2009年はハンブルク市と大阪市の友好姉妹都市協定締結20周年に当たる記念の年です。そのため今年は、年初から様々な記念行事が行われてきました。今回はその一環として10月に行われた「街づくりダイアローグ」(Stadtteildialog)主催のイベントをレポートいたします。
「街づくりダイアローグ」は1991年、ハンブルクのオッテンゼン地区と東京の向島で始まった草の根交流です。オッテンゼンも向島も大都市の中にある下町地区で、古い文化を残しつつ、街を再生するにはどうしたら良いかが課題でした。そこで、都市計画の専門家や建築家、文化的なドキュメンタリー映像の制作者が集まって街づくりについて意見を交わすようになったのです。それ以降、今日までオッテンゼン史料所蔵館やハンブルク市と大阪市の文化庁などからの後援を得て活動を続けています。
1999年、ハンブルク・大阪友好姉妹都市10周年記念行事で大阪を訪れた街づくりダイアローグのメンバーは、今度は大阪市平野区の街おこしに興味を持ち、街づくりダイアローグは「オッテンゼン—向島—平野」へと拡がりました。オッテンゼン地区も平野地区も、ともに第2次世界大戦後の開発から取り残されて来たゆえに、古い街並みがそのままの状態で残されています。従来の建物を活かしながら利用しているという点で、この2つの街は類似しています。オッテンゼン地区には、かつて石鹸工場や船の部品の生産工場など、中小規模の工場が集中していました。それらの工場が閉鎖された後、その建物は映画館やライブハウスなど、文化施設として蘇っています。
刀研ぎの展示
そのような工場跡の1つで、10月24、25日に街づくりダイアローグのイベントが行われました。折しも大阪から使節団が訪れており、副市長などのあいさつの後、平野の街おこしを紹介する42分間のドキュメンタリー映画が上演されたのですが、日本人が見てもとても興味深い内容でした。その他、都市計画専門家による講演や、ドイツ人による和楽器の演奏など、変化に富んだプログラムが用意されていました。特に笙(しょう)の独奏の生演奏を聴くのは初めてで、興味深く聴き入ってしまいました。日本人でもこの楽器を知らない人は多いことでしょう。さらにその演奏者がドイツ人とは、驚きでした。
イベントには日本に興味を持つドイツ人が多数訪れていましたが、日本人の参加者はわずかでした。しかし、講演の中で語られた内容は日本人でも知らないことが多く、「自分の国のことなのに、結構知らないものだなぁ」と感じました。
会場に展示されたパネル
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?