ジャパンダイジェスト

黒トリュフ料理界のダイアモンド「黒トリュフ」を堪能しよう

類まれなる素晴らしい味と香り、希少価値、
高価さから「料理界のダイヤモンド」と呼ばれる黒トリュフ。
トリュフの存在は古代から知られており、
今日でも宴席やガストロノミー界では欠かせない食材である。
そのトリュフが採れるプロヴァンスの町、オプスを訪れた。

ガストロノミー界では欠かせない食材

黒トリュフはフランス語では「Truffe noire」または「Tuber Melanosporum」という。トリュフが育つのに適している気候条件としては、標高は高すぎず低すぎず、気温は高めで乾いた土地、そして夏ににわか雨が降り、土壌は石灰質の場所、ということが挙げられる。フランスではペリゴール地方、プロヴァンス地方のものが有名だ。主にカシ、ブナ、ポプラの根元の土の中にできる。中身は黒とほのかに白のマーブル色で、特別な香りを放つ。

オプスこのシーズンに合わせ、オプスでは毎年1月の第4週目の日曜日に黒トリュフの祭りがある。この日はトリュフ市が開かれ、地元の農産物も同時に並ぶ。また貴重なトリュフをどのように探すのか、デモンストレーションが行われたり、トリュフにまつわるシンポジウム、展覧会が開かれたりするなど、トリュフに関するイベントが盛りだくさん。もちろん村のレストランではトリュフの特別メニューが用意される。

オプスのトリュフ市に出掛けよう

トリュフ市とオプスの地図プロヴァンス・アルプ・コート・ダジュール地域圏にあるオプ スは、トリュフで有名な町。毎年11月の最終木曜日から翌年2月の最終木曜日までトリュフ市が開かれている(収穫の多い年は3月中旬まで行われることもある)。このトリュフ市は業者はもちろん、個人でも購入することが可能で、値段は品質により定められ ている。市が開かれる期間の中でも、特に1~2月のトリュフは一番出来が良いとのこと。今がシーズン真っ盛りだ。

オプスへのアクセス
ニースやマルセイユなどプロヴァンスの都市を旅の拠点に。電車でDraguignan / Les Arcs-sur-Argens駅へ向かい、そこから車で35分。
www.aups-tourisme.com

トリュフ市へ行ったら1つは買いたい!
良いトリュフとは?

感触は? よいトリュフとは?

親指と人指し指で挟んで押してみて、ほどよく硬いものを選ぼう。柔らかすぎるものは水分を多く含んでいるので、味が劣る。逆に硬すぎるものは、中が凍っている証拠なのでお勧めできない。押したときに水がにじみ出てくるものは、一度凍ってから溶けた可能性があり、風味が落ちている。


香りは?

冬に行われるトリュフ市はとても寒いので、両手でトリュフを包むように持ち、手のぬくもりで少し温める。その後両手を少し開き、隙間から香りをかいでみる。香りが高いものを選ぼう。


形は?

ごつごつと大きく育ったものは、育つために内側から強い力がかかり、香りが強いものが多い。ただ用途によって、形や大きさを選ぶことが多く、例えば、薄い輪切りにして1枚だけトリュフを添えるような料理には、ごつごつとコブを持つトリュフを使うと、断面が花のような形になり、見た目が美しい。


色は?

今年のオプスでの相場は1kgで700ユーロ。ただ、これは中身が真っ黒と白のマーブルになっている黒トリュフの値段であり、薄茶色のものは1kg600ユーロほどで売られている。中身が真っ黒ではない(薄い黒や茶色など)トリュフを正規の「黒トリュフ」として販売することはできず、販売者は必ずナイフで端を切り落とし、中身の色を確かめてから値段をつけなければならない。奇麗なマーブルになっているものを選ぼう。

トリュフの下準備

香りを楽しむためには、買った次の日までに使うのがベスト。汚れを取り、香りを引き出すためには、少しだけ水道をひねり、少量の水で土を除去するように専用のブラシでこする。洗い終わったらキッチンペーパーで水分を拭き取り、乾かす。基本的に、これで下準備は完了。あとは調理するだけだが、ソースにするときなど、香りを楽しみたいときには、数時間ソースの中に浸して香りを移してから調理すると良い。
トリュフの下準備

トリュフ屋さんからのアドバイス

米の中に入れて保存できるだけ冷たい水で洗うこと。冷たければ冷たいほど味が落ちないので、氷水で洗うのが一番お勧めです。長期保存する場合には、キッチンペーパーで水分を拭き取った後、しっかり乾かしてからアルミホイルに包み、冷凍庫に入れるのが一般的な保存方法。これで数カ月は保存できます。また、個人的なアドバイスとしては、プラスチック製の密封容器に米を入れ、その中にトリュフを埋めて冷凍庫で保存することをお勧めします。こうすると、1年間くらいは冷凍庫で保存することができます。その後、保存に使用していた米はリゾットにするといいですよ。

レストランで頂けるメニューの例

Le Provençal
Place Martin Bidouré 83630 Aups
TEL : +33 (0)4 94 70 00 24
前菜・メイン・チーズ・デザート 45€

カボチャのスープとフォアグラのアイス、トリュフ添え
Soupe de potiron et sa glace de foie gras truffé

カボチャのスープとフォアグラのアイス、トリュフ添え

トリュフと鴨肉のトゥルヌド
Tournedos de canard aux truffes

トリュフと鴨肉のトゥルヌド

トリュフのチーズ
Fromage truffé

トリュフのチーズ

Dessert
レモンケーキ

飲み物
赤ワイン
Coteaux varois Domaine de Valcolombe
500ml 18.50€

トリュフの収穫

プロヴァンスでは、一般的に11月下旬から3月中旬まで黒トリュフの収穫が行われる。カシの木など、決まった木の根元にあるとはいえ、土の中(約15cmほどのところ)で不規則に育つトリュフを探し出すのは至難の業。そこで、収穫の際に動物の力を借りるのが一般的だ。トリュフの収穫方法は3種類ある。また、木とともに成長するトリュフは、育つためにスペースが必要で、その回りにある全ての植物を除去してしまう。この現象を「brûlé(焦げた)」といい、この現象があるところにトリュフが育っている可能性が高い。

  • 犬を使う
    トリュフの香りをかぎ分ける訓練をされた犬を使い、犬が反応した場所を掘り起こす方法。現在はこの方法が主流。犬はトリュフを食べないので、掘り当てた後に食べられてしまう心配がない。
  • 豚豚を使う
    本能的にトリュフの香りに魅了される豚を使い、トリュフのある場所を当てる方法。ただ豚は犬とは異なり、見つけると自分で食べてしまうので、最近ではこの方法を使う生産者は少なくなってきている。
  • ハエハエを使う
    特別な種類のハエが、トリュフのある場所に卵を産む、という習性を利用して探す方法。トリュフが熟していればいるほど集るハエの数が多い。左記の二つの方法に比べて不確かなので、あまり使われることがない。

トリュフ収穫方法を見学 アルシエさんのトリュフ栽培

トリュフの収穫方法オプスでトリュフを栽培し、レストラン&ホテルを経営するアルシエ家。町の中心にあるレストランから車で5分ほど離れた土地で、トリュフを栽培している。

「27年前に2haの土地を買いました。オプスは標高 505m、海からも60kmと、トリュフ栽培に適した気候です。ただ、毎年収穫できる量は異なります。6、7月に雨が降る年は、比較的よくトリュフが育つ傾向があります。しかし、最初の15年間はトリュフが全然採れませんでした。いくつか土地を所有していますが、もう20年近くトリュフが採れない場所もあるので、そこはそろそろ他のものに植え替えようと思っています。採れる年もあれば、1~2個しか採れない年もあります。ですから、トリュフの販売だけで生計を立てるのは難しく、レストランやホテルを経営しているところが多いですね」

高価なトリュフだが、その裏にはものすごい苦労があるのだと分かる。アルシエさんの栽培所では、8mごとに1列木を植えている。木と木の間は6m。12年に一度は木を植え替えるという。

ミッケと名付けられた犬を連れてトリュフ探しに出る。ミッケはトリュフの匂いをかぎ分けるために特別な訓練を受けた犬で、3500ユーロで購入したという。

ミッケは木が生えている場所まで行くと、鼻を地上にこすり付けて匂いをかぎ始める。特定のところで突然止まり、前足でその場所の土を少し掘り起こす。どうやらトリュフの匂いがしたようだ。

アルシエさんがその場所に座り、小さな金属の器具で土を掘る。トリュフを傷付けないよう、1回だけ器具で土を掘り起こし、後は手で丁寧に土を取り除いていく。アルシエさんは土を掻き分けながら、両手で土をすくい、匂いをかぐ。匂いが強い場所の奥にトリュフがあるはずだ。すぐに見つかることもあれば、3回くらいかき分けて匂いをかいでも見当たらないこともある。そんなときは再び犬を呼び寄せる。犬は掘り起こして少し穴が開いた場所に鼻を当て、その周辺で最も匂いの強いところを当てる。

ほとんどの場合、この時点でトリュフが出てくる。トリュフが出てきたら、ミッケはアルシエさんからご褒美のエサをもらう。

この日、30分弱のデモンストレーションで7カ所を掘り、5カ所でトリュフを掘り当てた。

ドイツのトリュフ事情

キャビア、フォアグラと並び「世界三大珍味」の1つに数えられるトリュフ(ドイツ語でTrüffel)。フレンチやイタリアンに欠かせないキノコの一種だが、人工栽培が難しく、ドイツは伝統的な生産地からは外れていた。しかし、2012年にスイスの森林学者がドイツ南部にもトリュフが生息していることを発見。その後、南部だけでなく各地でトリュフが確認されている。絶滅危惧種と言われる「ブルグンダートリュフ」も見付かっており、トリュフ栽培の講座や、犬のトリュフ収穫訓練は、現在ドイツで密かな人気を博している。

ドイツでのトリュフの楽しみ方

生トリュフはお取り寄せで楽しむ

何といっても、鮮度が命のトリュフ。ドイツのマルクト(市場)では、見かけたことがない。それでも、どうしても生トリュフを入手したいという方は、トリュフ専門のオンラインショップを利用してみよう。


trueffelshop.de
ワイマールを拠点に、鮮度にこだわったトリュフの専門店として12年間の実績あり。 www.trueffelshop.de


Tartufo del Re
イタリアとフランスのトリュフ収穫グループと密に連携。ビオのトリュフ販売もスタート。http://tartufodelre.com

デパ地下で購入! トリュフ入り食材

高級なトリュフの風味を手軽に楽しみたいなら、デパートの地下の食品売り場へ。瓶詰めトリュフ(Trüffelkonserven)やトリュフオイル(Trüffelöl)などが並ぶ。特に、トリュフバター(Trüffelbutter)はお土産にもお勧め。料理のアクセントに使いやすく、香りも高い。

トリュフのスクランブルエッグ
Brouillade de truffes

トリュフ料理の基本。レストランでも堪能できるし、家庭でも容易に作ることができる。

トリュフのスクランブルエッグ

材料(4人分)


トリュフ60g、卵6個、オリーブオイル大さじ1杯、塩、コショウ適量

作り方

トリュフの土を取り除くため、ブラシをかけながら少量の冷水で洗う。すぐに乾かし、卵と一緒に密封瓶の中に入れ、冷蔵庫の下の方で1日置いておく。
調理をする数時間前に瓶を取り出し、常温に置いておく。
トリュフを専用のカッターでなるべく薄切りにする。
よくかき混ぜた卵に塩・コショウをし、3のトリュフを混ぜる。
オリーブオイルを熱したフライパンに、4を入れる。
弱火にし、木のへらでかき混ぜる。オムレツのように完全に固まらせず、半熟の状態で火から下ろし、頂く。

ポイント

ほかにも、ソースの香り付けに使ったり、魚、肉、野菜、でんぷん質のもの(じゃがいも、パスタなど)に合う。トリュフはデザートや前菜にも使われる。また、カマンベールチーズの真ん中を切り、その中にトリュフを挟んでもおいしい。また、トリュフは脂肪分と融合することで、香りが増すので、クリームソースと和えるときには、少し脂肪分の高いものを選ぶとよいそうだ。

 
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