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エルベ川でビーチリゾート

1年を通して様々な用途に利用されているエルベ川沿いの両岸の遊歩道。その中で、夏場に見事なビーチリゾートが出現する区間があります。

新市街側(エルベ川の北側)の遊歩道をアウグスト橋から西へ向かって進むと、マリーエン橋が見えてきます。その橋を越えた辺りに、かつてドレスデンの港として利用されていたエルベ港(Elbehafen)があります。遊歩道に残る引き込み用の線路や錆付いた巨大なクレーン、水夫の銅像などが、エルベ港の現役時代の活気を伝えています。現在では、船のホテルやヨットハーバーが辛うじてこのエルベ港の役目を引き継いでいます。

そのエルベ港を通り過ぎると、突如真っ白なデッキがお目見えします。ここからが、ビーチリゾート区間の始まり。トロピカル・カクテルとビキニ姿の女性を横目にさらに進むと、真っ白な砂浜が登場します。ベビーカーを押しながら遊歩道を散歩する家族連れやサイクリングを楽しむ人々の傍らで、上半身裸でビーチバレーに興じる人々……。その隣には海の家があり、カウンターで飲み物などを注文してデッキチェアに寝そべりながら日光浴ができます。その様子は、マイアミビーチさながらです。

ドレスデン
サイクリングをする人のすぐ脇にあるビーチリゾート

このビーチリゾートは、東京・品川のドイツの街並みを模したショップやレストラン、自由が丘にあるヴェネチアの運河を再現したスポット、あるいは長崎のハウステンボスなど、狭小な敷地に展開される日本人独特の坪庭趣味にも似ていますが、海から遠い内陸部に住むドイツの人々には、海への強い憧れがあるのでしょう。周囲を海に囲まれ、海という存在を身近に感じながら育った日本人にとって、このような光景は滑稽にも思われますが、海がもたらす開放感は万国共通のようです。

ビーチだけでは物足りないという人々は、エルベ川に自前のモーターボートを持ち込んでいます。その接岸部分は緩い斜面になっており、砂も多少あるので、格好の水遊び場。少ない砂を手で拾い集め、モーターボートが通過するたびに起こる波ではしゃぐ子どもたちを見ていると、本当の海を見せてあげたくなりました。ふと視線を移すと、そのすぐ先には聖母教会や宮廷教会が並ぶ、見慣れたドレスデンのシルエットが見えます。そして1本通りを隔てたところにはトラムが走っていて、日常の風景に引き戻されます。「歴史的な都市ドレスデン」のすぐ横に広がるビーチリゾートも、なかなか乙なものです。

www.citybeachdresden.de

ドレスデン
モーターボートの接岸場所。
にわか浜辺に子どもたちは大喜び

福田陽子さん福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/
 
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