ドイツワインを楽しむためには、どのようなグラスを揃えたらよいのでしょう。有名メーカーは、フランスワインやイタリアワイン向けのグラスのほかに、ドイツワイン向けのグラスも生産しています。
たとえば、オーストリアのリーデル(RIEDEL)社のソムリエシリーズには、リースリング・グランクリュ用、ラインガウ用といった目的別のグラスがあります。ドイツのシュピーゲラウ(Spiegelau)社のヴィノ・グランデシリーズにもリースリング用グラスがありますし、同じくドイツのショット・ツヴィーゼル(Schott Zwiesel)社は、ドイツ・ワイン・ソムリエ学校(Deutsche Wein- und Sommelierschule)と共同開発したグラスシリーズ、ファイン(Fine)を展開しており、この中にラインガウという名称のリースリング用グラスがあります。
最初は、一般的な白ワイン用、赤ワイン用、そしてゼクト用の3種類を少しずつ揃えていけば良いと思いますが、ドイツのリースリングを飲むことが多い方ならリースリング用グラスを、シュペートブルグンダーをよく飲むという方なら、ピノ・ノワール用グラスをいきなり購入するのも良いかと思います。
私がドイツワインを飲むようになって最初に購入したのは、飲み口が花弁のようにちょっと開いたリースリング用のグラス。次がロゼ用と赤ワイン用、その次がゼクトグラスでした。ゼクト用にはシャンパーニュ地方に出かけた時に、底がV字型に深く刻まれ、ムシアープンクト(Moussierpunkt)と呼ばれる、泡立ちを助ける仕掛けのあるシャンパングラスを購入しました。このグラスは洗って拭く時に、お箸の先などに布巾をからめ、底にたまった水分をとらなくてはならず、手間がかかりますが、旅の思い出とともに大切にしています。
プロ用のテイスティンググラスに、I.N.A.O.(フランス国立原産地名称協会)の規格グラスがあります。これは白ワイン、赤ワイン双方のテイスティングに使えるコンパクトなグラスです。
ドイツでは、I.N.A.O.のグラスよりも、ドイツ農業協会(DLG)とドイツワイン・インスティトゥート(DWI)が共同開発したDIN-Weinprüfglas(ドイツ工業規格ワインテイスティンググラス)のほうが好まれています。両者を比較すると、DINの方がステム(足部分)も長くエレガントなので、家庭向きかもしれません。グラスの直径もI.N.A.O.グラスより11ミリ大きく、赤ワインのテイスティングにはより適しているとのことです。このグラスはショット・ツヴィーゼル社からゼンスス(Sensus)という名前でリリースされています。グラスの底にはムシアープンクトもついており、ゼクトグラスとしても使えます。
グラスによって、ワインの香りの立ち具合や味覚が違って感じられるのは本当です。醸造所やワインショップなどでテイスティングした時に、手にしたグラスの使い勝手が良く、ワインを美味しくいただけたら、同じグラスを家庭用とするのも一案です。
(ラインヘッセン地方)
前回ご紹介した醸造家カップル、ハンス=オリバー・シュパニア、カロリン・シュパニア=ジロー夫妻の妻の醸造所。「コントロールされた無為」、つまり、醸造・熟成過程において、できるかぎり手を加えず、ワインの力を信じて見守ることを信条とする家族経営の醸造所。広大なラインヘッセン地方の中でも、ライン川に面する「ラインテラス」あるいは「ラインフロント」と呼ばれている、オッペンハイム、ニアシュタインほかの特級畑を所有。醸造所の名刺となっているのは「Qvinterra(5つの大地)」と名付けられたグーツワイン・シリーズ。5つの大地とは、ライン川に面する5つの村を意味している。
Ölmühlstr. 25, 55294 Bodenheim
Tel. 06135-2333
www.kuehling-gillot.de
2007 Nierstein Riesling trocken
2007年産 ニアシュタイン・リースリング・トロッケン(辛口)12,50ユーロ