夏休みは遠出するのに最適な時期ですね。まだどこに行こうか決めかねているという方のために、今回はキールの南西約20キロに位置する動物公園「アルヒェ・ヴァーダー(Arche Warder)」をご紹介しましょう。
動物たちと直に触れ合えるのが魅力の公園
国際環境NGO グリーンピースが運営しているこの公園には、40ヘクタールの広大な敷地に約70種、計800頭の動物たちが暮らしています。興味深いのは、ここで飼育されているのがすべて昔から人間に飼われてきた家畜動物だということ。中には絶滅の危機に瀕している動物たちもいます……と、この説明だけではあまり面白そうには聞こえないかもしれませんが、ここでは身近なようで実はあまり縁のない動物たちと直接触れ合ことができるプログラムがたくさん用意されています。
私は家族で「境界のない遊び(Spielohne Grenzen)」というガイド付きのコースに参加しました。ここでは公園内をまわりながら各動物についての説明を受けられることはもちろん、途中でさまざまな体験ができます。牛の乳搾りからヤギの餌やり、手綱を引きながらの馬との散歩、羊の毛で昔ながらの道具を使って行う毛糸作り、ガチョウの羽を使った絵画まで、貴重な体験ばかりで大いに楽しむことができました。このほか、1日飼育係体験や、石器時代の疑似体験、公園に宿泊して夜の動物たちを観察するプログラムもあります。
農家の朝食。シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州にお越しの際にはぜひご賞味あれ!
公園内の売店では、ここの動物の肉から作られたハムやサラミ、チーズなどを販売しており、併設のレストランではそれらを使った料理も提供しています。お勧めは、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州名物の「農家の朝食(Bauernfrühstück)」。中に野菜やハムなどが入り、上にキュウリのピクルスがのったボリュームたっぷりのオムレツです。こう聞くとショックを受けるかもしれませんが、このような体験は普段私たちが口にしている肉がただの「肉」ではなく、動物の命をもらったものなのだということをより強く実感させてくれるでしょう。そして、好き嫌いや食べ残しができなくなるのではないかと思います。
また、飼育に必要なお金を毎年寄付するというシステムで動物たちの代父母(Pate)も常時募集しています。ちなみに私の義兄は、誕生日に同僚からガチョウの代父役をプレゼントされ、ガチョウたちの様子を見るのが楽しみで、しばしばここへ足を運んでいるのだと話してくれました。子どもだけでなく、大人にもお勧めの公園です。
福岡出身。2005年に渡独。夫と娘との3人家族。キール・フィルハーモニー合唱団所属の音楽好き。最近凝っているのは家庭菜園。