ミュージカル女優
テリエン 美範さん Minori Therrien
1982年 | 愛知県名古屋市生まれ。 三重県桑名市で育つ |
2001年 | 名古屋芸術大学音楽学部声楽科に入学 |
2002年 | 劇団四季入団。同時期に大学を中退 |
2010年 | 劇団四季を退団 |
2010年 2月~ |
渡独し、当地でミュージカル女優として 活動中 |
ドイツ系米国人の父と日本人の母のもとに生まれた。旧姓は今井。19歳で劇団四季に入団し、「ライオンキング」のナラ役をはじめ、「AIDA」でアイーダ、「Wicked」ではエルファバ役で主演を務めるなど経験を積んできた。米国人ミュージカル俳優である夫と共にドイツに挑戦の地を移し、この秋からは夫婦で「キャッツ」に出演予定。
エンターテインメントの髄を極めたミュージカルの世界にあって、舞台と一体となって作品に命を吹き込むのが、ミュージカル女優という存在。芝居、歌、ダンスと、持てる表現力の限りを尽くすことに「最高の喜び」を見出しているというテリエン美範さんの天職だ。
日本のミュージカル界の名門「劇団四季」に所属し、女優としてのキャリアを積んできた。底抜けに明るい笑顔からは、挑戦し続けることに伴う苦労をもエネルギーに変えてきた彼女の強さが感じられる。
子どもの頃からずっと夢を追い続けてきた。スポットライトを浴びる世界に憧れ、高校1年生でミュージカル女優になることを目標に据えた。華の女子高生時代の思い出は、バレエとピアノのレッスンだけ。その甲斐あって、芸大在学中に目標を達成した。
「根拠のない自信に溢れていた時期だった」と当時を振り返る。しかし、大学を辞め、ミュージカルの世界に全身を投じる彼女の前に立ちはだかる、プロのレッスンの厳しさ。それでもミュージカルがもっと好きになれたのは、海外のオリジナルスタッフと一緒に仕事ができたから。「指導するのではなく、一緒に作ろうとしてくれる」。この頃から、「いつかは海外で」との想いを強くしていた。
夫のドイツ公演参加が決まり、思いがけず訪れた海外挑戦のチャンス。日本では味わったことのない、厳しいオーディションに戸惑いながらも、ようやく結果が出てきた。
いつかまた日本で、母国語で演じたいという想いも持ち続けている。でも今は、海外での経験が自分の糧となると信じている。日本では、きっとめぐってこなかった「キャッツ」への配役も、その1つ。ミュージカル女優として生きていく、その情熱と覚悟を胸にこの秋、彼女は舞台に立つ。
(編集部:高橋 萌)
ミュージカル「AIDA」で、アイーダ役を演じた際のテリエン美範さん
ドイツでは、歌手としてイベントに出演することも
ゲルゼンヒルヒェンでイベント「Day of Song」に出演し、WAZ紙の一面を飾った
ミュージカル「キャッツ」
都会のごみ捨て場を舞台に、ネコたちが織り成す物語。全編を通してアンドリュー・ロイド=ウェバー作曲の歌で構成され、ネコの動きを模したアクロバティックなダンスも見どころ。「一見、単純で単調な物語と受け取られがちですが、登場するネコたちは皆個性的で、それぞれにサイドストーリーを持っています」と、美範さんが言う通り、登場するネコの背景を少し予習してから観ると、さらに深い感動が味わえそう。
2012年9月22日(土)~ドイツ国内は、ケルン、シュトゥットガルト、ニュルンベルク、
フランクフルトを巡回予定
*詳細は下記ウェブサイト参照 www.cats.de