ザクセン州には、ライプツィヒ、ドレスデン、ケムニッツに続いて人口が4番目に多いツヴィッカウ(Zwickau)という街があります。ライプツィヒから電車で1時間ほどのこの街は、かつて東ドイツ時代には国民車のトラバントが生産され、現在はフォルクスワーゲンの電気自動車工場があることでも知られています。また、かつてこの街でパートナーと友人たちが手頃な物件を見つけてギャラリーを運営していたため、個人的にもつながりのある街です。
和気あいあいと進むワークショップの様子
その街の中心部にあるコワーキングスペース「Gründungszeit」で2月下旬、ユニークなワークショップが開催されました。ライプツィヒを拠点に活動している刺しゅう作家のアンティエ・シュテークマンさんによる、点字刺しゅうのワークショップです。アンティエさんとは約10年前、Social Impact Hub Leipzigの社会起業家育成プログラムの同期として出会いました。当日はアンティエさんが風邪をひいてしまい、雪の中で重い刺しゅうミシンを外に運び出すことができず、画面越しでのリモートレクチャーになりましたが、そのハンデをまったく感じさせない熱量で場を盛り上げてくれました。
点字の歴史や書き方も学べました
まず、点字の歴史と仕組みについて学びます。19世紀にフランスのルイ・ブライユが考案した「6点点字」は、その名の通り六つの点の組み合わせで文字を表現するシステムです。参加者の中には日常的に点字を使っている人もいて、目が見える人と見えない人をつなぐ点字刺しゅうのファッションのサンプルに対して、フィードバックも寄せられました。
続く実習では、参加者が持ち寄った布や、ホストが用意したTシャツなどに刺しゅうしてもらう文章を選びます。本来であれば、当日アンティエさんと一緒にその場で刺しゅうする予定でしたが、今回はアンティエさんと画面越しにどう刺しゅうするかを話し合い、後日、完成品を郵送してもらうことになりました。私は、マーケットに出店する時に敷いているテーブルクロスに、スローフードの哲学を刺しゅうしてもらうことに。完成したテーブルクロスは見た目にも美しく、点字を知っている人なら触れて読めるし、会話のきっかけにもなる。一目で分かる文字のように主張せず、そっとそこにいるお守りのようなメッセージが気に入っています。
後日、刺しゅうが入って届いた私のテーブルクロス!
点字を「デザインの言葉」として布に刻むこのワークショップは、点字を学び、インクルーシブデザインという私にとって新しい分野の世界を知る良い体験になりました。
IT系の翻訳者・プログラマー。オーストリア、インドを経てドイツへ。ライプツィヒには2016年より在住。三度の食事と、手に入らない食材を自分で育てるのが何よりの楽しみ。古巣のアート分野に戻りつつある。



インベスト・イン・ババリア
スケッチブック






