ニュルンベルクのクリストキントからの贈り物
ニュルンベルクはドイツ南東部、バイエルン州にある古都。旧市街地は神聖ローマ帝国の時代に築かれた城壁に囲まれ、ロマンチックな街並みを残している。
17世紀前半頃から続くクリスマスマーケットでは、中央広場にさまざまな屋台が並び、イルミネーションが街を彩っている。ドイツ3大クリスマスマーケットの一つにも数えられ、毎年世界各地から200万以上もの人々が訪れる。ドイツでは一般的にクリスマスマーケットのことを「ヴァイナハツマルクト」と言うが、ニュルンベルクでは「クリストキンドルマルクト」と呼ばれる。
マーケットのシンボル的存在となるのは、金と白の衣装を身にまとい、金色の巻髪と冠をつけた女性「クリストキント」(Christkind)だ。2年に1度、ニュルンベルク出身もしくは在住歴の長い16~19歳の女性の中から選ばれる。マーケット初日に開会宣言をしたり、パレードに参加したり、ひと際華やかな存在だ。
クリストキントは主に南ドイツやオーストリアなどに伝わるクリスマスの天使。その名の通り「幼いキリスト」を意味し、当初はイエス・キリストの幼少時代の姿であったが、現在は金髪の天使がイメージされている。南ドイツやオーストリアでは12月25日にプレゼントを運んでくれるのは、このクリストキントだ。ちなみに北ドイツでは「ヴァイナハツマン」が運んでくれる。12月6日には「聖ニコラウス」(サンタクロースのモデル)が良い子にプレゼントをくれるが、悪い子にはお仕置きをする。ドイツのクリスマスは地域性が豊かで面白い。
さて、この時期ニュルンベルクで「大人の楽しみ」といえば、地元トゥーハー醸造所が造る公式クリスマスビール「Christkindlesmarkt Bier」だ。ロースト麦芽の香ばしさとまろやかな風味。余韻にはホップの苦みがじんわりやって来る。クリスマスの肉料理にも合いそうだ。ドイツの冬をビールでも堪能しよう。