10月10日から21日にかけて、「光の祭典(Festival of Lights)」が開催されました。ベルリン市内の70以上の建物が、普段とは違う光のインスタレーションで彩られるこのフェスティバル。今年で開催8回目ということもあり、すっかりこの街の年中行事として定着した感があります。
期待を膨らませつつ、まずはブランデンブルク門に行ってみました。時刻は20時を回っていましたが、観光客はもちろん、三脚を構えた本格的なアマチュアカメラマンまで、周囲は多くの人で溢れていました。
「住居」に仕立てられたブランデンブルク門
最初、多様性を表す虹色に照らされていた6本の円柱が、少しずつ色合いを変えていきます。「おや」と思ったのは、ブランデンブルク門の一面が家の窓をデザインした照明によって照らされ、門全体が1つのアパートに仕立てられていたから。やがて、1つ1つの窓に明かりが灯され、中の「住人」の様子が影絵のように、しかも立体的に浮かび上がってくるではありませんか! 料理をする人、犬と遊んでいる人、ダンスをしているカップル……。本当にブランデンブルク門に人が住んでいるかのようです。
今年はベルリンの市制775周年、それに加えて多世帯住宅(コーポラティブハウス)の国際年ということで、ツァンダー&パートナー・イベント=マーケティング社によって、「ベルリンの住居」をテーマに作られた3Dのインスタレーションがこれだったのです。
ウンター・デン・リンデンを東に歩き、いくつものライトショーを見ながら、ベルリン大聖堂の前にやって来ました。ルストガルテンの芝生は、やはり人でいっぱいです。
「オーストリアの冬景色」をテーマにした大聖堂の光のインスタレーション
今年の大聖堂の照明は、著名なモーションデザイナー、カメラマン、アニメーション作家の共作で、「オーストリアの冬景色」がテーマ。巨大な大聖堂の正面にリルケの詩「秋の日」が映し出され、そこから冬の情景が始まります。スキーヤーの姿、つららが垂れ下がる山小屋の情景、雪の結晶、そして一足早いクリスマスツリー……。その度に、ネオ・バロック様式の大聖堂の装いがガラッと変わり、人々から歓声が上がりました。
奥には、これもまたライトアップされたテレビ塔が見えます。紫色に照らし出された幻想的な塔に、LEDライトが点を作って、下から上へと模様を作って上がって行きます。この演出により、ドイツでもっとも高いところにLEDが使われたことになるのだとか。
かなり冷え込んだこの夜でしたが、普段とは全く装いを変えた数々の建築に、しばし見とれていました。