槙野 智章 1.FC ケルン
1987年5月11日広島県生まれ。中学時代にサンフレッチェ広島のジュニアユースに所属、高校卒業と同時にプロ入りし、ケルンに移籍するまで在籍していた。中学時代はFW を務め、現在でも精度の高い威力あるシュートはDF ながら大きな武器。チームには欠かせないムードメーカーで、広島ではゴールを決めた後のパフォーマンスをチームメイトと考案し、スタジアムを沸かせた。ザックジャパンにも常に招集されており、2014年のワールドカップ・ブラジル大会の舞台には先発として立ち、活躍することを目標にしている。
底抜けに明るいキャラクターで、彼の周囲には笑い声が絶えず、初対面でも気さくに話しかけることができる。それが槙野智章だ。練習場で話しかけてきたファンに対しては、逆に質問してコミュニケーションを図る。「どこから来られたんですか?」「内田や香川のところには行かなくていいの?」など、傍から見ていても感心するほど。中学生の頃からサンフレッチェ広島の下部組織で育ち、高校卒業と同時にプロ入りした。18歳当時の入団会見では「声の大きいのが特徴です」と自己PR し、場を和ませたとか。
その槙野がケルンに来て、早1年が経つ。「27歳で迎えるワールドカップ・ブラジル大会をベストの状態で迎えるために」すべてを賭けて海を渡った。Jリーグの強豪からの誘いもすべて断り、出場機会に恵まれないであろうことも想定して、それでも自らを成長させるチャンスと考えての決断だった。
だが、昨季も今季も出場機会は数えるほどしかない。ウインターブレイクに入るに当たり、チームから戦力外通告を受けたとビルト紙が報じた。正式発表ではないため、どう転がるかは分からない(1月5日現在)。ただ槙野が望むのは、試合に出ること、勝つこと、そして成長することだ。
槙野のプレースタイルは積極的な守備にある。味方ゴール前で、相手が攻めてくるのを防ぐことがDF の役目だが、相手が向かってくるのを待つか、ドリブルやパスの間合いを見計らって自分からボールを取りに行くかで、そのプレースタイルは分かれる。槙野は、ブンデスリーガでは少ない後者のタイプ。自分から取りに行けばその分スムーズに攻撃に移れるし、ゴールから遠い位置でマイボールにすることができる。また、積極的に周囲に声を掛けてリーダーシップを取り、状況によってはボールを奪ってそのまま攻め上がることができるのも彼の持ち味。DF ながら、なかなかのシュート力も持っている。スタジアムで槙野のプレーを見られる日を楽しみにしたい。
ブンデスリーガ戦力分析
ブンデスリーガ全34節中17節、つまり前半戦が終了した。開幕直後、猛烈な勢いで勝ち進んだバイエルンがそのまま首位に立っているが、不調を極めたドルトムントが勝ち点3差で2位、得失点差でシャルケが3位につけており、後半戦に向けて混戦が予想される。特にドルトムントは欧州チャンピオンズリーグ(CL)ですでに敗退しており、国内のリーグ戦に向けて調整し、ベストの状態で挑むことができる。バイエルンはCL、シャルケは欧州リーグ(EL)でそれぞれ決勝トーナメント進出が決定しており、欧州各地への遠征もあるため、厳しい日程を強いられることになる。この意味でドルトムントは後半戦、有利に戦える可能性が高い。また、昨季2部との入れ替え戦に回ったメンヒェングラットバッハが4位につけているのは賞賛に値する。メンバーが入れ替わったわけではなく、昨季末に就任し、チームを残留に導いたファーブル監督の下、チームは完全に立て直された。
一方、下位争いも固まってきた感がある。今季2部から昇格したアウグスブルクはメンヒェングラットバッハに勝利した第16節辺りから、チームとして自信を持って戦っているように見える。また、バイエルンに勝つなど、一時好調だったマインツが14位にまで落ち込んでいるのは驚きだ。
2部では、デュッセルドルフが1敗のみで首位を走り、フュルト、フランクフルトと続く。デュッセルドルフの快進撃に伴い、試合日ともなると中央駅周辺からスタジアムまで大変な騒ぎになる。早くも昇格への期待の大きさを感じさせてくれている。