常備薬
常備薬には応急手当に使う救急薬と、症状の軽い病気に対して用いられる治療薬があります。夜間や休日の発熱や怪我の緊急処置に役立つ薬を常備しておくと良いでしょう(表1)。なお、ドイツでは、風邪などのちょっとした体調不良くらいでは医者を受診せず、薬も飲まずに済ませることが多く、常備薬を置いていない家庭も少なくありません。
表1 常備薬(Hausapotheke)の例部位 | 治療薬・処置 | ドイツ語 |
けが | 絆創膏 (ばんそうこう) 包帯 消毒液 |
Erste-Hilfe-Pflaster Verband Desinfektionsmittel |
発熱 | 解熱・鎮痛剤 (小児は座薬) 体温計 |
Fiebermittel, Schmerzmittel (Zäpfchen) Fieberthermometer |
のど | 痛み止めの舐め薬 | Lutschtabletten |
かぜ | 咳止め(小児用シロップ) 感冒薬 鼻づまりの点鼻薬 |
Hustenmittel(Hustensaft) Grippetabletten Nasentropfen |
胃腸 | 腹痛の薬(ブスコパンなど) 吐き気止め 下痢止め 便秘薬 |
Mittel gegen Bauchsch-merzen(Buscopanなど) Mittel gegen Übelkeit, Antiemetikum Mittel gegen Durchfall Mittel gegen Verstopfung |
その他 | 日焼けに対するクリーム 虫刺さされの痒み止め 筋肉痛に対するゲル |
Gel für Sonnenbrand Gel für Insektenstiche Gel für Sportverletzungen |
解熱・鎮痛の薬
解熱薬は痛み止めの作用もあるため、一般に「解熱・鎮痛剤」とも呼ばれます。小児には安全性の面からパラセタモール(Paracetamol)という薬が用いられます。吐き気の症状がある子どもには座薬(Zäpfchen)が便利です。大人にはイブプロフェンもよく用いられます。
体温計
できればデジタル式のものが良いでしょう。0.1° C単位の測定が可能で、測定中の最高体温の値が表示されるものが便利です。舌の裏側に体温計を挟んで測定すると、より体の中心に近い体温の測定ができます。脇の下での計測は、位置や汗の影響を受けて正確に測れないこともあるので注意が必要です。
のどの痛み止め・咳止め
腹痛の薬
胃腸の動きを抑えて痛みをとる薬(ブスコパン)の錠剤や坐薬は、急な腹痛や生理痛に対して効果があります。
吐き気止め
吐き気・嘔吐の症状が強い場合には、坐薬の制吐剤 吐き気・嘔吐の症状が強い場合には、坐薬の制吐剤が用いられます。但し、子どもが嘔吐を繰り返す場合は、が用いられます。但し、子どもが嘔吐を繰り返す場合は、早めに掛かり付けの医師を受診した方が良いでしょう。早めに掛かり付けの医師を受診した方が良いでしょう。一方、激しい咳に伴う腹筋の圧迫により嘔吐がみられる一方、激しい咳に伴う腹筋の圧迫により嘔吐がみられることもありますが、その場合には制吐剤は不要です。
筋肉痛
日本で多用される湿布薬に似たようなもの(但し、温湿布)はドイツにもありますが、日本ほど一般的ではないようです。日常スポーツをしている人は、スポーツ後の筋肉痛などに鎮痛ゲルがあると便利です。
日焼けに対して
夏に野外プールや海岸で泳ぐとき、スポーツ観戦、バルコニーや庭での日光浴など強い陽射しを受けるときには、日焼け(Sonnenbrand)止めローションを忘れないようにしましょう。皮膚が赤くなるような日焼けは「皮膚の炎症」によるもので、痛みを伴うことがあります。日焼けしてしまった後に用いるクリームや冷却ゲルなども炎症や痛みの軽減に役立ちます。
虫刺され
野外に出かける時は、虫刺されに対する痒み止めクリームがあると便利です。
絆創膏(ばんそうこう)・傷の消毒・包帯など
日本で名の通っている「バンドエイド」は商品名で、類似商品はドイツではHansaplast、Elastoplastなどと呼ばれています。目的に合わせていくつもの種類があります。子どもの擦り傷など、傷口に塗布する市販の消毒薬は化膿の予防に役立ちます。創傷や火傷に対する軟膏薬は粘膜への刺激作用のないものを選びましょう。包帯は弾性のあるタイプが便利です。消毒処理のされた綿棒やガーゼなどは薬局で購入できます。
その他
人によっては便秘薬、止痢剤、総合感冒薬などが必要になることもあります。風邪症状に対してペパーミント茶(Pfefferminztee)、不眠・不定愁訴に対してカモミール茶(Kamillentee)などを用意している家庭もあります。
常備薬に関する注意
薬には使用期限があります。使用期限が切れた薬は使わないようにしましょう。目薬は開栓後4週間以上経ったものは使えないと考えてください。1年に2度は、内容と使用期限のチェックを心掛けてください。
薬は子どもの手の届かないところに、各々オリジナルの箱(瓶)と説明書と共に保存し、ほかの常備薬と混同しないようにしてください。保管場所については、直射日光や高温多湿な場所、掃除に使う薬剤や液類の近くは避け、冷やして保存する薬剤は冷蔵庫内のカバーのついた場所を選びます。
そのほか、他人に処方された薬や、以前に医師より診断された薬は安易に使用しないようにしてください。いざと言う時のために掛かり付けの医師、薬局の連絡先を控えておきましょう。また、たとえ市販薬でも他国に持ち込む際に申請が必要だったり(オーストラリアなど)、医師からの書類が必要になったりする場合があります。事前に調べておくと良いでしょう。