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名残惜しいけれど、この連載は今回が最終回。というわけで、リンダお気に入りの曲「Stark」を歌うIch+Ichにトリを飾ってもらいましょう。
その名の通り「私と私」。わかりやすく言えば「僕と私」。でも、テレビなんかに出てくるのはいつも「僕」だけ、ちょっと熊っぽいけど笑うとかわいいAdel Tawilです。エジプト人の父とチュニジア人の母の間に生まれたベルリン人、三十路男。ボーイバンド「The Boys」で、すでにミュージックシーンでは知られてたってことだけど、リンダ全然知りません……。片やペアを組む「私」って?
知らない人はIch+Ichのファンじゃないか、まだ若き20代かのどちらかね。1980年代にドイツで青春を謳歌した人なら知ってるでしょう。当時、一世を風靡したノイエ・ドイチェ・ヴェレの筆頭に挙げられるバンド「Ideal」のヴォーカルだったAnnette Humpe、御年58歳の熟女です。なつかしいな~、LPまだ持ってるよ! なんておじさまもいらっしゃるのではないかしら?
そんな2人が2004年、ベルリンの音楽スタジオで運命的な出会いをし、ガップリ四つに組んで誕生したのがIch+Ich。何でも、アーデルの歌声にアネッテ姉さんが一目惚れしたって話よ。そんな姉さんは主に作詞作曲を担当。表舞台には一切登場せず、舞台裏で“弟”を支えてます。何でアネッテはファンの前に姿を現さないかって?
彼女自身がシュピーゲル誌に語ったところによると、「『一昔前に流行ってたあのオバちゃん、まだなんかやってんの?』って言われたくなかったのよね~」なんだそう。そんなもんかしら、いくつになっても女心は複雑ね。
05年に初のアルバム「Ich+Ich」、その2年後には「Vom selben Stern」をリリース。その間に初の全国ツアーで大成功を収め、じわじわとドイツ・ポップ界に幅を利かせていったわけなんだけど、もともと実力がある2人だけに、土台がしっかりしてるよね。その辺のポッと出の若造とはちょっと違うっていうかさ。そして、最初にも書いたリンダの大好きな曲「Stark」で人気を不動のものにしちゃいました。もちろん、国内の数ある音楽賞は一通りかっさらったと思うわ。あ、そういえば、ついこの前発表があったECHOの授賞式では、アネッテの姿もちらっと見えたわね。
君は、僕が強くて、この先どう歩いていくべきかわかってると思っているけど、僕はただここで歌を歌ってるだけなんだ——。しびれるわ~! これからもいい歌、聴かせてね。(リンダ)