初めまして、今号からフランクフルトの地域レポーターを務める
フランクフルトは空港と中央駅が近くアクセス抜群ですが、観光地が少なく1日あれば十分と言われることもあります。年明けに初めて友人が遊びに来てくれることになり、定番のレーマー広場周辺、鉄の橋、旧オペラ座以外にどこへ連れて行けばいいのか……と悩む日々。今回は、そんななかで出会った穴場スポット「ゼンケンベルク自然博物館」をご紹介します。
博物館は中央駅から電車で10分、歩いても20分ほどで到着します。入り口では等身大の巨大な恐竜の模型がお出迎えしてくれました。スタッフの方々はとてもフレンドリーで、アトラクションに乗る気分でわくわくしながら入館。日本語のパンフレットもあります。
アプリをダウンロードして音声ガイド(6カ国語対応)を聴きながら回るのも楽しいです
広々とした館内には、圧倒的な恐竜コレクションをはじめ、ドイツで初めて世界自然遺産に登録された化石採掘場の「メッセル・ピット」で採掘された化石、あらゆる時代の動植物、人類の進化の歴史についての展示が並びます。恐竜にまつわる展示で有名と聞いていましたが、ノアの箱舟のように地球上の生き物が全ているのではないかと思うほど、世界中から集められた生物たちの剥製標本がずらりとそろっていました。薄暗い深海魚の部屋では、天井に巨大な深海生物が実物大で展示されていて、とても視界に収まりません。見上げっぱなしになるので、肩凝りさんは要注意です。
奥行き感のあるショーケースが並ぶコーナーでは、本物の動物たちが生き生きと暮らしているように見えます!
ほかにも日本にはなさそうな、思わず声が出てしまうほどグロテスクな展示や、今にも動き出しそうな臨場感のある剥製コーナーなど、ずっと鳥肌が立っていました。シンプルかつ美しく展示された標本に囲まれた空間は、まるで昔大好きだったゲーム「どうぶつの森」の博物館の世界へ入り込んだようで感動的でした。館内は分かりやすい3フロア構成。ロッカールーム、休憩スペースも充実しているので、身軽にゆっくり過ごせます。じっくり見て回っていたら、あっという間に閉館時間になってしまったので、お土産コーナーを見る時間が足りませんでした。
幻想的な深海のお部屋。ホルマリン漬けにびっくり
ちなみに帰宅後に気になって調べてみたのですが、この博物館の名前の由来となったのは、医者であり自然学者であったヨハン・クリスチャン・ゼンケンベルク氏。フランクフルトで生まれ育った彼は全財産を投じて、貧しい人々が無償で治療を受けられる病院を設立した人格者でした。市民に愛されていた彼の死を、フランクフルト市民全員が悔やんだそうです。
ゼンケンベルク博物館を訪れたことで、生き物への関心がより高まった私。次の休日は、ユニークな展示でうわさのフランクフルト動物園(Zoo Frankfurt)へ行ってみようと思います!
1992年生まれ、岡山県出身。B型。転職のため2023年4月よりフランクフルトに移住。休日は家に引きこもりがち。現在の目標は出不精の克服。将来の夢は、愛犬と欧州50カ国を巡ること。