テレマン、C.P.E.バッハ、メンデルスゾーンなど、ハンブルクゆかりの作曲家は何人もいますが、なんと言っても有名なのはハンブルク生まれのブラームスでしょう。ある時、ハンブルクにピアノを学びに来ていた留学生が「ハンブルクに来て初めて、ブラームスのピアノ曲の、あの和音の重厚さの意味が分かった。この重苦しい天気の中で生まれ育ったから、彼の和音があそこまで重厚になったんだ」と言っていましたが、確かにそうだなと思います。
ブラームスの生家はハンブルクのコンサートホール(ライス・ハレ)付近にありましたが、戦争で焼失してしまったため、現在はその生家近くに「ブラームス博物館」が建てられています。この博物館を訪れる人の3分の1はアジア人だそうです。以前は開館時間が限られていたので、旅行者が訪れるのは難しい状況でしたが、現在は月曜を除く毎日10~17時に開館しており、足を運びやすくなりました(10~3月は火木土日のみの開館)。
ブラームスが使用していたターフェル・クラヴィーア
この博物館には、自筆楽譜や手紙のファクシミリ、ブラームスが使用した身辺小物などが展示されています。また、彼自身がレッスンをする際に使用していたターフェル・クラヴィーア(古いスクエア・ピアノ)も置いてあります。私が訪れた時は見学者がほかにいなかったので、そのピアノを弾かせてもらったのですが、さすがに古いピアノなので、音はいまいちでした。それでもこのピアノをブラームスも弾いたのだと思うと、感動もひとしおです。
ハンブルクには、ほかにもブラームスゆかりの地があり、聖ミヒャエリス教会もその1つ。ブラ—ムスはここで洗礼を受けたと伝えられ、教会の中にその記念碑があります。日本では交響曲の作曲家として有名なブラームスですが、実は合唱曲や歌曲も多数作曲しています。中でも「ドイツ・レクイエム」は教会音楽において重要な位置を占めており、聖ミヒャエリス教会では、毎年11月に「ドイツ・レクイエム」が演奏されます。通常、「レクイエム」は死者の魂を慰めるためのもので、主にカトリック教会で演奏されますが、ブラームスはプロテスタント信者として、遺族の慰めを目的とした「レクイエム」を作曲しました。
ハンブルクはこの偉大な作曲家を街の誇りとし、彼をハンブルク名誉市民としています。また、ヨハネス・ブラームス基金は、功績のあった音楽家に「ブラームス・メダル」を授与しています。
ヨハネス・ブラームス博物館
Peterstr.39, 20335 Hamburg
入館料:4ユーロ
www.brahms-hamburg.de
ブラームス博物館の内部
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?