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オノ・ヨーコ回顧展「Half-A-Wind-Show.」

2月15日(金)から5月12日(日)まで、フランクフルトのシルン美術館(Schirn Kunsthalle)でアーティスト、オノ・ヨーコ氏の回顧展「Half-A-Wind-Show.」が開かれています。同氏が今年2月18日に80歳を迎えたことを記念し、1960~70年代の代表作を中心に約200点もの作品が展示されると聞き、私も今回初めて同氏の作品を観に行ってきました。

会場に入って真っ先に目に付くのが、ロビーに立つ、七夕飾りを思わせる木です。これは来場者が願い事を書いた短冊を枝に結び付ける「Wish tree」で、回顧展終了後に短冊はアイスランドにあるイマジンピースタワーに送られるのだとか。回顧展のスタートから1カ月で3万人もの来場者を記録したと発表されており、すでに多くの短冊が飾られていました。

上の階の展示室では、詩や映像、インスタレーション、写真、本など、多岐にわたる作品が展示されていますが、特に目を引くのは2つの立体作品です。1つは部屋の中のすべての物がそれぞれ半分だけ残され、白く塗られた「Half-a-Room」、そしてオノ・ヨーコ氏がジョン・レノン氏と初めて出会った個展で発表され、レノン氏も気に入っていたと言う「Ceiling Painting (YES Painting)」。いずれの作品の前にも、熱心な鑑賞者の人だかりができていました。

オノ・ヨーコ回顧展
棚や椅子、鍋や額の絵など、
すべてが半分に切断された作品「Half-a-Room」

特に私の印象に残ったのは、観る人が実際に触れて体感できる作品です。お金を入れてレバーを回すと空気の入ったカプセルが出てきたり、透明アクリル板の上に水を垂らしてその影を楽しんだり、チェスをしたり、黒い大きな布をかぶってみたりと、ただの作品鑑賞にとどまらず、積極的に作品に関わることができました。中でも人気を博していたのが、透明の壁で作られた立体迷路。その中央には電話機が置いてあり、オノ・ヨーコ氏から電話がかかってくることもあるのだとか。ほかにも、同氏の誕生から現在までを年表にした円形回廊や音楽作品を集めたオーディオ・コーナー、映像作品や過去のパフォーマンスを記録した映像の上映など、あらゆるメディアを駆使した個性的な作品の数々が並びます。数ある手書きの作品の中には日本語で書かれたものも多く、それらを1つ1つ読んでいくのも面白かったです。

ジョン・レノン氏の未亡人というイメージが先行し、知名度の高さのわりにアーティストとしてのオノ・ヨーコの側面に触れられる機会は少ないように思います。前衛芸術家として、60年にもわたり活動を続けている同氏の幅広い作品や活動の数々を一挙に知ることができる良い機会となりました。
www.schirn.de

オノ・ヨーコ回顧展
靴を脱ぎ、透明アクリル板で作られた立体迷路へ。
中央では電話が待ち受けています

ユゴ さや香
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。
 
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