CREATIVE LOCAL
エリアリノベーション
海外編
編著:馬場正尊、中江 研、加藤優一
発行元:学芸出版社
ISBN978-7615-2666-5
人口減少や過疎地化などの問題が懸念されつつも、クリエイティブなアプローチで街を活性化する新たな概念を「エリアリノベーション」と定義する本書。ドイツ、イタリア、アメリカ、イギリス、チリの5カ国の事例を挙げ、ドイツからはライプツィヒ、ベルリン、ラオジッツを紹介する。
2010年頃から急速に人口が増加するライプツィヒでは「ハウスプロジェクト」が盛んだ。これは、ドイツ再統一による人口減少で多くの建物が空き家となり、それを活用するというプロジェクト。借主は改修や維持管理を行うことで無償で部屋を借り、難民がドイツ語を学ぶ施設にしたり、アーティストの集う場所として利用されている。ライプツィヒ同様、空き地が増加した東ベルリンでは、その場所が「アーバンガーデン」に生まれ変わった。ここでは無農薬野菜などを栽培し、それらの食材がカフェで楽しめるという。食や生活へのこだわりを持つ人々が多く暮らす、ベルリンらしい取り組みとも言えるだろう。かつて炭鉱で栄えたラオジッツは、国を挙げた土木事業プロジェクト「IBA(イバ)」により、地域再生の真っ只中にいる。
産業遺産を観光のツールとして活用する動きもあるという。
自分たちでより良い暮らしを実現させた好例からは、持続可能なまちづくりのヒントが得られるはず。何よりもそこに暮らす人々の愛を感じずにはいられない。
▶▶ドイツの都市計画についてさらに知りたい方は……
ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか
質を高めるメカニズム
著者:高松平藏
発行元:学芸出版社
ISBN978-4-7615-1364-1
人口約10万人の地方都市エアランゲン。シーメンスの医療開発部門が拠点を構えていたり、近隣にはアディダスやプーマといったドイツを代表するスポーツメーカーの本社も置かれている。ドイツ国内でもとりわけ今後の成長が期待される創造性と柔軟性に富んだ都市として名前が挙がることも多い。
ドイツの各都市は繁栄と衰退を繰り返しながら、どのように個性豊かに成長を遂げてきたのか。小規模ながらも独自のカルチャーや生活スタイルが根付くエアランゲンの事例を基軸とし、現地在住ジャーナリス トの高松平藏氏がその理由を紐解く。
ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか
近距離移動が地方都市を活性化する
著者:村上 敦
発行元:学芸出版社
ISBN978-4-7615-2639-9
ドイツ、フライブルクをはじめとするコンパクトシティの成功を語る上で、「近距離移動」は大事なキーワード。集合住宅で人口密度が高く、日用品や日常サービスを提供する場がたいてい徒歩圏内であることが人々の移動を最低限に抑え、地域経済を活性化する。さらに公共交通の運営を行政や市民が支援し、居住エリアでの走行に制限を設けることで、あえて車移動を不便にするようなまちづくりがされているから驚きだ。
また、欧州のコンパクトシティの事例には、日本の地方都市が抱える問題を解決するヒントも詰まっている。