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ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも仕事が回るのか<
ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも
仕事が回るのか

熊谷 徹

発行元:青春出版社

この原稿を執筆している12月の半ば現在、ドイツに暮らしている人々は、もうすぐ始まるクリスマス休暇を楽しみにしつつ、年内に仕事を終わらせるべく猛烈なラストスパートをかけているはず……。筆者自身も、日本の出版社で働いていた頃は考えられなかったことだが、約2週間の休暇をとって家族との時間を満喫する予定だ。ドイツと日本の間には、労働と休暇のあり方に歴然とした違いがある。ドイツでの暮らしが日本と比べてどこか少し不便だったり、快適だったりする背景を探るほどに、労働と休暇が社会や市民生活に大きな影響を及ぼしていることが分かってくる。

果たして休暇大国ドイツは、なぜ経済大国でもいられるのか。在ドイツ25年のジャーナリストで、本誌に「独断時評」を連載している熊谷徹さんの新著『ドイツ人はなぜ、 1年に150日休んでも仕事が回るのか』が、その謎解きのヒントを与えてくれる。本書を手にしたとき、まずこのタイトルに驚き、「え! そんなに休んでいるかしら!?」と思って数えてみると、土日祝日と休暇を合わせて本当に1年の3分の1を休める労働契約になっている(しかも、病欠の場合は別)。

ドイツ社会には、「休暇の完全消化を強制する上司」がいて、「迷惑と感じない同僚」がいる。このことが、休暇の取得率をぐっと上げている。ドイツはそういう社会だからね、と国民性や文化の違いと片付けてしまうのはもったいない。「ワーク・ライフ・バランス」は、絵に描いた餅ではなく、経済成長をあきらめずして実現可能なコンセプトだと、ドイツの事例から「いいとこ取り」をしたい。

「日独“いいとこ取り”のススメ」(本書P167~)は、耳に心地よい提言ばかりではないが、明日から実践できることがたくさんある。まずは管理職の皆さまから、「12. 会社から与えられた有給休暇を、思い切って全部消化してみる」を2016年から実践してみませんか? 日独の違いは、制度を利用しているか否か、それを社会が許す雰囲気かどうかの違いが大きいようです。「誰かが始めなくては、世の中は変わらない」(本書P174)。(編集部・高橋 萌)


 
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