ライプツィヒ南部の緑豊かなヨハナ公園沿いに、現代アートギャラリー「GfZK(Galerie für Zeitgenössische Kunst Leipzig)」があります。ここは第2次世界大戦後の1945年に現代アート作品の展示会場として設立されて以降、現在に至るまでライプツィヒ視覚芸術アカデミーと並んで、この町の現代アートの重要な拠点となっています。
同ギャラリーは1990年代後半から、芸術史家クラウス・ヴェルナー主導の下、ドイツ産業連盟(BDI)の支援を受けて、ドイツ国内外の現代アートの推進を目標に掲げてきました。1995年にはドレスデン出身の建築家ペーター・クルカが、新聞社が入っていた住居をGfZK1号館として改修。同敷地内に専門図書館を建てました。現在ここには、様々な展覧会のカタログをはじめ、アーティストの研究論文、現代アートの刊行物、旧東独時代のアート、キュレーターの討論集、公共空間におけるアートや建築史、都市計画に関する書籍など、約3万冊が所蔵されています。 さらに、2004年にはベルリンの設計事務所「as-if」 によって企画展と若い世代のアート活動を促進するためのGfZK2号館が設立され、展示面積と内容が格段に広がりました。
コレクションは1990年の東西ドイツ統一以降に急増し、東西ドイツ、そして様々な年代とアートシーンを繋ぐ架け橋として、GfZKには大きな関心が寄せられています。2号館は「会話の手段としてのミュージアム」というコンセプトの下、展示内容に合わせて建物内部の壁を移動させられる構造になっています。一般的な箱形の美術館とは異なり、展覧会ごとに展示空間の趣向を変化させています。また、緑豊かな公園に面してカフェも併設されています。
公園に面してカフェが併設されているGfZK2号館の外観
2号館の建物面積は約1000㎡で総工費は2億5000万ユーロ。この種の建築物としてはかなり抑えた建設費で完成したことから、ドイツ建築界でも大きな反響を呼び、2005年にはライプツィヒ市建築賞を受賞しています。
GfZKで展示されるのは、現代アートの絵画やグラフィック、写真、コラージュ、彫刻、インスタレーション、映像アートなど。1号館では常設展と、一部スペースにて企画展、2号館では企画展が開催されてます。毎週土曜の子どもワークショップは親子連れで賑わい、展覧会期間中にはテーマに合わせたシンポジウムやディスカッションイベント開かれるなど、ライプツィヒ市民のアート感覚を大いに刺激するスポットとなっています。
移動可能な壁で構成されているGfZK2号館の展示空間
Galerie für Zeitgenössischen Kunst
Karl-Tachnitz-Straße 9-11,
04107 Leipzig
www.gfzk.de
福岡県生まれ。東京理科大学建築学科修士課程修了後、2003年に渡欧。欧州各地の建築設計事務所に所属し、10年に「ミンクス.アーキテクツ」の活動を開始。11年よりライプツィヒ「日本の家」の共同代表。www.djh-leipzig.de