現在、ワインボトルの栓には、ナチュラルコルクのほかにスクリューキャップやガラス栓、合成樹脂栓や王冠などが使用されています。ナチュラルコルクは、ごくまれにコルク臭と呼ばれるトラブルが発生するにもかかわらず、ドイツのワイン愛好家には、最も支持されている素材です。今回は、ナチュラルコルクの製造方法を、簡単にご紹介しましょう。
幹から剥がされたコルクオークの樹皮は、まず3カ月から1年にわたって風通しの良い場所で素材が安定するのを待ちます。その後、何度も水を取り替えながら煮沸して膨張させ、さらに3週間ほど保管します。そして、コルク栓に使用可能な品質のものを選別、カッティング(型抜き)し、表面を研ぎます。洗浄前のこのコルクを生コルクといい、この段階でも選別を行います。
その後、生コルクを洗浄します。洗浄には過酸化水素が使われます。過酸化水素には殺菌と漂白の効果があります。乾燥後はさらに品質別に分類してコルクの滑りを良くし、気密性を高めるためにパラフィン、シリコンなどで表面加工します。型抜き後に残ったコルクを粒状に砕いてからプレスして成型するコルク(プレスコルク)は、上下にナチュラルコルク片を貼り付けてから洗浄します。醸造所名などは最後に印刷されます。
出来上がったコルク栓には、たいてい表面に小さな穴がいくつも空いていますが、これはナチュラルコルクそのものの状態で、ワインの品質に影響はありません。肝心なのは、内部組織に異常があるか否かだそうです。コルクの長さは38~60ミリまであり、ワインの品質等級などに応じて使い分けます。
コルクはその保存法、打ち方にも細心の注意が必要です。通常のコルクを打つときは、コルクの温度が15~25度、コルク自体の湿度が5~7%、ワイン上面とコルクの下面の間隔が20ミリ、ワインの温度が15~18度、ボトル内の気圧がマイナス0.2バールと軽い低圧であること、などの条件が必要だそうです。
スクリューキャップも徐々に普及し始めています。スクリューキャップはすでに1970年代から試されており、長期保存するタイプのワインにも使用できることが分かっていました。スクリューキャップは、やがて失われていくフレッシュなワインのアロマを、通常のナチュラルコルクよりも数カ月長く持続させてくれるそうです。そのためドイツでは、長期保存するワインよりも、早飲みワインに導入している醸造所が多いようです。
ナチュラルコルク以外の栓は、コルク臭のトラブルを解決するため、過去約20年間にわたって研究、開発が行われてきました。スクリューキャップやガラス栓、合成樹脂栓や王冠などは、コルク由来のコルク臭の原因にならないこと、そしてナチュラルコルクよりも安価であることから、使用割合が増えてきています。
(コルク栓の製造工程については、Korkindustrie Trier社のハイナー・シーベンさんのご協力を得て執筆しました。)
(ラインガウ地方)
© Weingut J. Koegler
ラインガウ地方、エルトヴィルで5代にわたってワイン造りを行ってきた家族経営の醸造所。所有畑は34ヘクタール。年間15万本を生産している。醸造所の建物は、1467年にグーテンベルクの指導の下、世界最古の聖書およびラテン語文献解釈のための辞典が印刷された場所でもある。オーナーで醸造家のフェルディナント・ケグラー氏は、高品質なリースリングを生み出すほか、ブルゴーニュスタイルのシュペートブルグンダー、ラインガウ初のグリューナー・フェルトリーナーをリリースしている。レストラン、宿泊施設も併設され、ラインガウの旅の拠点に最適。
Weingut J. Koegler
Kirchgasse 5, 65343 Eltville
Tel. 06123-2437
www.weingut-koegler.de
2009 Grüner Veltliner Eltviller Sonnenberg
2009年 グリューナー・フェルトリーナー・エル トヴィラー・ゾネンベルク
18€