今回は、春の訪れを告げるリンゴの花のお祭り、Naurod Äppelblütefestをご紹介します。このお祭りは、1954年に地元のObst- und Gartenbauverein(果樹園・園芸協会)が創立25周年を祝ったことをきっかけに始まり、毎年5月第2週末にヴィースバーデン地区北部の町ナウロードで開催されています。今年も天候に恵まれ、5月9~12日の間に行われました。
リンゴの花クイーンがパレードを先導
お祭りといえば屋台がつきものですが、ここでは地元のスポーツクラブやレストランなどが屋台を出店し、Apfelwein(リンゴ酒)やMaibowle(芳香ワイン)を専用のピッチャーとグラスで提供したり、おなじみのソーセージやフライドポテトなどの軽食を振る舞ったりしています。知り合いが屋台を出していることもあってか、どの店も活気に溢れ、お祭り全体がにぎやかな雰囲気に包まれているように感じました。なかには地元の人々が持ち寄った多種多様なケーキを販売する屋台もあり、自宅からケーキボックスを持参してまとめ買いする人の姿も見られました。私もケーキを購入しましたが、種類が多くて一つに決めるのが難しく、子どもたちといくつかをシェアして味わいました。どれもとてもおいしかったです。
専用ピッチャーに注がれるMaibowle
お祭り期間中の日曜日には、毎年異なるテーマで行われるパレードが開催されます。今年のテーマは「Reisen」(旅行)でした。まず、毎年選出されるリンゴの花クイーン(Äppelblütekönigin)がパレードを先導し、その後、テーマにちなんだ衣装をまとった参加者が続きます。欧州諸国をはじめ、メキシコやハワイなど各国の伝統衣装を着た人々が、それぞれの文化を反映した装飾を施した山車に乗って町中を練り歩きました。沿道には多くの見物客が集まり、パレード参加者に手を振ったり、写真を撮ったりする姿も。日本の山車も登場しており、ドイツから遠い国ながら、アニメや日本食などの影響で知名度が高まっていることを実感し、うれしく思いました。
好天にも恵まれ、多くの来場者でにぎわったこのお祭りで、特に子どもたちの人気を集めたのは移動式遊園地でした。フリーフォールやドッジカーのようなアトラクション、的当てゲームなどがあり、子どもたちは大喜び。歓声が響く場面もあり、自分が乗らなくても見ているだけで楽しめました。
毎年のテーマにちなんだデザインのピンバッジ
ナウロードは、ヴィースバーデン中央駅から22番のバスで一本というアクセスのよさも魅力です。ハイキングやサイクリングのコースも多く、ヴィースバーデンで最も標高の高い474メートルのケラーズコップには展望塔があり、素晴らしい景色を一望できます。今回はお祭りを紹介しましたが、のんびりと散策に訪れるにもぴったりの場所です。ぜひ皆さんも足を運んでみてください。
2013年からヴィースバーデンに在住。日本とドイツで出産を経験し、現在は2児の母。つたないドイツ語にあくせくし、日々格闘中。人の工夫が伝わる建造物や食器を見るのが好き。