コロナ禍やウクライナでの戦争など、なかなか落ちつかない世の中が続いていますが、なかでも地球温暖化はとても深刻な状況となっています。ちょうど2年前に本誌1129号でご紹介したグナーデン湖のキャンプ場へ今年も行ってきましたが、グナーデン湖の水位が異常に減っていました。湖の中へ行けども行けども水位が上がらず、なかなか泳げません。水も生ぬるく、これでは魚たちがいずれゆで上がってしまうのではと心配してしまうほどでした。今回は、湖のほかにも地球温暖化によって存続が危ぶまれる、貴重な水辺スポットをご紹介します。
ドイツの「白糸の滝」と名づけたくなるウーラッハの滝
バート・ウーラッハの南西2キロに位置し、エルムスの脇の谷であるマイゼンタールにあるウーラッハの滝(Uracher Wasserfall)。ここでは、シュヴァーベンジュラの端にあるブリュールバッハの水源から37メートルの深さへと水が落下し、岩の階段や、コケのクッションに覆われた険しい岩の上を50メートル流れ落ちます。滝を間近で楽しむことができ、そのダイナミックな音や時折かかる水しぶきに心が洗われるような感覚になり、マイナスイオンを全身で感じられますよ。ちなみにこの滝は、シュヴァーベン派の詩人であるエドワード・モエリケ(1804-1875)が、友人で経済学者のヨハネス・マールレン(1803-1871)に贈った詩にも登場します。
滝から小川へと続く水は、見ていると心が洗われるよう
このウラッハの滝はジオトープ(Geotop)に指定されています。このジオトープとは地球上の生命の起源と発展を含む、地球の歴史への洞察を提供する無生物のものに与えられる名称です。滝へのスタート地点となる駐車場から500メートル離れたところには、バート・ウーラッハ滝駅があり、公共交通手段でも訪れることが可能です。この滝へと続く道で、小川のせせらぎや、緑が陽の光を浴びてきらめく様子、そして力強く生きる動植物を観察してみましょう。道のりも長くなく、ファミリーや愛犬を連れて訪れている方も。さらに冬には滝が凍り、また違った神秘的な美しさを楽しむことができます。
冬は違った滝の美しさを見せてくれる
ドイツには500もの滝があり、そのうち350はバイエルン州、バーデン=ヴュルテンベルク州にあるそうです。ちなみに日本には2500もの滝があるといわれ、実は滝がとても身近にある国といえるかもしれません。これまでドイツでいくつかの滝を訪れましたが、私にとってウーラッハの滝は特別。好みの問題ではありますが、小さめではあるものの、滝との距離が近く、心地よい音が最高です。今心配されているのは、地球温暖化によってこの滝の水量が減ってしまうこと。この滝が、これから先の夏も盛大に流れ続けることを切に願います。
大阪生まれ、東京育ち。2007年末よりシュトゥットガルト在住。Merz Akademie大学視覚コミュニケーション科卒。語学力を武器に、日本企業のリロケーションをサポートしながら、メディアデザイナーとしても幅広く活躍している。趣味はギターと読書。