1983年 | 東京都生まれ |
2003年 | 佐藤耕雲氏の下で水墨画を学び始める |
2007年 | 渡独 |
2010年〜 | 画家として独立開業。オーダーメイドの水墨画制作を中心に活動中 |
流れるように筆が走り、あっという間に絵が浮き上がる。筆の動き1つひとつに意味があり、ごまかしは一切効かない。精神状態が筆に表れる水墨画の精神性や東洋的思想の魅力をドイツで広めるべく、ザクセン州の街プラウエンで奮闘するのが堀ノ内夏子さんだ。
絵を描くのが大好きだった4歳の頃から「画家になりたい」と口にしていた。しかし、両親は堅実な将来像を我が子に描いてみせた。国立大学に行って、仕事に就いて・・・・・・。画家として生きる厳しさを知り、絵は趣味として、大学へ進学。幼い日の夢はどんどん遠のいていった、はずだった。
トルコへの留学、世界各国への旅。大学生活は日本と海外の往復だった。クリムトら西洋画家の美に感動し、歴史や文化に魅せられ、旅を終えて日本に帰って気付いたことは、「日本の方が数倍おもしろい!」。日本の思想、禅などへの興味がある日、水墨画と繋がった。「魔法のよう」と、その華麗な筆の動きに魅了されたのがきっかけだった。
水墨画を始めてすぐ、師である佐藤耕雲氏に才能を認められ、プロの道を勧められたが、当時はまだ画家という職業が将来の選択肢に入っていなかったため、東大に進学。しかしその後、日本で出会った留学生との結婚を機に、ドイツへと生活の拠点を移すという、人生の転機を迎える。
ドイツでも水墨画を続ける彼女の周囲にファンが増えていったが、画家として開業しようと決意した決定的な理由は、結婚生活が終わりを告げたこと。「生きていくために、食べていくために、絵を売ろう」。大学で学んだ経営学の知識をフル稼働させ、戦略的に売れる絵を描く。商業画家としてのスタートは、生活が懸かっているだけにがむしゃらだった。
開業してから約1年。今では、彼女の絵を売りたいという人も現れ、展覧会の話も進んでいる。自分の表現を極める段階に入った堀ノ内さん。「東洋の思想を表現し、人にインスピレーションを与えるような絵を描きたい」。画家として、これからが本番だ。
(編集部:高橋 萌)
水墨画の道具はすべて日本から
ドイツで見る風景も、水墨画で表現
日本ではない発想の注文を受けるのがドイツでの活動の楽しみ
笑顔の瞬間や忘れられない景色、そして故郷の四季を、絵は目に見える形に残してくれる。ご自宅用に、プレゼント用に、堀ノ内さんは、オーダーメイドの水墨画や掛け軸ほか、ご希望のスタイルの絵画を注文販売している。2月には、プラウエン近郊のロイプニッツ城(Schloss Leubnitz)で展覧会も予定されている。
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