ドイツでの冬の楽しみといえば、クリスマスマーケット。私が個人的に大好きで、たびたび訪れているマーケットの一つが、フランクフルト南東の街ミヒェルシュタット(Michelstadt)にあります。
街の象徴、旧市庁舎とクリスマスツリー
ミヒェルシュタットは、石畳の道に木組の家が立ち並ぶ美しい城壁都市です。街を象徴する旧市庁舎は、欧州で最も古い市庁舎の一つであり、中世後期の典型的な建物として文化財に指定されています。この市庁舎前の美しい広場に大きなクリスマスツリーが飾られ、通りには多くの屋台が店を構えています。
ミヒェルシュタットのクリスマスマーケットに来た際に、ぜひ足を運んでほしいのが市立博物館です。梁はりの見える天井と黒光りする階段があるすてきな空間で、この街の歴史についての展示を知ることができます。特に私がお勧めしたいのは、最上階にある鉄道模型の世界。フロアいっぱいに広がる模型の全てが精巧に作られていて必見です! 鉄道の発着はもちろん、線路沿いの街並みや人々の表情もとても面白いですよ。
物語が詰まった模型の世界
年々、この模型の展示は拡張されていますが、今回は新たに火事現場の模型を見つけました。家から煙が本当に上がって見えるように工夫されていて、においまで感じることができました。火事が発生した数分後に、街の消防署から消防車が現場へ急行するところまでが一つの物語として構成されています。この火事現場を作ったスタッフによると、「規模が小さい街では、地元の消防団が鎮火作業を行っていたため、消防団に連絡が入って消防署まで行き、火事現場へ急行するまで15分ほどかかっていた。模型では当時の様子を再現して、火事が起こってもすぐに消防車が発車しないように計算している」とのことです。
さて、屋外のクリスマスマーケットでは、至る所にサンタや音楽隊、トナカイやくるみ割り人形の置物があります。おいしい軽食を手に食べ歩きを楽しみながら、どんな置物があるのか探すのも面白いです。さらに、石造りの地下にある露店も必見です。各出店者が創作した陶芸、オーナメントやアクセサリー、木製の家具などを購入することもできますし、注文を受け付けているブースもあります。ガラス細工のブースでは、自分で空気を入れてオーナメントを作るコーナーもありました。外は寒いですが、地下は暖かく保たれているので、かわいい手作り作品を見ながら体を温めましょう。
光で彩られた街の一角
今年のクリスマスマーケットは12月22日(日)まで。明るい時間帯には街全体に統一された木彫りの家とかわいいデコレーション、遅い時間帯には多くの光に包まれる幻想的な雰囲気と人々のにぎわいと、それぞれに違った顔を楽しめます。残りのクリスマス期間に訪れるも良し、来年以降訪れても存分に満喫できるおすすめのマーケットです。
2013年からヴィースバーデンに在住。日本とドイツで出産を経験し、現在は2児の母。つたないドイツ語にあくせくし、日々格闘中。人の工夫が伝わる建造物や食器を見るのが好き。