ジャパンダイジェスト

ワインと食の合わせ方8 日本の洋食にもドイツワイン

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日本人は古来からあらゆる外来の食文化を取り入れてきました。特にアジア圏からの影響は大きく、精進料理、豆腐、味噌などは中国を経て伝来し、すっかり和食に取り込まれています。16世紀には南蛮料理に影響を受け、南蛮漬けや天ぷらなどが生まれ、これも和食化しました。

明治時代以降は牛肉を食べるようになり、牛肉を使ったすき焼き、牛鍋が和食のスタンダードとなります。加えて、欧米由来の「洋食」も食卓に上るようになります。中でもとんかつはすっかり和食化した洋食といえるでしょう。カレーライスも和食化しており、ハンバーグ、オムライス、ナポリタンなどは、洋食といっても、日本的にアレンジされています。明治時代には中華街からラーメンも伝わり、和食化し、日本各地の名物となっています。

今回は、日本人の食卓にたびたび登場する、和食化した洋食に合うドイツワインを探してみましょう。

とんかつ

イタリアのコトレッタ・アッラ・ミラネーゼ、それがオーストリアに伝わり、ドイツでも人気となったウインナー・シュニッツエルは、いずれも子牛肉を使いますが、とんかつと似ています。コトレッタ・アッラ・ミラネーゼにはバルベラ(赤)など、ウインナー・シュニッツェルには、グリューナー・フェルトリーナー(白)やゲミッシュター・ザッツ(白のブレンドワイン)を合わせます。とんかつにレモン汁を絞って食べるなら、ヴァイスブルグンダー、ジルヴァーナー、リースリングなどの白、濃厚なソースをかけるなら、シュペートブルグンダー、レンベルガーなどの赤が良いでしょう。

カレーライス

カレーライスはスパイスの調合などにより、ずいぶん味わいが違います。インドにはトマトベースのものやココナツミルクベースのものがあり、タイやマレーシアではココナツミルクベースが主流です。ドイツでは刻んだパイナップルを入れた、フルーティなカレーが人気で、カレーにマンゴーやリンゴなどのフルーツ系のチャツネを加えるレシピもあります。日本でも、すりおろしたリンゴや蜂蜜を入れるレシピがありますが、カレーと甘酸っぱいフルーツは好相性です。ワインも果実味豊かなリースリングやゲヴュルツトラミーナなど、フルーティなものを選ぶとうまくいきます。辛口でも良いですし、ほのかな甘みがあるハルプトロッケン(halbtrocken)やファインヘルプ(feinherb)を合わせても美味しくいただけます。刺激的な味わいには、白やロゼのセッコ(パールワイン)も合います。

ハンバーグ

ハンバーグも調理法によりさまざま。大根おろし、紫蘇などの薬味で食べる和風ハンバーグなら、ジルヴァーナーやブルグンダー系の辛口の白やロゼを、煮込んだりデミグラスソースなどをかけるなら、シュペートブルグンダー、レンベルガーのほか、シュヴァルツリースリング(=ピノ・ムニエ)などもおすすめです。

オムライス

オムレツにはヴァイスブルグンダー、シャルドネ、グートエーデルなどの白を合わせますが、オムライスにはトマト味のアクセントがあるので、グラウブルグンダーやロゼや赤のシュペートブルグンダーなども合います。後者はナポリタンにも合うはずです。

 
Weingut Rappenhof
ラッペンホーフ醸造所(ラインヘッセン地方)

Weingut Rappenhof

ラッペンホーフ醸造所のルーツは1604年に遡る。現在のオーナーは12代目のクラウス&カリン・ムート夫妻。醸造所はライン川沿岸のアルスハイムにあり、6つの村に計50ヘクタールのブドウ畑を所有。ニアシュタイン村のペッテンタール、エールベルクなどの偉大な畑から優れたリースリングを生み出している。リースリングが主力品種だが、ジルヴァーナー、ゲヴュルツトラミーナ、白と赤のブルグンダー種も栽培。グーツワインは「ヒエロニムス&アレクサンダー」というブランド名でリリース。1代目ヒエロニムス・ヒルシュと、夭逝した13代目アレキサンダー・ムートへのオマージュだ。今夏からは、アレキサンダーの姉エリザベトが13代目として両親と共に醸造所を牽引する。VDP会員。

Weingut Rappenhof
Bachstr. 47, 67577 Alsheim
Tel.06249-4015
www.weingut-rappenhof.de


Schäferlay2017 Hieronymus und
Alexander Weissburgunder trocken
ヒエロニムス&アレクサンダー ヴァイスブルグンダー 辛口 7.50 €

グーツワイン「ヒエロニムス&アレクサンダー」は、2016年ヴィンテージからスタートしたばかり。リースリング、ヴァイスブルグンダー、シュペートブルグンダーのロゼのセッコ(パールワイン)の3種類を展開している。いずれも軽快でみずみずしく、上品な果実味を持つワイン。普段の食卓や、春から秋にかけての戸外での気楽な食事にぴったりだ。この3種類をストックしておけば、たいていの和食と日本の洋食に合わせることができる、頼りになるコレクション。中でもヴァイスブルグンダーは広く活用できるワインだ。

 
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岩本順子(いわもとじゅんこ) 翻訳者、ライター。ハンブルク在住。ドイツとブラジルを往復しながら、主に両国の食生活、ワイン造り、生活習慣などを取材中。著書に「おいしいワインが出来た!」(講談社文庫)、「ドイツワイン、偉大なる造り手たちの肖像」(新宿書房)他。www.junkoiwamoto.com
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