1984年 | 兵庫県西宮市生まれ |
2006年3月〜2007年3月 | シュトゥットガルトで語学学校に通う傍ら、「Tiffany-Glascenter」工房でステンドグラス技術・ガラスモザイク作りなどを習う |
2008年3月 | 大阪外国語大学地域文化科 卒業 |
2008年4~7月 | 神戸の工房「スタジオ・デコ」にてガラス製作を学ぶ |
2008年8月~ | 渡独、NRW州ラインバッハ・ガラス・セラミック造形学校 ガラス技術・造形職業専門学校在籍中 |
普段使うガラスのコップやテーブルランプから、静謐な空間を生み出す教会のステンドグラスまで、生活と密接に結びついているガラス。人は時に、その素材の脆さや儚さを心情にたとえ、透明な輝きを見て心洗われる思いを抱く。現在、ラインバッハでガラス工芸の技術を学ぶ廣畑まさみさんも、ガラスが持つ様々な表情に魅せられた1人だ。
子どもの頃からカラフルなもの、キラキラと光るものが好きだったという廣畑さん。初めてステンドグラスを見た時、その美しさに衝撃を受け、「こんなにきれいなものを作れたら……」と大学在学中に渡独、シュトゥットガルトで語学留学をしながらガラス工房に通った。その際に訪れたラインバッハの造形職業専門学校で現在、グレーヴィング(Gravur)を専攻している。
元々廣畑さんが学びたかったのは、ガラスの色粉などから成る顔料をガラス表面に塗り、電気炉で焼いて固定する絵付け(Glasmalerei)。しかし、専攻課程を決める段階で、ガラスが持つ本来の色を生かし、その表面に彫刻を施すグレーヴィングに大きな魅力と可能性を感じた。この技術とステンドグラス、モザイクの技術を組み合わせたら、作品の幅が一気に広がるようなイメージが沸いたという。
「ガラスを通して見る色は、生きているような気がする」と語る廣畑さん。屋内と外、あるいは朝、昼、夕で刻々と変化するガラスの色を最大限に生かすために、実際に光に照らして、そのガラスが置かれる室内の様子を想像してみる。こうしてガラスと対話をしながら、その性質や特徴を理解していく中で、「ガラスは個性あふれる生き物」と感じるようになった。だからこそ、「捨てられた屑ガラスを見ると不憫で、なんとか蘇らせてあげたい」と思うのだそうだ。
目下、廣畑さんが手掛けたいと思っているのは学校のトイレットペーパーホルダー。半年程前、「皆で使うものだから、自分たちで作ろうよ」と、同級生たちに呼び掛けたものの、いまだ実現していない。この世に2つとないガラス製ホルダーはきっと、学校生活を素敵に彩ってくれるはず!
(編集部:林 康子)
1年次に取り組んだパターンの一部(ガラスコップ)
神戸の「スタジオ・デコ」時代に、屑ガラスを使って
手掛けたミニテーブル。
2008年全国手工芸コンクール優秀賞受賞作
色被せガラスに天使のグレーヴィング
廣畑さんが通う「ラインバッハ・ガラス・セラミック造形学校」は、ドイツに3校存在するガラス職業専門学校のうちの1校。現在、廣畑さんは3年制の同校でガラス造形の理論と技術を学ぶ。
Staatliches Berufskolleg
Glas Keramik Gestaltung des Landes NRW Rheinbach
Zu den Fichten 19, 53359 Rheinbach
www.glasfachschule.de