フランクフルトでは月1回、週末に自然派ワインの試飲会が開かれています。自然派ワインとは、有機栽培のブドウのみを原料とし、ブドウ畑に生息する酵母を使って発酵させ、添加物を加えずに自然に任せて醸造したワインです。「ビオワイン」と名乗っていても、ほとんどの場合、一定量の酸化防止剤が入っているため、ほぼ無添加の自然派ワインはドイツでは珍しいのですが、そんな自然派ワインを専門に扱うのが日本人経営の「FRA konnex」です。代表の澤田一眞(さわだかずま)さんは昔からワインが好きで、フランスのワイナリーを訪れてはワインを買っていたのだとか。やがて自然派ワインの美味しさにハマり、ドイツで輸入販売を始めました。安定供給が求められる一般のワインに比べ、一定の味や量を生産できない自然任せのワインは「その土地の特徴や作り手の想いが色濃く反映され、年によっても異なる味になるのが魅力」と語る澤田さん。ドイツでも自然派ワインを広めようとこの会社を立ち上げ、インターネットでフランスの自然派ワインを販売すると同時に、試飲会も開催しています。
澤田さんの説明で、楽しく美味しいひとときを
6月は「グリルに合うワイン」をテーマに、6種類の自然派ワインが用意されていました。一番飲みやすかったのが、アルザスのクレマンです。ブドウ本来の味が強いのに爽やかで、暑い季節にぴったりの一品でした。また、個性的で面白かったのがジュラ地方のシャルドネです。ミネラル分がしっかりと口に広がり、フレッシュな酸味があります。無農薬で育てられたこの地方のブドウは根が10mも伸びるそうで、ジュラ紀の語源ともなったジュラの地層深くのミネラルを吸い上げることで独特の味わいが生まれるのだとか。少しスパイシーで程良い酸味が美味しかったです。さらに、赤ワイン用のブドウを原料に白ワインの製法で作ったブラン・ド・ノワールに、白ワイン用のピノ・グリを50%ずつ配合したワインや、昔の品種を復活させ、ブドウの重みだけで果汁を絞り出す古来の製法で作ったロゼ、甘みと柔らかな酸味のバランスが素晴らしいジュラ地方の赤など、それぞれに違った味わいがあり、甲乙つけがたいラインナップでした。
これらの自然派ワインはビオだけをセールスポイントにしているわけではなく、澤田さんが直接ワイナリーに足を運び、作り手のポリシーを理解し、製造過程を確認した上で厳選したワインを取り扱っているそう。現地を訪れているからこその土地の様子や郷土料理の紹介が面白く、試飲会場にいながらもワイナリー巡りをしているかのような気分になりました。また畑の状態やブドウの収穫、醸造に至るまで、色々と教えてもらえるのも魅力です。市場に出回るワインに比べ味に特徴があるので、ワイン好きにはたまりません。「まずは飲んで、美味しさを味わってほしい」と澤田さん。試飲会の参加費は5ユーロ、ぜひ参加してみてください。
FRA konnex:
http://frakonnex.com
飲み比べながら各ワインの特徴を味わえるのが魅力
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。