今回のレポートでは、ライプツィヒ発のスーパーマーケット「Im Angebot」を紹介したいと思います。Im Angebotは、ReweやALDI、Kauflandなどのスーパーマーケットから賞味期限の近いものや、売れ残りの商品を集めて販売しているお店です。ライプツィヒに2店、ライプツィヒ近郊の街に4店の実店舗があり、オンラインショップも展開しています。
Im Angebotの外観
その始まりは、食料品の小売会社が「賞味期限が近い」という理由だけで商品を処分しているのを目撃した創業者が、その食品を自分の家に持ち帰ったことだそう。1990年には野外マーケットでの販売を、1997年から実店舗での営業を開始しました。
同店のコンセプトは、「魅力的な価格の買い物と持続可能なライフスタイルは両立できる。食品にもう一度チャンスを与えよう」だそう。消費者に持続可能な生活を促すとともに、さまざまな製品を低価格で提供しています。
私は長い間、Im Angebotがこのような背景を持ったスーパーとは知らず、家の近所にあるという理由でよく利用していました。商品のラインナップが多様なので、買いたいものを買いに行くというよりも、「何か面白いものはないかな?」と訪れるのが楽しみな場所です。最近では、アイスクリーム(抹茶、ライチ、ポピーシード)が私的にヒット商品でした。また、賞味期限切れのものは無料で置いてあることも。
冷蔵コーナーの様子。所狭しとハムやソーセージなどが並んでいる
さらに、店内の陳列の仕方も独特です。例えば、要冷蔵商品の並ぶエリアの入り口には透明のシートでできた暖簾(のれん)がかかっており、まるで自分が冷蔵庫の中に入るような感覚。キンキンに冷やされたこのエリアには、肉や魚、乳製品などの商品が所狭しと並べられています。
常温商品のエリアには、パンや野菜をはじめ、果物、日用品、瓶詰めのソースやアジア食材など。また、イースターの時期に売られているウサギ型のチョコレートや、クリスマスのお菓子であるシュトーレンなど、シーズンを過ぎた商品が見られるのも面白いです。
最近見つけたお気に入りのアイスクリーム
一見、このようなディスカウントショップとヴィーガン思想は相反するように思いますが、店内にはヴィーガン用の食料品や製品コーナーも設置されており、ヴィーガンの人もこのお店によく通っています。サスティナビリティーを掲げるこのお店に共感している人が数多くいるようです。
スーパーマーケットといえば、いつでも同じものが安定的に供給されている安心感があります。一方、Im Angebotの商品の品揃えは良いとはいえず、商品の陳列も時期によって大きく変わります。しかし、宝探しのような感覚で楽しめるスーパーマーケットはなかなかないのではないでしょうか。気になった方は、ぜひ一度訪れてみてください。
Im Angebot:www.imangebot.com
#EastParkFiction:www.honoraryhotel.net
岡山県出身。コミュニティースペースやまちづくりに興味を持ち、NPOで活動しながら診療放射線技師として8年間病院勤務。ひょんなご縁で2018年に渡独し、ライプツィヒにある「日本の家」で活動を開始。2020年から日本食を中心としたコレクティブとして活動中。