ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が「豊か」なのか?
著者:熊谷徹
発行元:青春出版社
2019年2月 刊行
毎日のように残業で変な時間に夕食を取ったり、休日出勤がない週末は決まってショッピングに出かけ、有給休暇はもちろん消化できず……日本で働いていた頃は、自分も含めこんなふうにせわしない人ばかりだった。一方ドイツで働き始めてみると、涼しい顔で定時に仕事を終わらせ、夜は家族や友人とゆっくり過ごし、長期休暇で2~3週間の旅行へ出かける、そんなドイツ人たちが眩しく見えて仕方ない。それなのに、ドイツの労働生産性は日本のそれを大きく上回っている。そんなドイツの「豊かさ」の理由を、在独29年のジャーナリストの熊谷徹さんが、さまざまな角度から検証したのが本書である。
過剰なサービスがないからコストがかからない、お互い様だから皆が長期休暇を取れる、消費意欲が低いから買い物にお金をかけない、エコロジー好きだからそれが政治の重要なテーマにもなる。読めば読むほど、日々感じる「ドイツあるある」がドイツ人の豊かさを支えているように思えてくる。最後の章では、日本でドイツ的な暮らし方や考え方をどう取り入れたら良いか、熊谷さんからのアドバイスも掲載。ドイツに住んでいる人なら、この国の暮らしに馴染むためのヒントにもなるはず。うんうん、とうなずきながら読んでしまったあなたは、もうすでにドイツ人になりかけているのかも……?