この章では、岩石が熱や圧力などの影響でさらに堅固になった変成岩、マグマが固まってできた火成岩をご紹介し、土壌解説を締め括りたいと思います。
●変成岩
ライン川流域やモーゼル川流域には、デヴォン紀(4億年前)の粘土など、海底堆積物が岩石化した粘板岩(シーファー / Schiefer)が見られます。粘板岩に特徴的な灰青色は、堆積の際の有機物に起因しています。粘板岩は、このような堆積物から形成されたシルト岩などが、高温化や圧力作用を幾度も経て板状になったもので、状態によって堆積岩に分類されたり、変成岩に分類されたりします。粘板岩は主に石英、雲母、緑泥石といった鉱物から成り、鉄分、カリウム、マグネシウムを豊富に含みますが、石灰分は含有しません。また、非常に風化しやすい岩石で、水はけが良く、保水力がほとんどありません。通気性に優れ、熱を蓄えやすいものの、ぶとうにとっては根を張るのが困難な土壌です。
片岩(シスト)は、ドイツではグリマーシーファー(Glimmerschiefer)と呼ばれる、粘板岩よりも変成の進んだ岩石です。グリマーとは雲母のことで、片理と呼ばれる構造ゆえ、平行に剥がれやすくなっています。グリマーシーファーはフランケン地方などに部分的に存在しますが、ドイツよりもオーストリア、スイスのアルプス地方に多く見られます。
千枚岩(フィリット / Phyllit)は、ラインガウ地方などで見られる古い岩石の1つ。4億5000万年前のオルドビス紀に形成されたといわれています。海岸沿いの粘土の堆積が隆起の際に深い谷に沈んで折り畳まれ、重みで粘板岩状になったもので、やはり雲母などの鉱物から成り、さらに変成が進むと片岩あるいは片麻岩(グナイス / Gneis)になります。千枚岩も粘板岩と同じ性質を持ち、石灰分は含有しませんが、適度なミネラル分を含んでいます。
珪岩(クワツィット / Quarzit)は、ラインガウ地方、ラインヘッセン地方、ナーエ地方に見られます。デヴォン紀の砂状の堆積土壌が砂岩となり、その後強い圧力を受けて変成したもので、ほとんどが石英から成っています。水はけの良さは中くらい、保水力もあまりありません。しかし通気性が良く、熱を素早く蓄積します。珪岩も石灰分を含有せず、ミネラル分は少なめです。
●火成岩
ドイツのぶどう畑には火成岩土壌も多く、中でもよく知られているのがアール、ミッテルライン、 そしてバーデン地方のカイザーシュトゥールです。
火成岩のうち、マグマがゆっくりと冷却固結したものを深成岩といいます。ラインガウ地方、ヘッシッシェ・ベルクシュトラーセ地方、プファルツ地方、ザクセン地方で見られる花崗岩(グラニット / Granit)は深成岩に分類されます。変成岩とほぼ同様の特徴を持ち、水はけが良く、保水力がなく、通気性に優れ、熱を蓄えますが、根付きにくい土壌です。石灰分はなく、ミネラル分のポテンシャルは中くらいです。ナーエ地方などで見られる斑岩(ポルフィル / Porphyr)も、火成岩の1つです。
シェーファー・フレーリヒ醸造所(ナーエ地方)
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Weingut Schäfer-Fröhlich
Schulstraße 6, 55595 Bockenau
Tel. 06758-6521
www.weingut-schaefer-froehlich.de
2011 „Schiefergestein“ Bockenauer Riesling trocken
2011年「シーファーゲシュタイン」ボッケナウアー・リースリング
辛口 16.00€(完売)
※2012年ヴィンテージは4月中旬より発売 17.50€
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