ドイツのベジタリアン事情
今をときめく
ベジタリアン食材
ドイツで生活していると、ベジタリアンとノンベジタリアンの人が一緒に食卓を囲む機会も多いのではないだろうか。ここではそんな場面を想定し、ベジタリアン・ヴィーガン食材の認証マークの違い、さらにみんなで食卓を楽しく囲むためのおすすめベジ食材を紹介する。(Text:編集部)
主なベジタリアン・ヴィーガン食材の目印
Vegan-Blume
英国ヴィ―ガン社会協会が1990年に生み出した世界初のヴィ―ガンラベルで、食品や化粧品、衣料品に付与される。ちなみにこの団体は、1944年に「ヴィーガン」という言葉とその定義をつくったことでも有名だ。ドイツでもこのマークの製品が流通。
認証元:Vegan Society England www.vegansociety.com
V-Label
欧州で最も一般的に使用されている国際的なラベルで、商品の内容によってマークの下に「ヴィーガン」もしくは「ベジタリアン」と記載される。ドイツではProVeg e.V.が母体となって、ラベルの認証および付与を行なっている。
認証元:ProVeg e.V. https://proveg.com
Vegan-Label
ドイツヴィ―ガン社会協会によって付与されるラベルで、前述の二つよりも基準が厳しい。製品の包装にも動物性成分や添加物を禁止し、さらに生産から包装までの全ての工程が、ヴィ―ガン食品が生産される工場でのみ行われる必要がある。
認証元:Vegane Gesellschaft Deutschland e. V. www.vegane.org
ドイツのスタートアップが熱い!
おすすめベジ食材
ベジタリアン大国とあって、数多くのスタートアップ企業が食材づくりに情熱を注いでいるドイツ。食品開発だけでなく、それらを使った自由な発想のレシピをウェブサイトなどで無料公開しているのが特徴だ。ベジタリアンの人はもちろん、ノンベジタリアンの人も料理の幅が広がるかも?
little Lunch
オーガニックスープ
アウクスブルク出身のダニエル、デニス・ギビシュ兄弟が「オフィスでの昼食をより健康で環境に優しいものに」という信念のもと、2014年にオーガニックスープを開発した。同社のスープはヴィーガン対応やグルテンを含まないものが多く、防腐剤や砂糖なども不使用。常温で数カ月以上保存できるので保存食にも◎。出荷時には100%リサイクル可能な段ボールで梱包し、ウェブサイトでは使用後のスープ瓶をアップサイクルする方法まで紹介している。
little Lunch GmbH
本拠地:アウクスブルク
https://www.littlelunch.de
Happy Cheeze
カシューナッツのチーズ
2012年にニーダーザクセン州クックスハーフェンで設立されたスタートアップで、ヴィ―ガン用乳製品の加工に力を入れている。カシューナッツをベースにしたヴィ―ガン用チーズを欧州で初めて生産し、これまでにない味覚体験で話題を呼んだ。ただしチーズの製法自体はドイツの伝統にのっとっており、おいしさの秘密は丁寧な工程と数週間の熟成だそう。材料のカシューナッツはもちろんオーガニックで、防腐剤や化学添加物も不使用。
Happy Cheeze GmbH
本拠地:クックスハーフェン
https://www.happy-cheeze.com
KOFU
ひよこ豆の豆腐
ミャンマーの伝統的な食品「シャン豆腐」からインスピレーションを受けて、ベルリンのスタートアップが開発した「KOFU」。使われているのは、ひよこ豆、水、塩、スパイスのみでシンプルな味わいが人気だ。独自のレシピを豊富に展開しており、アジアをはじめ中東、地中海など、さまざまな国や地域の料理として楽しめる。どんな料理にも合う優れものだが、同社の一番のおすすめの食べ方は「素揚げ」。外はカリカリ、中はクリーミーでやみつきに。
Zeevi Kichererbsen GmbH
本拠地:ベルリン
https://www.kofu.berlin
Sonnenblumen Hack
ヒマワリの種ひき肉
アルゴイのスタートアップSunflowerFamilyが開発したのは、世界初のヒマワリの種から作られたひき肉。ヴィーガンの食事で「肉の代用品」といえば大豆製品が主流だが、Sonnenblumen Hackは100%ヒマワリの種のタンパク質でできており、軽やかな味わいと香ばしさが特徴。水に濡らすだけですぐに使えるので、料理の手間がかからないのがうれしい。彼らがウェブサイトで公開するレシピもぜひチェックしてみて。
SunflowerFamily GmbH
本拠地:アルゴイ
https://sunflowerfamily.de
Nu+Cao
チョコレートバー
大学の同級生だった3人組がドレスデンを拠点に立ち上げたthe nu company。彼らが製造するチョコレートバーは、栄養価が高くて環境負荷の少ないのが特徴で、砂糖の使用料を65%カットしてココナッツの花の蜜で代用するほか、包装にはプラスチック不使用。それでも環境への配慮が十分でないと考えた彼らは、「1 Produkt=1 Baum」という取り組みを開始した。チョコレートバー1本につき9セントをNGO団体のエデン・森林再生プロジェクトに寄付し、これまでマダガスカルに20万本以上のマングローブが植樹されている。
the nu company GmbH
本拠地:ドレスデン
https://www.the-nu-company.com
Bio-Fruchtgummi
フルーツグミ
女性2人組がハンブルクを拠点に創業したスタートアップFoodlooseでは、「自然こそが贅沢」をコンセプトに100%オーガニック素材を使用し、ナチュラルで愛情のこもったお菓子を製造している。今回紹介するフルーツグミは、ゼラチンや甘味料、グルテン、砂糖など一切不使用。リンゴ、ラズベリー、マンゴーの自然な甘みとフルーティーな味わいが特徴で、子どもたちに安心して食べさせることができる。また、売り上げの一部は、障がいのある子どもがいる家庭を支援する団体nestwärme e.V.に寄付している。
Foodloose GmbH
本拠地:ハンブルク
https://www.foodloose.net
pläin
植物性ミルク
「#ミルク革命(#milchrevolution)」をコンセプトに、食品技術、環境技術、産業工学のプロフェッショナル3人が植物性ミルクを開発。牛乳の風味や舌ざわり、クリーミーさや泡立ちなど、再現率が非常に高いのが特徴だ。ヴィーガンの人は牛乳の代替品として豆乳やココナッツミルクを選ぶことが多いが、Pläinでは「おいしいミルクを味わいたい」という欲求を満たしつつ、自身の健康や環境・動物への配慮を実現できるという。ウェブサイトでは、Pläinとフルーツを使ったスムージーや、ケーキなどのレシピを公開している。
pläin GmbH
本拠地:フライジング
https://plaein.de
Charitea
フレーバーティー
2009年に3人の友人同士で立ち上げたスタートアップで、オーガニックかつフェアトレードの原材料を使ったお茶やレモネードの開発に取り組んでいる。製品の「Charitea(チャリティー)」という名前の通り、売り上げの一部を発展途上国の農業支援や教育支援などに寄付。人工甘味料や香料、保存料は一切不使用のヴィーガン飲料で、緑茶をはじめ、栄養価の高いマテ茶やノンカフェインのルイボスティーなど、さまざまなフレーバーを楽しめる。どれもすっきりとした味わいで、冷やして飲むのはもちろん、ジンやウォッカなどの蒸留酒と割るのも◎。
Lemonaid Beverages GmbH
本拠地:ハンブルク
https://charitea.com