ジャパンダイジェスト

花木の香りに癒されるドイツの桜で春を感じて

春の陽気に心が踊る今日この頃、プリーニンゲン地区にあるホーエンハイム大学の敷地内にある植物園と樹木園を訪れました。この大学は、農学分野ではドイツ一を誇り、自然科学やコミュニケーション学、経済学でも有名です。大学敷地内にある植物園と樹木園は、両方ともいつでも誰でも無料で訪れることができます。季節ごとにさまざまな植物の生育状況を観察して楽しむことができ、予約制にてガイド付きのツアーも行われています。

プリーニンゲンの桜並木プリーニンゲンの桜並木

この植物園は約13.4ヘクタール、樹木園は約16.5ヘクタールもの面積があり、ホーエンハイムの緑地の大部分を形成しています。その歴史も長く、200年以上にわたってシュトゥットガルト南部の憩いの場所として市民に親しまれてきました。また、当大学の農学部や自然科学部の学生や専門家にとっては、貴重な研究や教育の場所でもあります。

樹木園には約2500もの樹木分類群があり、最も古い木は18世紀末のヴュルテンベルク公爵の時代にまでさかのぼるとか。さらにここで現在も生息している樹木のうち、150本以上の木が100年以上前のものです。現在大学施設としても使われているホーエンハイム城前の樹木園では、特に北米と中欧からの多くの種類の樹木を観ることができます。

フィールドテストの看板フィールドテストの看板

そして植物園には入場料3ユーロで入れる温室も設置されており、熱帯植物や食虫植物、多肉植物とサボテン、ベゴニア小道などがあります。さらにココアやバナナなどの熱帯作物など、亜熱帯や熱帯地域からの植物も。私が訪れた時は、こちらの温室は感染予防対策のため閉鎖中だったので、いつか訪れてみたいです。これらの一般向けの施設のほかに、大学の研究ステーションとして実験のための敷地も用意されています。例えば大学キャンパスよりほど近いハイデルホーフ実験地では、穀物やトウモロコシ、ヒマワリ、マメ科植物、飼料などのフィールドテストをしています。

このフサッとした感じが好きですこのフサッとした感じが好きです

さて、そんな実験敷地の横には、知る人ぞ知る立派な桜の並木道があります。ドイツに住んでいると、可憐に咲いている1本の桜の木を見ただけでも感動しますが、こちらの並木道には、なんと286本の「Vogelkirsche」という種類の桜が並んでいるのです。この淡い色味と、ふさっと花が咲いている光景は、まるで日本で見る桜並木のよう。ホーエンハイム大学の名誉教授であるアドルフ・マーティン・シュタイナーは、この桜並木を「欧州で1番とは言わずとも、ドイツで1番の桜並木である」と誇らしげに語っています。

皆さんご存知の通り、桜の開花期間は1週間ほどですが、1分咲きから葉桜まで、その移り変わりを楽しむことができるのが桜の良さですよね。そんな美しい桜の季節を、今年も楽しみたいと思います。

フンドハウゼン エリ
大阪生まれ、東京育ち。在シュトゥットガルト14年。Merz Akademie大学視覚コミュニケーション科卒。語学力を武器に、日本企業のリロケーションをサポートしながら、メディアデザイナーとしても幅広く活躍している。趣味はギターと読書。

 
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