ジャパンダイジェスト

ニンフェンブルク植物園

新緑と色とりどりの花々が美しい季節が到来しました。バロック建築の傑作として名高いミュンヘンのニンフェンブルク宮殿とその庭園にも多くの人が訪れ、散策を楽しんでいます。その庭園の一角には、ニンフェンブルク植物園(Botanischer Garten München-Nymphenburg)があります。春の日差しが眩しい4月のある日、ここを訪れました。

敷地面積21.2ヘクタール、年間で35万人が訪れるこの植物園には、約1万6000種の植物が栽培展示されています。正門を入ると、まずは左手にある大きな温室が目を引きます。4500㎡の広さを持つこの温室では、2000種類を超える蘭のコレクションや、世界の熱帯地域、砂漠地帯から集められたエキゾチックな植物を観察できます。巨大なサボテンやヤシの木、水生植物、アフリカやマダガスカル地方の植物など、テーマ別に分けられた展示は見応えがあります。

温室
春の花々が咲き誇る花壇と温室

温室の向かい側には、季節ごとに様々なタイプの花が咲き誇る花壇が広がっています。この日は、水仙とヒヤシンス、パンジーなどの春の花々が咲いていました。配色も工夫されており、自宅のガーデニングや、贈り物の花束を買うときのヒントになりそうなアイデアがたくさん発見できそうです。なんといっても、広い空間に咲き乱れるたくさんの花の美しさは圧倒的で、あちこち眺めては写真を撮ったり、ベンチで穏やかな風を受けながらのんびりしたりと、楽しくて時間を忘れてしまいます。この花壇の南側、植物園のほぼ中央には白い平屋のカフェがあり、当日、広いテラスはほぼ満席でした。バラ園が隣接しているので、バラが咲く季節は特に人気のコーナーになると思われます。

巨木
樹齢を重ねた巨木の枝ぶりも印象的です

園内はテーマによってエリアが分かれています。西側は広葉樹や針葉樹など、多種多様な巨木が茂る散策路です。木々が茂るエリアには小さな花をつけた下草が生え、歩いたり寝転んだりするのに気持ち良さそうですが、植物保護のため散策路以外は立ち入り禁止です。木々の合間に設けられた池にはミュンヘン近郊の湿地帯の植物が、また、アルプスの岩山を模した築山には、高山植物が育てられています。バイエルン州には、3000を超える野生植物種(約50の固有種を含む)が存在しているそうですが、多様性に満ちたこの植生のうち約半数に絶滅の恐れがあり、約170種は絶滅の危険性が極めて高いとされているそうです。ニンフェンブルク植物園では、これら絶滅危惧植物の保護活動も行っています。

なお、植物園では、季節ごとに特別展示や販売も行っています。5月23〜25日は蘭、6月26〜29日はバラをテーマにした特別展を開催予定です。美しい花々の競演を、再び見に行ってこようと思います。

Botanischer Garten München-Nymphenburg
入園料: 大人€4.50、特別展は€5.50
http://www.botmuc.de

Yoshie Utsumi
日独の自動車部品会社での営業・マーケティング部門勤務を経て、現在はフリーランスで通訳・市場調査を行う。サイエンスマーケティング修士。夫と猫3匹と暮らし、ヨガを楽しむ。2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。
 
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