暖かく過ごしやすかった秋が過ぎ去り、冬がやってきました。この季節になりますと、日本の温泉が特に恋しくなります。そこで今回は、ドイツの温泉施設、テルメ(Therme)をご紹介しましょう。
テルメは、温水プールを中心に、サウナやレストランなども併設するレジャー施設です。場所により規模は様々ですが、マッサージなどのサービスも提供している、大人も子供も楽しめるウェルネス空間です。ドイツ全土に存在し、バイエルンにも何ヵ所かありますが、特に、ミュンヘン北東に位置するテルメ・エアディング(Therme Erding)は、欧州最大規模を誇ることで知られています。34℃の天然温泉を利用したこのテルメ、年々拡張を続けて現在は総面積9000㎡に達しています。
欧州最大規模を誇るテルメ
施設内部は、テルメ・エリアとサウナ・エリアの二つに分かれています。テルメ・エリアは大型ウォータースライダー、ウェーブプール、室内プールと屋外プールで構成されていて、季節を問わず子供連れなどでにぎわいます。特にウォータースライダーは26種、最長で360m、総延長2500mという大規模なもので、難易度が低い順に「ファミリー」「アクション」「Xテルメ」とレベル分けされています。日本流にいえば絶叫度、という感じかと思うのですが、ドイツでは叫ぶ人は少なく、皆さん比較的静かに楽しんでいました。一方、サウナ・エリア(テキスタイル・フリー)は年齢制限があるため、静かな空間でリラックスできるようになっています。ジャングル風、フィンランド風、アイスランド風とエキゾチックなテーマを持つ合計25種のサウナは、それぞれ温度設定が異なり、メインの建物からいったん外に出なければならない別棟などもあるため、一度ではとても全種類を試しきれないほどバラエティーに富んでいます。
両エリアともに、天井の高いガラス張りの空間に多くのヤシの木が配置され、ドイツにあっても一年を通じて南国っぽい雰囲気が楽しめるように工夫されているのが嬉しいです。とにかく施設が広く、思いがけなく隠された空間があったりするため、初めて来たときにはどこに何があるのか、迷路を探検するような気持ちであちこち歩き回ってしまいました。
テルメ・エアディングにはホテルも併設されているため、数日滞在してスパ・リゾートを楽しむことも可能です。2015年2月にオープンしたホテルは、英国の帆船をモチーフにしていて、客室もキャビンを模した遊び心のあるデザインになっています。ホテル内にあるレストランは、もちろん宿泊客やテルメ利用者以外も利用可能です。ケーキ・バイキングや土曜日限定のビュッフェ、プールエリアを眺めながらのロマンティックなキャンドル・ディナーなど、各種プログラムが提供されていて、ここでもバケーション気分を楽しむことができそうです。
敷地内に建つホテルのバルコニーからは、プールが見下ろせる
長いドイツの冬、テルメで温まってホッと一息ついてみてはいかがでしょうか。
Terme Erding:www.therme-erding.de
日独の自動車部品会社での営業・マーケティング部門勤務を経て、現在はフリーランスで通訳・市場調査を行う。サイエンスマーケティング修士。夫と猫3匹と暮らし、ヨガを楽しむ。2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。