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ダイナミックな世界観が魅力 ニキ・ド・サンファル展

フランクフルト旧市街地の中心にあるシルン美術館(Schirn Kunsthalle)では、2月3日(金)~5月21日(日)まで、20世紀後半に活躍した女性アーティストであるニキ・ド・サンファルの特別展を開催しています。彫刻や絵画、映像、大規模な公共彫刻に至るまで、さまざまな表現で芸術作品を生み出してきた彼女の作品が約100点展示された企画展です。

彼女の代表作といえば、「Nana」と呼ばれる女性たちの像。カラフルでポップな色彩と、ふくよかで躍動感溢れる作品は世界的に有名で、今回もこれらが多数展示されていました。私は、彼女の詳しい経歴やほかの作品についての知識はないままこの企画展へ行ったのですが、「Nana」だけは街角でオブジェとして飾られているものや、写真で見たりしたことがありました。

カラフルで曲線的な「Black mosaic Nana」カラフルで曲線的な「Black mosaic Nana」

それらの作品を改めて美術館でじっくり見ると、特徴的で豊かな色彩とたおやかな曲線には独特の魅力を感じます。またそのスケールも特徴の一つで、ガラスケースに入った作品から、館内にじかに置かれた大きな作品まで、ユニークな形状とダイナミックな表現を間近に見ることができました。私が訪れた時には、学校の遠足で来ている子どもたちもたくさんいたのですが、子どもたちがキラキラと輝くドクロや、色とりどりの彫刻を興味深く見つめている姿も印象的でした。

立体的な作品が多く、スケール感も魅力立体的な作品が多く、スケール感も魅力

また彼女が取り組んだ「射撃絵画」と呼ばれる手法も紹介されています。これは絵具を入れた袋をキャンバスに固定し、銃で作品を打つことで塗料が流れ出し、絵画にするというもの。制作過程を紹介した映像や写真も展示されていて、その攻撃的な表現と、血や涙のように流れ出る絵具はインパクトがありました。ほかにも、大きなオブジェの中にさまざまなパーツが貼り付けられている作品などがあり、時間をかけて細部まで鑑賞するなかで、いろいろな想像や考えをめぐらせました。ウェブサイトからは無料音声ガイドも利用可能なので、芸術に詳しい人にとっても、彼女の作品に初めて触れる人にとっても、より理解を深めることができそうです。

射撃絵画の一つである「キングコング」射撃絵画の一つである「キングコング」

この展覧会では、Nanaのような軽やかでダイナミックなものだけでなく、社会風刺や女性性などをテーマにしたものも多く、力強く訴えかけるような作品を肌で感じることができました。銃社会や妊娠中絶、気候変動などの社会的なテーマを扱ったもの、社会的に求められる女性性への批判や母性のネガティブな側面に至るまで、さまざまな事象について自然と考えさせられるような鑑賞体験でした。皆さんもぜひ、ニキ・ド・サンファルの多岐にわたる作品を通して、彼女の創造性や多様性をじっくり味わってみてください。

シルン美術館:www.schirn.de/

ユゴ さや香
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。 Twitter : @nikonikokujila

 
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