デュッセルドルフといえば、皆さんは何をイメージしますか?美しいケーニヒスアレーの並木道や中世の面影を今にとどめる旧市街、リトル・トーキョーにアルトビール……。冒頭から私事で恐縮ですが、このたび日本へ帰国することが決まり、今回が最後のレポートとなりました。最終回のテーマを何にしようか考えたとき、私の頭に浮かんだのは「ライン川」でした。デュッセルドルフの街を東西に流れ、夏の移動遊園地キルメスや花火、河川敷でのSpielgruppe(子どもを遊ばせるグループ)やヨガクラスといった数々のイベントの会場であり、休日は家族や友人とのんびりお散歩したり、ピクニックやたこ揚げをしたりできる憩いの場。四季折々の魅力にも溢れ、春になるとクロッカスの花が美しく、雪が積もるとそり遊びの場に。5年間の暮らしの中で、なくてはならない存在でした。よって締めくくりのレポートは、ライン川をテーマにデュッセルドルフの街をご紹介したいと思います。
ライン川沿いのいつものお散歩コース
そもそもライン川は、ドイツ国内を流れる最長の川。欧州有数の国際河川であり、古代ローマ時代から各地を結ぶ水路として重要な役目を果たしてきました。デュッセルドルフが経済的に発展したのも、このライン川なしには語れません。現在も河川敷からは、さまざまな国の国旗を掲げた大型の貨物船や旅客船が行き交う様子が見られます。また面白いことに、ドイツ語でライン川は「Der Rhein」。ドイツの多くの川は女性名詞ですが、ライン川は例外で男性名詞。親しみを持って「父なるライン」(Vater Rhein)と呼ばれます。
ラインタワーの展望室にて
さて、ライン川沿いにそびえ立つデュッセルドルフのシンボルといえば、ラインタワー。高さ234メートルのこの塔は、ノルトライン=ヴェストファーレン州トップの高さであり、街中の至るところからその姿を見つけることができます。観光スポットとして有名ですが、近くに暮らしていると意外と(!?)上まで上がる機会がないもの。ドイツを去る前の最後の週末に、ついに上ってみました。
タワーの中に入り、エレベーターで数分。地上から168メートルに位置する展望室からは、360度のパノラマビューが広がります! 一周しながらデュッセルドルフの街を一望しました。展望室の窓は足元から斜めに広がっているので、空の上から街を眺めているような感覚に。娘と一緒に窓ガラスにはいつくばって、自宅や近所の公園、これまで訪れた数々の場所を指差しながら、デュッセルドルフの街に別れを告げました。
夏は河川敷でSpielgruppeに参加しました!
ライン川を臨み緑豊かで、芸術や音楽イベントも多く、家族で楽しめる場所に溢れたデュッセルドルフ。たくさんの素晴らしい出会いにも恵まれ、離れるのは名残惜しいばかりですが、いつの日かまたデュッセルドルフ生まれの娘たちとこの地を訪れたいなと思っています。最後まで読んでくださってどうもありがとうございました。Tschüss! Bis bald!
出版社勤務ののち、夫の駐在に伴い2019年7月に渡独。現在は、デュッセルドルフ生まれの3歳と0歳の娘の子育てに奮闘中。趣味はライン川での散歩と、パンやお菓子を焼くこと。