうゆ | 30ml |
粉わさび | 小さじ1 |
水 | 少々 |
コショウ(できれば挽きたて) | 少々 |
作り方 | |
1. | 器を冷蔵庫で冷やしておく。 |
2. | 粉わさびを水で溶き、火にかけただし汁に入れ、溶かす。(*粉わさびでないと溶けにくい) |
3. | しょうゆとコショウを加え、火から下ろし、荒熱をとって冷蔵庫へ。 |
4. |
エシャロットとにんにくをみじん切りにする。 日本ではラッキョウのことを指す場合があるが、これが本物のエシャロット |
5. |
スモークサーモンを小さく切り分け、包丁の背でたたき、 (4)と混ぜ合わせる。 たたく時は包丁の背を使って |
6. | (5)をプリン型に入れ、冷凍庫で30~45分。表面がうっすら凍ってくるくらいまで冷やす。 |
7. | 器に盛り、つゆをかけ、いくらとあさつきを飾る。 |
焼きなす
ドイツの大きななすを使った焼きなすです。ガスコンロや焼き網がなくても大丈夫。電子レンジとアルミホイルで簡単にできます。なすの皮のこげる匂いが郷愁を誘い、蝉の声でも聞こえてきそう。冷麦や素麺でつるつるっと済ませたい、という日のおかずや、酒の肴に最適。温かいままでも冷やしてもおいしいです。
材料 | |
なす | 1個 |
しょうゆ、もしくは麺つゆ | |
薬味(しょうが、あさつき、かつおぶしなど) |
作り方 | |
1. | なすのへたをとり、半分に切ってそれぞれをラップでくるみ、電子レンジ強で3分加熱。 *ドイツのラップは電子レンジにかけると溶けてしまう場合があるので、必要な時はラップの代わりに電子レンジ用の容器を使うと安心 |
2. |
電気コンロを強にし、その上に直接アルミホイルを敷き、なすの皮側をまんべんなく焼く。 アルミホイルを破らないように注意して! |
3. | 黒い焦げ目がついたら、アルミから外し、冷水で手を冷やしながら、皮をむいていく。 |
4. | 適当な大きさに切り、しょうゆか麺つゆをかけ、薬味を添える。 |
Kombuchaのシャーベット
これが
コンブチャ!
オリエンタルなデザインで、清涼飲料水コーナーで異彩を放つKombucha。名前を見て、あれっと思った人も多いのでは。しかし、昆布茶ではありません。日本では紅茶キノコと呼ばれているもので、紅茶に砂糖と菌を入れて発酵させたもの。紀元前中国の発祥ですが、5世紀頃、朝鮮半島のコンブー博士が日本に紹介したことから、この名前がつきました。近年、ハリウッドスターの間で評判になり、一気にメジャーに。そんなうんちくを傾けながら、是非どうぞ。
材料 | |
Kombucha | 500ml |
砂糖 | 100g |
ウォッカ | 80ml |
ライム絞り汁 | 1個分 |
作り方 | |
1. | Kombucha150mlくらいを温め、砂糖を完全に溶かす。 |
2. | 残りのKombuchaとウオッカとライム汁を加え、粗熱がとれるまで置いておく。 |
3. | 空気を入れないと氷の塊に… |
4. | さらに1時間ほど冷やし、季節のフルーツを添える。 |
教会でひと時の涼をいただく
日本ならどこか建物に入ればクーラーがひんやりと効いている。片やドイツではクーラーが入っている場所はまれ。なので、どうにもこうにもならなくなった時には教会を訪れて、観光がてら、ひと時の涼をいただく。とはいえ、教会は信者のための神聖な場所という点だけはくれぐれも忘れないように。
欧州一大きな鍾乳洞 Atta-Höhle
アッテンドルンにある欧州一大きな鍾乳洞は、1907年に石灰採石場での作業中に発見された。全長6670メートルにも及び、その内1800メートルを見学できる。鍾乳洞の内部温度は常に9度前後。発見から100周年にあたる今年は様々なイベントが企画されているので、ぜひ家族連れで自然の作り出した造形美を楽しみたい。
Atta-Höhle
住所:Finnentroper Strasse 39, 57439 Attendorn
www.atta-hoehle.de
中世のワインセラー
バーデン=ヴュルテンベルク州、ズルツフェルトはドイツでも有数のワインどころ。1497年に作られた地下ワインセラーを見学した後は、選りすぐりのフランケンワイン2種類の試飲とズルツフェルト名産のお菓子が試食できる。
Tel: 09321-922665
www.weinerlebnis-sulzfeld.de