フランクフルトのガルス地区にお好み焼き屋「KONAMON」がオープンしました。開業間もないお店におじゃまし、オーナーのパチョレックさんと井岡さん夫妻、料理長の市川さん、コックの師岡さんにお話を伺いました。
抜群のチームワークが光る、(左から)料理長・市川さん、調理師・師岡さん、
オーナー・井岡さんとパチョレックさん夫妻
日本語が堪能なパチョレックさんは、10代のときに日本でホームステイし、日本の家庭料理の素晴らしさに感動したそうです。「和食をドイツに広めたい。和食=寿司と思われがちだが、寿司以外にもおいしい和食はたくさんある」、そう考えた夫妻は、「ドイツでも手に入る食材で作れるお好み焼きはどうだろうか」と思い立ちました。そして、キャベツ、小麦粉、卵というドイツでもおなじみの食材でここまで違った料理ができる驚きと、和食文化の豊かさをドイツに伝えようと、お好み焼き屋の開業を決心したそうです。
同じ頃、市内のアジア料理店でコックをしつつ「何か新しいことをしたい」と考えていた市川さん。共通の知人を通じて今のオーナー夫妻と知り合い、元同僚だった師岡さんを誘って、KONAMONで働くことに。市川さんが大阪出身という嬉しい偶然も手伝い、メニュー開発をはじめロゴのデザインなど、4人で力を合わせての開業となりました。
ドイツ人が初めて食べるお好み焼きを想定し、魚臭さを避けるため、かつおだしではなく鶏ガラスープを使うなど、丁寧な工夫がされています。具も定番の豚肉以外に味付き鶏肉や、キノコを使ったベジタリアンなどがあり、ソースもおたふくソース・自家製ソース・味噌ソースの3種類から選べます。メニュー同様、皆で相談して決めたという内装は、焼き加工を施した木の板を使った和風モダンな雰囲気で、日本のおしゃれな居酒屋のようです。
小さな鉄板でサーブされるお好み焼き。ランチにはサラダとスープが付いてくる
私は、お勧めの一品「鶏お好み焼き(Toritama)」にオリジナルソースと味噌ソースのハーフ&ハーフを注文しました。日本から取り寄せた自慢の鉄板で料理長が調理する様子は、客席からも見ることができます。店内においしそうな香りが充満し、ますます食欲がそそられました。熱々のお好み焼きは小さな鉄板でサーブされ、コテで切りながらいただきます。お好み焼きといえば豚という先入観を覆すしっとりふっくらの味付き鶏肉に、甘めの自家製ソースと、こってり味噌ソースがおいしさを引き立てます。食べ慣れた分厚くおなかにたまる豚玉と比べるとあっさりと上品な味で、鶏肉と味噌ソースが日本人にも新鮮な組み合わせでした。夜はつまみや、たこ焼き生地にチョコを入れたチョコ焼きなどもあり、特にチョコ焼きは甘じょっぱさ加減が絶妙でクセになる味でした。
まずはお好み焼きとたこ焼きに力を入れ、いずれは季節限定メニューも提供したいとのこと。私も関西人としてドイツに粉もんが広まり愛されるよう、今後の展開を楽しみにしたいと思います。
KONAMON:www.konamon.online
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。