シュトゥットガルト近郊には、大小いくつもの古城があります。今日はそのなかでも、鷹匠によるショーを楽しむことができる、ホーエン・ノイフェン城(BurgHohenneuffen)という古城を紹介します。
このお城があるのは、シュトゥットガルトから車で約50分のところ。その歴史は非常に古く、後期ケルトのラ・テーヌ時代にさかのぼります。ホーエン・ノイフェンに城を建設するための最初の作業は11世紀ごろで、城の建築者はマンゴルト・フォン・スルメティンゲンであると推測されています。ほぼ2世紀にわたって、シュヴァーベン地方の高貴な貴族に属していたノイフェン領主の祖先の居城として使われていました。
絶好のロケーションで行われるショー
その後、1301年にヴュルテンベルク伯爵の所有となり、15世紀にはヴュルテンベルク家の最も重要な城に。また軍事基地や刑務所としても機能していました。そんなさまざまな顔を持つ歴史あるこの城、現在の主は38歳のパスカル・ヴェッターさんです。彼の両親は35年間、城内のレストランを経営しており、彼自身も幼少時代から深くこの城と関わってきました。
そんなヴェッターさんは、お城のあらゆる可能性を引き出すことに長けており、さまざまなスタイルの結婚式やパーティーを行えるなどの工夫がたくさん。またお城から見下ろすと目に映る壮大な景色が、訪問者を魅了し続けています。標高約750メートルに立つこの城の中庭では、絶好の眺めを楽しみながら気軽にお食事もできますよ。
鷹匠はさまざまな種類の鳥たちを操る
私がこのお城で特にお勧めしたいのは、11月末まで行われている鷹匠によるショー。天気の良い日曜と祝日の午後12時、14時、16時に開催されています(雨、嵐、雪ではショーは行われません)。鷹匠が巧みにワシやハヤブサ、ノスリ、フクロウを操る様は圧巻です。ベテランのワシやハヤブサは、一度空に放たれると、呼び戻そうとしても羽を伸ばしてなかなか帰ってこないそう。鳥たちが大空を楽しそうに飛んでいる姿は、見ている方も楽しくなってしまいます。
城内にある見張り台。昔はここから敵を見張っていたのでしょうか?
そんなベテランな鷹たちも、いずれは鷹匠の元に必ず帰ってきます。その理由は、おいしいごはんをたくさん用意しておくからだとか。ショーの途中、エサを鷹に与えながら鷹匠は「これは子どもにも言えますね。大きくなっても独立せず、いつまでも家に居座る子どもには、おいしいごはんをたくさん与えないこと」とジョークを飛ばします。この下りには、思わず噴き出してしまいました。
ショーの間、鷹たちは私たちの頭上に羽が当たるか当たらないか、すれすれを飛んでいきます。羽のパサパサっという音と共に、羽からの風を感じられました。中世貴族の娯楽や、権威の象徴でもあった鷹匠ショー。長い伝統を持つ雰囲気たっぷりなこのお城で、ぜひ楽しんでみてください。
ホーエン・ノイフェン城:https://hohenneuffen.de
大阪生まれ、東京育ち。2007年末よりシュトゥットガルト在住。Merz Akademie大学視覚コミュニケーション科卒。語学力を武器に、日本企業のリロケーションをサポートしながら、メディアデザイナーとしても幅広く活躍している。趣味はギターと読書。