ジャパンダイジェスト

ヴェンデルスハイムの メルヘンチックな散歩道

先日、友人を訪ねてバーデン=ヴュルテンベルク州に位置するヴェンデルスハイム(Wendelsheim)という小さな町を訪ねました。この町には、森林に囲まれた素敵な湖があります。その名も「メルヘン湖」。一周できる散策コースがあると聞き、行ってみることにしました。

ハイキング道に入ってすぐのところに案内板があり、散策コースの地図が載っていました。ここは、知る人ぞ知る観光名所のようです。案内板に従い、道に沿って頂上を目指します。夏の深緑の森を通り抜け、ところどころ葉っぱの間から町の家々の赤い屋根がちらちらとのぞき、メルヘンチックな雰囲気になってきました。さらに山を一段と高く登ったところ、突然深い森の先から不思議な緑の光が! えっ、どういうこと? と思いながら進むと、なんと素晴らしい景色が目の前に現れました。それは小さな湖で、一面緑の藻のような植物に覆われています。ウキクサがぎっしりと生えているため、湖水がほとんど見えません。もともと、あまり風のないところですが、湖面のウキクサのせいで、水面がちっとも動かず、まるで平らな陸地のようです。湖は岩と森に囲まれ、空から光が降り注ぐと、緑色の湖面が神秘的な輝きを放ちます。「メルヘン湖」の名の通り、子供の頃に読んだ、ヨーロッパのおとぎ話(メルヘン)に出てきそうな情景です。

山の中腹
山の中腹からの眺め

実はこのメルヘン湖は採石場の跡地で、なんと1960年代まで現役だったそうです。シュトゥットガルトの建物にもよく使われていた特殊な砂岩を採っていました。地質学者の説明によると、ここの砂岩の地層は少なくとも約2億年前に、かつてスウェーデンからアルプス地方にかけて存在した原始の海へと注ぐ水系によって形成されたものだそうです。さらに、現在では世界でも珍しいヒキガエルの仲間(Geburtshelferkröten)の生息地として、天然記念物に指定されたそうです。

湖の右岸に遊歩道が整備されていて、湖を眺めながら辺りを散策できます。遊歩道をまっすぐ抜けると、道はさらに森へと続きます。森の中を通って行くと、ときどき開けた場所に出ます。野花があちこちに咲き、犬を連れて散歩している人もいました。このほかに、サイクリングやハイキング、スキーなどのアウトドアスポーツも充実していて、あまりガイドブックには載っていないようなのですが、穴場の観光地です。

メルヘン湖
神秘的な緑の光

ヴェンデルスハイムへはチュービンゲン中央駅から「Oberndorf Feuersee」行きの18番バスで約20 分。「Wendelsheim Post」停留所下車、パン屋の前の道を行くとハイキング道にすぐたどり着きます。車でお越しの際は、Steinbruchstraße 20, 72108 Rottenburg – Wendelsheimにナビゲーションシステムを設定すると便利です。

郭 映南
中国生まれの日本国籍。東北芸術工科大学卒業後、シュトゥットガルト造形美術大学でアート写真の知識を深める。その後、台北、北海道、海南島と、渡り鳥のように北と南の島々を転々としながら写真を撮り続ける。
www.kakueinan.wordpress.com
 
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