今年のイースター休暇の目的地は、太陽の恵みを求めて地中海方面に決まり!
特集「イースター休暇は東地中海へ」を企画しました。
すると、その矢先に訪れたイスタンブルへの取材旅行のチャンス……。
「百聞は一見に如かず」とばかりに弾丸旅行で駆け回ってきた、
イスタンブルでの週末の様子をリポートします。
(編集部:高橋 萌、取材協力:H.I.S )
1月吉日、凍てつく寒さのデュッセルドルフを出て、トルコ航空の飛行機に乗り込み3時間ちょっとの空の旅。千年の都イスタンブルを目指す。初めてのトルコを前に慌てて知識を詰め込んだ私。週末しか滞在できない今回は、世界三大料理に数えられる美食、ビザンティン帝国やオスマントルコ時代の栄華を誇る建築物、親日的な国民性と噂されるトルコ人の人の良さ、この辺りを検証する必要があるとマークする。
トルコ航空の機内食はさすが。トルコ料理が出てくる。
しかもボリュームたっぷり!
到着してすぐに感じるのは、その暖かさ。ドイツと比較すると季節が1つ先を行っているように感じた。手袋もコートも脱いで、イスタンブルの空気に身を馴染ませていく。時間的には金曜の夜10時過ぎ、宿の近くにあるタクスィム広場に向うと、そこはタクシーを待つ人の長蛇の列と、路上の大渋滞、鳴り響くクラクション、そして溢れ返る人・人・人……人口1000万人を抱えるメガシティは伊達じゃない。こりゃ、花の金曜日ってやつだね、と陽気に飲み歩く人に圧倒されながらも、ふと思う。ここはイスラム教の国ではなかったか?
トルコは共和国建国の父と呼ばれるケマル・アタチュルク氏が政教分離政策を推し進めて以来、教義や戒律について随分ゆる~くなっているらしい。そうかそうか、と入ったお店でさっそくトルコビールをいただく。く~! 地ビールの味に旅の気分も盛り上がる。
さて、大都市イスタンブルを週末だけで回るにはそれなりの計画性が求められる。今回の土日のタイムテーブルは以下の通り。自信を持ってお届けする欲張りコース!
07:30 | ガラタ塔に上り、イスタンブルの全容を把握 |
08:00 | イスティクラール通りを行き、新市街を散策 |
12:00 | 昼食・ケバブを食す |
14:00 | スルタンアフメット・ジャーミィ、トプカプ宮殿など、旧市街の名所を巡る |
17:00 | グランドバザールへ |
18:00 | 夕食・魚料理を食す。この後、ベリーダンスを見に行く |
06:00 | 朝一でハマム(トルコ風呂)体験 |
07:00 | 旧市街のロカンタで朝食 |
08:30 | エジプシャンバザールへ |
10:00 | トルコのお菓子を堪能 |
11:00 | 空港へ |
ガラタ塔から臨むイスタンブルの大パノラマは、ため息もの。ヨーロッパ側の大陸の旧市街と新市街を隔てる金角湾は、朝日を受けて黄金に輝き、ドーム型の屋根とミナレット(塔)でそれと分かるいくつものモスクが異国情緒をくすぐる。と、1日に5回あるというイスラム教のお祈りの時間を知らせるアナウンス(というより歌っているように聞こえる)が聞こえてくる。イスラム教圏に初めて足を踏み入れた私には新鮮。
現地で出会った日本からの旅行者の中島さんご夫妻は、朝一でアジア大陸側のカドゥキョイに船で渡り、鯖サンドを食したと言っていた。船は片道約1.50TL(1トルコリラ=約0.50ユーロ)。そのプランも良かったな。
エレベーターで最上階に行くと、この絶景が待っている
旧市街の名所、スルタンアフメット・ジャーミィ(通称ブルーモスク)、トプカプ宮殿、アヤソフィアと地下宮殿は徒歩圏内にある。現地ガイドのメティンさんの解説にうなりながら見学を続けていると、「カワイイですね~」
世界中の富と権力を集めたオスマントルコ。
そのすさまじい財力を証明するトプカプ宮殿
ブルーモスクでは、チューリップの花などが描かれた
青いタイルの美しさに心奪われる
「日本人好きでーす」と囁いて来るトルコ人男性の皆さん。おぉ、噂通りの親日家!と振り返ったら、彼ら手にはしっかり日本語のガイドブックや絨毯を携えている。あ、売りつけようってことか。カワイイのは足元に擦り寄ってくる野良猫たちの方さ、と少し卑屈になる。それにしても、イスタンブルには悠々自適に散歩を楽しむ奔放な野良猫が多い。猫だけでなく、犬、それも大型犬がふらふらしているのだから。とはいえ、彼らは人懐こく、おとなしいのでご安心あれ。
グランドバザールやエジプシャンバザールでは、体力を使った。まず、外国人観光客には高値をふっかけてくるから、値引き交渉が必要。お目当ての品を探しながら、迫りくる売り子たちの日本語や英語による猛攻を交わし、納得の行く買い物をするには、粘り強さが必要。「ちっちゃいお尻~!」と声を掛けられたときはさすがに噴出してしまった。そのごますり文句で引っかかる客はいるのか?!
雑貨から絨毯、食料品まで何でも揃っているグランドバザール
トルコ人の旅人や客人に対するやさしさは、少し観光名所を離れたところで実感することができた。朝ごはんをいただいたロカンタ(大衆食堂)のご主人は、「今日、イスタンブルを去らなければいけないのに、トルコの美味しい食事を食べ切れていない」と愚痴をこぼす私に、「これも試してみるか?これはどう?」と、いろいろなトルコ料理を試食させてくれた。「気を抜くと、ぼったくられるかも……」と、身構えていた私は会計のときに罪悪感に駆られることになった。
ロカンタのご主人おすすめの鶏肉ケバブ。
焼き立てでやわらかくて、とってもジューシー
ふらっと入った、ライスプディングが美味しいお菓子屋さんでも、トルコ人の温かさに触れた。前述のロカンタで3杯、お菓子屋で2杯と、気の良い店主たちによって振舞われたチャイ(お茶)の美味しいこと。お茶でたぷたぷのお腹を抱えながら、トルコにいつか再び戻ってくることを誓った。