バイエルン・ミュンヘンの会長が脱税
保釈金500万ユーロで勾留を免れた事実も
サッカー・ブンデスリーガの名門チーム、バイエルン・ミュンヘンのウリ・ヘーネス会長が脱税を行っていたことを自ら告白し、さらに今年3月には脱税容疑で一時的に勾留されて500万ユーロの保釈金を支払っていたことが明らかになった。これを受け、政界にも波紋が広がっている。4月22日付のヴェルト紙などが伝えた。
ヘーネス会長はスイスに隠し口座を持ち、脱税をしていた事実を自ら認める発言を行い、「大きな間違いを犯した」として「事の解決を司法に委ねたい」と述べた。これに対し、ヘーネス会長と関わりの深かった政府与党関係者からは失望の声が続出。連邦政府のザイベルト広報官は「多くの人がウリ・ヘーネスに失望している。メルケル首相(キリスト教民主同盟=CDU)もその1人だ」とコメント。ヘッセン州のハーン法相(自由民主党=FDP)は、「長年ドイツのスポーツ界に大きく貢献した人物なだけに残念」としながらも、「スポーツのモラルをつかさどる立場にいる人物が脱税をするということは、傲慢のなせる業だ」と批判した。
一方、社会民主党(SPD)のシュタインマイヤー院内総務は、キリスト教社会同盟(CSU)とヘーネス氏の長年にわたる密接な関係性を指摘。「CSUへの寄付者リストの中にヘーネス氏の名前があるかどうか、確認する必要がある」と述べた。
さらにヘーネス会長が3月20日に一時的に勾留され、家宅捜索を受けていたこと、保釈金500万ユーロを支払って勾留継続を免れていた事実が発覚すると、野党内での同氏への批判がさらに過熱。SPDと緑の党は「社会的影響力のある立場の人間も、ほかの犯罪者と同様に厳しく訴追されるべき」と主張し、左派党もヘーネス氏に対する厳重処分を求めた。これに対し与党は、同件に対する野党のネガティブ・キャンペーンが行き過ぎであると批判した。
ヘーネス会長は現在61歳。サッカー選手としてブンデスリーガで活躍し、引退後、1979年にバイエルン・ミュンヘンのゼネラル・マネージャーに就任。その後、バイエルン・ミュンヘンの財政を大きく立て直し、2006年のサッカー・ワールドカップ(W杯)の会場にもなった専用スタジアム、アリアンツ・アレーナの建設にも貢献した。