ミュンヘンのオペラ座として有名なのは、バイエルン州立歌劇場でしょう。レジデンツに隣接する美しいオペラ座は、音楽の質の高さだけでなく、その外観でも人々を魅了しています。しかし皆さん、ミュンヘンにはもう一つ州立のオペラ座があるのをご存じでしょうか。それが、ゲルトナー・プラッツというロータリー広場に面しているゲルトナー・プラッツ劇場です。席数は893席と小さめですが、ルートヴィヒ2世の命により建設された美しい劇場です。幕間を過ごすリフレッシュルームにはシャンデリアがあり、オペラ座らしい豪華な雰囲気があります。また広場に面して大きな窓があるので、花の季節には、そこからのゲルトナー・プラッツの眺めもすてきです。
劇場の外観
バイエルン州立オペラ座がもともと王侯貴族のためのオペラ劇場であったのに対し、こちらは市民のための劇場。オペラだけでなく、オペレッタやミュージカル、バレエも上演します。オペラは悲劇が多く、作品によっては時間も長いので、観るのに緊張感と体力が必要な時もあります。それに対し、「小さいオペラ」を意味するオペレッタは、喜劇が多くて気軽に楽しめます。先日観に行ったカール・ツェラー作曲の「小鳥売り」は、舞台がバイエルン地方の設定で、セリフも歌もバイエルン方言。日本人の私には分からない部分も多かったのですが、お客さんは大ウケ。随所で笑いが起こっていました。そして、歌手の皆さんのダンスが上手でびっくり! この劇場ではミュージカルも多く上演するため、ダンスにも力を入れているそうです。ミュージカルといえば、昨年から本劇場のレパートリーに「レ・ミゼラブル」が入っています。私も観に行ったのですが、音楽も舞台もとても素晴らしく、お客さん総立ちのスタンディング・オーベーションでした。
リフレッシュルームの様子
オペラの敷居が高いと思っている方は、ゲルトナー・プラッツ劇場からトライしてみませんか? ただし馬蹄型の劇場なので、残念ながら、見えにくい席が結構あります。1階や2階でも、2列目以降になると、前の人の頭が邪魔になって見えにくかったり。音響も屋根の下になると、ちょっと残念な気がするので、パルケットと呼ばれる平土間席以外なら1列目がおすすめです。チケットはオンラインでも入手できますが、見える席かどうかを確実にするには、チケットオフィスで相談しながら購入した方が良いと思います。さあ、オペラ・デビューしてみましょう。
オペラ座らしい客席
イエス・キリストに出会って、声楽専攻から牧師に転身。2022年よりミュンヘン日本語キリスト教会牧師。今でも少女マンガ、オペラ、ダンスは大好きです。 www.muc-japan-christ.com/