連邦政府が貧富リポートを発表
フォン・デア・ライエン労働相は楽観的見解
連邦政府は6日、最新版の「貧富リポート」を発表した。これは、国内における貧困率や失業率、富の分配などを調査した内容で、その結果についてフォン・デア・ライエン労働相(キリスト教民主同盟=CDU)は、楽観的見解を示している。ヴェルト紙が伝えた。
同リポートの公表は4回目。今回の調査では、国内の貧富格差の拡大が止まり、長期失業者の割合が2007~12年の間に40%減少、貧困状態にある子どもの数は25万人減少したことなどが報告されている。さらに、失業率が1990年の東西ドイツ統一以来最低の数字を記録し、就労能力のある生活保護受給者の割合は前回調査(2008年)の9.7%から8.2%に減少。若年者失業率は欧州連合(EU)内で最も低く、高齢者の就労率がかつてないほど上昇しているなどの内容が盛り込まれている。
フォン・デア・ライエン労働相はこの調査結果を受け、「サクセスストーリーだ」との楽観的見解を表明。ただし、女性のパートタイム労働の多さや企業役員に占める女性の割合の低さなど、女性の労働問題に関しては今後も改善の余地があると指摘した。さらに、25~35歳の若年長期失業者に対して職業訓練の機会を与える「第2のチャンス」プロジェクトに力を入れていくことも強調。なお、2006~10年にかけて、学校卒業資格を持たない若者の数は8%から6.5%に減少している。
一方、2010年時点で400万人以上が時給7ユーロ以下の労働に就いていたことや、個人資産の分配が不平等であることについては、リポート内ではほとんど触れられておらず、財産税についての議論もなされていないことなどについて、社会福祉団体や野党からは「表向きだけよく見せかけたリポートだ」とする批判の声が挙がっている。ちなみに、現行の法律で定められている最低賃金は時給9.15ユーロとなっている。
連邦統計庁によると、月収952ユーロ以下の場合が「貧困の危機にあるライン」とされており、国民の14~16%がこれに相当するとみられている。貧困の最も大きな要因は失業。また、ひとり親世帯が貧困の危機にさらされているケースも多いという。