ジャパンダイジェスト

老後への備え
高齢者用住宅の探し方 1

渡辺・レグナー 嘉子

本コラムでは、高齢時に備えてバリアフリーの住居に移ること、あるいは住居を改築することをお勧めしてきました。では、実際に自分に合う高齢者用住宅を探すには、どうすれば良いのでしょうか?

もちろん、一般の不動産業者に依頼したり、meinestadt.deやwohnungsboerse.netなどの不動産情報サイトを利用したり、「高齢者用住宅(Altengerechte Wohnung)」「シニア用住宅(Seniorenwohnung)」といった検索ワードから、専門のウェブサイトを探すこともできます。しかし、業者の言う「高齢者用(altengerechte)」という言葉には実に様々な解釈があり、本当にバリアフリー住宅かどうかは、実際に自分の目で確かめてみるしかありません。社会福祉法人のKaritasやDiakonie、AWOなどが経営する基礎サービス付き高齢者用住宅についても、各団体にリストがありますが、自分がその有料サービス(介護サービスではない)を本当に必要とするのか、また要介護になったとき、より高額な老人ホームに移らずにそのまま住み続けることができるかどうかを、確かめておく必要があます。

老後

一方、現在ほとんどの州や市で、バリアフリーの多世代型融合集合住宅や高齢者住宅の奨励・助成をしています。助成を受けた高齢者用住宅は、一般の住宅より割安な家賃で借りることができます。各都市の住宅局(Wohnungsamt)にはその一覧リストがあり、そこで入居申請もできますので、まずは市の住宅局か社会福祉局に問い合わせてみてください。

住宅に対する助成は、収入が一定額以下の人に手厚く、例えばデュッセルドルフ市では助成対象者の年収の上限は、単身者(A)で年収 2万8287ユーロ、2人世帯(B)で3万9954ユーロです。そして、土地の評価額によっても異なりますが、Aでは1㎡当たり5.10ユーロ、Bでは1㎡当たり6.20ユーロからアパートの家賃が算定されるところもあります(1人用住宅は約50㎡)。

助成を受けた建物でも、入居希望者の収入が一定以上だと家賃はより高くなりますが、それでも一般のアパートよりは安く借りられます。このようなバリアフリーの住宅を確保するためには、各都市で毎年定期的に開催されている住宅関係の情報交換フォーラムなどの催し物(Wohnungsbörse、 Wohnen in Zukunftなど)を訪れ、建設中または建設予定の物件を探すことです。この催し物には、住宅の仲介をする市の住宅局の担当者や助成をする側の州銀行はもちろん、助成を受けて住宅を建てようとしている会社や、望む形のアパートや持ち家を建てたいと考える高齢者のグループが参加しています。バリアフリー住宅を完全に貸し切る、あるいは売り切ることができるように、提供する側は積極的に営業を行っていますし、新規プロジェクトに関しては、十分な数の賛同者を得てから着工できるように広報活動を盛んにしています。こういった場は、自分の希望に合致したプロジェクトを計画している人たちとの出会いの場にもなります。

次回は、このような場から交流が始まり、近い将来実現しそうな「高齢時にドイツ社会から孤立せずに、日本人がドイツ人と共に暮らしていく」形の高齢者住居プロジェクトをご紹介します。

 DeJaK-友の会からのお知らせ 


大使館委託調査結果をまとめた冊子
『ドイツで送る老後』の説明会

4月11日(土)フランクフルト
4月13日(月)シュトゥットガルト
※詳細はwww.dejak-tomonokai.deの「予定表」をご覧ください。

渡辺・レグナー 嘉子
在独法人の高齢時の問題に積極的に関わっていくことを目指す「DeJaK-友の会」代表。 著書に日本語教科書『Japanisch, bitte! 日本語でどうぞ』『ドイツ会話と暮らしのハンドブック』『Bildwörterbuch zur Einführung in die japanische Kultur』などがある。
DeJaK-友の会((www.dejak-tomonokai.de)

 
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熊谷徹
1959年東京生まれ、早稲田大学政経学部卒業後、NHKに入局。神戸放送局、報道局国際部、ワシントン特派員を経て、1990年からフリージャーナリストとしてドイツ在住。主な著書に『なぜメルケルは「転向」したのか―ドイツ原子力四〇年戦争』ほか多数。
www.facebook.com/toru.kumagai.92
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