─ ポップタスチック・コンバセーション
FLY FAST RECORDS
昨年はドイツの若者の間で、Shanadooという東京出身らしい女の子4人(日本人にはとても見えなかったが)のグループがパラパラを踊りながら日本語で歌う「King Kong」がヒット。“ビジュアルケイ”という日本語も今やすっかり定着し、ティーンエイジャーを熱狂させるドイツのバンドTokio HotelやBUSHIDOの名だって日本語を思わせる。
いま、どうやら若者の間ではニホンゴがカッコイイらしい。アニメやマンガに端を発した日本ブームが、そう遠くないうちにドイツ音楽業界にも飛び火しそうな勢いだ。というのも、今月5日にベルリンのレーベルから発売されたこのCD、コンセプトは「ドイツのバンドが持ち歌を日本語で歌う」。ディ・エルツテ(Die Ärzte)やヴィア・ジント・ヘルデン(Wir Sind Helden)など14の人気ロックバンドが、自分たちの歌を翻訳して日本語で歌っているのである。
政治問題を皮肉たっぷりにユーモラスに歌った曲「KUJIRA O SUKUE」 (Die Ärzte)や「KAISHA YAME NI MAIRIMASHITA」(Bernd Begemann) というタイトルを見たら、1度は聞いてみたくなりませんか?おすすめは「♪ヤマハミツビシトヨタスズキソニー」と、海外で良く知られている日本 語を並べて歌にした「YAMA-HA YAM-HA」(Humpe&Humpe)。覚えやすい曲なので、ひょっとしたら忘年会ソングとしてヒットするかも。でもやはり別格は、今年リリースした「Endlich ein Grund zur Panik」で、日本を舞台にウルトラマンを思わせるヒロインと怪獣に扮するPVを製作したトップバンドWir sind Heldenだ。日本に造詣が深いのかどうかはわからないが、彼らのポップサウンドに合わせた日本語は、聞いていてとても心地いい。
このCDをきっかけに、ドイツのバンドを日本の若者に知ってもらいたいというだけでなく、ドイツ語圏の若者に日本語のすばらしさを伝えたいとは製作担当者の弁。そのため、付録にはなんと、初学者用としてPONS社の日本語講座CDが付いているのだ。ただ少し欲を言えば、ブックレットを正しい自然な日本語で書いてもらいたかったのと、歌詞カードを付けてほしかった……。発売はドイツ、オーストリア、スイス、そして日本の4カ国、独日のアマゾンでも購入可能。