「ライプツィヒといえば、拾えばなんでもそろう街」ということが、私のレポートを通して皆さんにも徐々に伝わってきたかと思いますが、今回もそんなライプツィヒを体現したお店をご紹介します。
ライプツィヒ東部のアイゼンバーン通りにお店を構える「Verschenkekiste」(「ご自由にどうぞボックス」のような意味)。ここでは、不要になったものが持ち寄りで集められ、必要な人がそれを持って帰ることができます。私が本誌1164号でご紹介した、野外のお持ち帰りボックス「レーネズ・タウショ」と同じアイデアですが、その違いはVerschenkekisteには実店舗があること。お店のスタッフがいるので物がきれいに保たれており、ジャンルごとに整理されているので見やすいです。子ども服や靴も並び、一見すると一般的なリサイクルショップとなんら変わりはありません。
「Verschenkekiste」オリジナルのT シャツも!
このプロジェクト自体は、2020年の春から始まりました。発起人がソーシャルネットワークを通じて呼びかけ、それに賛同した数人と始めたそうですが、今では運営メンバーは10人ほど。それ以外にもサポートメンバーがたくさんいるそうで、スペースは全てボランティアで運営されています。以前は別の場所にありましたが、そこは期限付きで借りていたため、新しい場所がようやく決まってつい先月オープンに至りました。ちなみに、このコラムではおなじみのフリースペース「日本の家」(詳しくは本誌1118号を参照)から徒歩1分ほどなので、Verschenkekisteに行く際は、ぜひ日本の家にも立ち寄ってみてください。
このお店の特徴は、お金を持っていなくても、どんな社会的ステータスの人でも入りやすいアットホームな雰囲気にあると思います。お店があるアイゼンバーン通りには、その日暮らしの人たちも多いので、彼らの受け皿にもなっていると感じました。
お店に入ってすぐの所には、椅子や机が置いてあり、くつろいだりおしゃべりをしたりできる空間になっています。また本やCD、レコードが置いてあるスペースや、大きな業務用冷蔵庫も設置されています。今はまだ空っぽの冷蔵庫ですが、これからはフードシェアリングとも提携して、食べ物も持ち帰れるようにする予定なのだとか! また、フードコレクティブとコラボレーションして、無料で食事を提供するイベントも開いていきたいとのこと。Verschenkekisteのようなヒップでおしゃれな活動が、いつの間にかフードロスやゴミを減らす活動につながっているのが面白いですよね。
手作り感いっぱいのカラフルな看板が目印です
ここにあるものは全て無料で持ち帰っていいことになっていますが、ほとんどの人が寄付をして帰っていきます。国から運営のための補助を受けてはいるものの、このように皆が自主的にお金を出し合って、それでプロジェクトが回っていくというのも理想の形の一つだなと思いました。
Verschenkekiste e.V.:https://verschenkekiste.de
東京都出身。日本で陶芸を勉強した後、2019年からライプツィヒ在住。現在はライプツィヒの大学で博物館学を勉強しながら、ウェブマガジン「ヴァルナブルな人たち」を運営している。
https://vvulnerablepeoplee.wixsite.com/website/magazine