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脱原発を決めたドイツの挑戦脱原発を決めたドイツの挑戦
―再生可能エネルギー大国への道―
熊谷 徹

ISBN 978-4-04-731581-5-C0295
発行元:角川マガジンズ

2011年3月に福島第1原発で炉心溶融事故が発生しました。この直後ドイツのメルケル首相は、「日本ほど技術水準が高い国でも、原発のリスクを制御できなかった」ことに衝撃を受けて、原子力支持の立場を捨てます。メルケル氏は、30年以上稼働していた原子炉7基を直ちに停止させて全世界を驚かせました。さらに、2022年12月31日までに原子力発電所を完全に廃止することを盛り込んだ法案を議会で通過させます。ドイツはチェルノブイリ原発事故を除けば史上最悪となった、今回の原子炉災害を他人事と考えず、事故からわずか4カ月で「原子力時代」にピリオドを打ったのです。  

日本では、ドイツの脱原子力については頻繁に報道されていますが、この国が再生可能エネルギーを急速に拡大させていることについては、あまり伝えられていません。ドイツ政府は原子力だけでなく、地球温暖化の原因となる化石燃料への依存からも脱却するために、風力や太陽光などによるエコ電力が発電量に占める比率を、2050年までに80%まで引き上げることを目標にしています。2011年時点で再生可能エネルギーの比率は約20%で、原子力を上回りました。物づくりと貿易に依存した先進工業国が、再生可能エネルギー中心の経済に切り替わるのは、世界でも初めてです。しかもドイツは、福島事故が起こる20年前から再生可能エネルギーの振興を始めていたのです。(日本では今年7月1日に、ようやく再生可能エネルギーの全量買い取り制度が始まりました)なぜドイツ人は再生可能エネルギー拡大に力を入れてきたのでしょうか。日本でも話題になっている電力市場の自由化は、この国でどのように行われてきたのでしょうか。  

ドイツに22年間住んでいるジャーナリストで、本誌に「独断時評」を連載している熊谷徹さんが、これらのテーマについて本を書きました。それが今回ご紹介するこの本です。ドイツ人が現在進めている「エネルギー革命」の実態と課題について詳しくレポートしているだけでなく、彼らの国民性についても教えてくれる1冊です。


 
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