ジャパンダイジェスト

一人ひとりの行動で持続可能な社会へ ドイツで
サステナブル生活 にスイッチ!

最近、メディアでもたびたび耳にする「サステナブル」という言葉。「サステナブル(=持続可能)な社会」とは、地球の環境を守り、資源をセーブし、人間や動物が地球上でこれからも平和で豊かな生活を続けていける社会のことだ。その実現に向けて、今日世界中でさまざまな取り組みが行われる一方、人間の活動は地球温暖化や生態系の変化をもたらし、現在進行形で地球に負荷をかけ続けている。安全な地球上でこれからも生きていくために、私たち一人ひとりに何ができるだろう?「 サステナブル」という言葉をヒントに、地球と私たちの新しい関係性を探る。(Text:編集部)

参考資料:「Sustainable Development Report 2019」(Sustainable De v elopment Solutions Net work) 「Climate Action in Figures( 2019)(」Umweltbundesamt) 「Deut sche Na chhaltigk eit sstra tegie Neuauflage 2016」(Die Bundesregierung) 『小さな地球の大きな世界 プラネタリー・バウンダリーと持続可能な 開発』(丸善出版) 『『みんなのごみ』副読本~ごみを減らすための80のアクション』 (NPO法人 環境安全センター)

サステナブルなあの人
アーティスト、ミキ・ユイさんインタビュー

デュッセルドルフ在住のアーティスト、ミキ・ユイさん。最近取り組んだ「FLUX project」のテーマは、まさに「サステナビリティ」だ。普段の暮らしでも自分らしいサステナブルなアクションを実践している彼女に、持続可能な生活を送るヒントを聞いた。

ミキ・ユイ


1971年東京生まれ。1994年渡独、デュッセルドルフ在住の芸術家。日本とドイツで現代美術を学び、1998年より「スモールサウンズ」をテーマに音楽と美術の分野で活動。ヨーロッパ、アジアで数々のコンサートや展覧会を行い、ラジオ、舞台作品などで作曲。ソロアルバムもリリースしている。
mikiyui.com

持続可能にするコツは
自分がワクワクすること

ボゴタで行われたパーマカルチャーのワークショップの様子

サステナブルな生活は続けるからこそ意味がある

プラスチックフリー、ごみが出ないように……サステナブルな生活は何かと制約が多い、という印象があるかもしれない。しかし、ミキ・ユイさんのライフスタイルは、サステナビリティを基調としながらもどこか豊かさが感じられる。「基本的にサステナビリティって、続けられないと意味がないですよね。地球に優しい生活がしたい! と思って始めたことでも、実際にやってみると続かないことなんていっぱいあって……」

そんなミキ・ユイさんがサステナブルな暮らしを意識するようになったきっかけは、化粧品。乾燥肌に悩み、友人に泥洗顔をすすめられた。「モロッコのガスールという泥を使い始めて、そのうち化粧落としも不要になり、洗顔に必要なものは泥だけに。そこで気づいたのですが、化粧品や台所用品ってプラスチックボトル入りがほとんどなんです。私は魚が好きなので、やっぱり海で漂流する大量のプラスチックのことを考えるとげんなりしてしまって。だから、プラスチックボトルは避けたいという気持ちがありますね」

ほかにも固形シャンプーや固形歯磨き粉など、プラスチックフリーの製品を使用し、化粧水も手作りしてガラスのボトルに詰めている。ものを購入する頻度が減ったことで、かえって節約され、代わりにビオの野菜にお金を充てるという。「近所の市場で近郊の農家の野菜を購入すると、生産者と近く、何に対してお金を払っているのかが見える。信頼が生まれると同時に、何か特別なことをしているというワクワクが生活の中にある感じです」

Sauberkunstベルリン発のSauberkunstの固形シャンプーを愛用

自然に触れるとニュースがリアルになる

今夏も熱波の影響でドイツ各地で森林火災が発生。そういったニュースと自分の間に距離を感じることはないか、とミキ・ユイさんは続ける。「まずはちょっと自然に触れてみることが重要だと思っています。ドイツにはS バーンで行ける距離に森がたくさんある。森で過ごしてストレスや悩みがすーっと解けていく体験があれば、実際に森が燃えていると聞いた時、そのニュースをよりリアルに感じられると思います」

定期的に森に出かけるというミキ・ユイさんのおすすめは、街中の自然の定点観測。「普段通る道にお気に入りの木やスポットを定めて、日々の変化を眺める。すると、いつの間にか自然とのコミュニケーションが始まる。暑い時大変だったかな、でも緑が戻ってきたかな、なんて。まるで友だちのような感覚ですね」

アートプロジェクトで広がるサステナブルな輪

ミキ・ユイさんでも実感が沸きづらかった場所の1つが、アマゾンの熱帯雨林。気候変動や森林伐採が地球全体にどんな影響を及ぼすのかは、多くの人にとって想像しづらいことだろう。「福島原発事故の時と同じく、現地にいないので、いくらニュースを読んでも不安になるだけで実感できない。そんなとき、アマゾンに行った友人から、アマゾン熱帯雨林でアーティストが科学者とともに学び体験するプログラムがあると聞いて、応募してみたら受かったんです」

そうして昨年8月にブラジルに渡ったミキ・ユイさん。同じプログラムに参加していたブラジル人のナタリア・ファバロさんと意気投合した。「彼女はアマゾン川流域の人々に、私はドイツから参加していた気候学者にインタビューをして、ショートフィルムをつくることに。欧州や南米の都市で上映会を開き、サステナビリティについてディスカッションする場をつくることが目的でした」

「FLUX」と呼ばれるこのプロジェクトは、すでにコロンビアのボゴタやデュッセルドルフで実施。毎回その土地の専門家を招き、作品上映とともにレクチャーやワークショップを開催する。「例えばパーマカルチャー*をカードゲームで学んだり、ワイルドハーブの専門家にどんな野草が食べられるか教えてもらうことも。個人的にも、サステナビリティについて考えているさまざまな分野の人と知り合えてうれしいです」

それぞれできること、できないことがあるけれど、皆で集まればアイデアを出し合える、とミキ・ユイさんは言う。ワクワクして楽しく続けられること。まずはここを入り口にして、自分らしいサステナブルな生活を探ってみるといいのかもしれない。

*永続性(パーマネント)、農業(アグリカルチャー)、文化(カルチャー)を組み合わせた言葉で、人と自然が持続可能な関係を築いていくためのデザイン手法のこと

FLUX 映画上映と野生蜂についてのレクチャー
(入場無料、ドイツ語)

FLUX projectFLUX projectのショートフィルムより

ゲスト:Anja Eder(Wildbienenretterin)
日時:2019年11月22日(金)19:30
場所:Berger Kirche Wall Strasse 17, 40213 Düsseldorf
www.flux-project.net

 
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